破墨山水

破墨の技法を用いて描かれた山水画

破墨山水(はぼくさんすい)とは破墨の技法(後述)を用いて描かれた山水画のこと。雪舟の「破墨山水図」が著名である。

「破墨山水図」

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破墨山水図 東京国立博物館 蔵
 
溌墨山水図 杉浦俊香 昭和3年(1928年)作 個人蔵

「破墨山水図」は、雪舟が1495年に制作し、弟子の宗淵に与えた山水画。東京国立博物館に所蔵される。雪舟自身の長文の自題がある。自題の中に「破墨の法」をで学んだと述べているので、この名があるが、技法的には「溌墨山水」だという意見もある。

破墨という技法

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「破墨」という用語は唐代後半から使用されてきたが、時代や文脈によって意味が違っている。

現在の水墨画では、「墨点と、墨の濃淡で立体感をあらわすこと」である。「淡墨で要所を描き乾かないうちに濃墨を点じる技法」という解説もある。濃墨が淡墨をはじき、「濃墨が淡墨を破る」(黄公望写山水訣)効果を生む。水墨画の技法として、時代以降広く使用されている。輪郭線を中心にした「白描」に対立する技法である。ただ、輪郭線を全く使用せず墨面だけで表現する「溌墨」とは異なる。

「破墨」という用語は、書道においては、墨線と墨線が交差して、墨をはじいたような効果をだす現象に使用される。代後半には、「速く鋭い筆法で描く墨点の集合で表現する山水」の意味だったらしい(何恵鑑)。

参考文献

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  • 何恵鑑「破墨の原義」、『MUSEUM、第379号、1982年、4-13頁。
  • 「世界美術小辞典  東洋編中国絵画」 『芸術新潮』
  • 『水墨画』(別冊太陽)平凡社、1978年