ツーイ針
(硬膜外カテーテルから転送)
ツーイ針 (つーいしん、英: Tuohy needle)は、先端がごくわずかに湾曲した中空の注射針で、硬膜外カテーテル挿入に適している。麻酔科学関連の成書や文献ではTuohy針と記載されている事が多い。硬膜外針とも呼ばれる。中空の外針と、外針と嵌合するサイズの内針で構成される。外針には注射器が接続可能である。この部分はハブ(英語: hub)と呼ばれる。
ポーテックス社製16ゲージツーイ針(下)と硬膜外カテーテル(上)。1cm間隔の目盛がある。 | |
用途 | 薬剤注入 |
---|---|
関連器具 | 注射針 |
解説
編集ツーイ針は、硬膜外腔に刺す針である。硬膜外鎮痛・麻酔を持続的に行うために、細い中空カテーテル(硬膜外カテーテル)をツーイ針から硬膜外腔に通し、針を抜いた後もそのままにしておくことがある。硬膜外針やカテーテルには複数の種類があるが、先進国の現代医療では、無菌性を確保するためにディスポーザブル(使い捨て)製品が使用される。
硬膜外針は、硬膜の穿刺を防ぐため、先端が湾曲した形状になっている。しかし、偶発的な硬膜穿刺の後、最大で85%の患者に頭痛が生じ、周術期の大きな合併症となる[1]。針の先端を硬膜線維の長軸方向と平行に向けて穿刺し、硬膜外腔を確認することで頭痛の発生率を下げることができ、その後の硬膜裂傷が大きくならないようにはできる[2]。
硬膜外腔への到達を確認するには生理食塩水を充填した注射器をこの針に接続して、針を進め、注射器内の圧力の低下を感じ取る方法(抵抗消失法)が、よく用いられる。本法はドリオッティの原理とも呼ばれる。
形式
編集硬膜外針のタイプは下記の通り:[3]
歴史
編集この針は、1940年にシアトルの歯科医Ralph L. Huber(1915-2006)が発明したが、1945年に初めて普及させた20世紀のアメリカの麻酔科医Edward Boyce Tuohy(1908-1959)の名で知られている[5]。
出典
編集- ^ MacArthur, C; Lewis, M; Knox, EG (April 3, 1993). “Accidental dural puncture in obstetric patients and long term symptoms”. BMJ 306 (6882): 883–5. doi:10.1136/bmj.306.6882.883. PMC 1677341. PMID 8490410 .
- ^ Norris, MC; Leighton, BL; DeSimone, CA (May 1989). “Needle bevel direction and headache after inadvertent dural puncture.”. Anesthesiology 70 (5): 729–31. doi:10.1097/00000542-198905000-00002. PMID 2655500.
- ^ Frölich, MA; Caton, D (July 2001). “Pioneers in epidural needle design.”. Anesthesia and Analgesia 93 (1): 215–20. doi:10.1097/00000539-200107000-00043. PMID 11429369 .
- ^ “製品情報|製品紹介|株式会社ユニシス”. www.unisis.co.jp. 2023年1月14日閲覧。
- ^ Lubisich, JW (July 2004). “Ralph L. Huber, DMD: forgotten inventor of the "Tuohy" needle.”. Journal of the History of Dentistry 52 (2): 75–9. PMID 15293720.
参考
編集- “The Evolution of Spinal and Epidural Needles : From the Origins to the Current”. Cothon.Net. 2012年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月14日閲覧。
- Frölich, MA; Caton, D (July 2001). “Pioneers in epidural needle design.”. Anesthesia and Analgesia 93 (1): 215–20. doi:10.1097/00000539-200107000-00043. PMID 11429369 .