石垣港
石垣港(いしがきこう)は、沖縄県石垣市にある重要港湾である。港湾管理者は石垣市。日本最南端の重要港湾であり、八重山列島の人や物の交流の中心となっている[4]。
石垣港 | |
---|---|
サザンゲートブリッジから見た石垣港 (手前が登野城地区、奥が美崎町地区) | |
所在地 | |
国 | 日本 |
所在地 | 沖縄県石垣市 |
詳細 | |
開港 | 1972年(昭和47年)5月15日[1] |
管理者 | 石垣市[1] |
種類 | 重要港湾 |
面積 | 1,630ha[1] |
桟橋数 | 4[2] |
統計 | |
統計年度 | 2018年 |
発着数 | 46,116隻/11,021,395総トン(入港船舶)[3] |
貨物取扱量 | 1,146,154トン[3] |
旅客数 | 2,538,283人(乗降人員)[3] |
概要
編集沖縄県内や日本各地からの八重山列島への物資集散地としての役割や、行き来する旅客の拠点としての役割を果たしている。かつては互いに国交のない中華人民共和国と台湾(中華民国)との貿易の際の一時寄港目的での利用(クリアランス船)も盛んであったが、増加していたクリアランス目的の利用は、2008年に中台間での三通が解禁されたことを受けて減少に転じている[5][6][7][8]。
石垣島のほぼ南端にある港であり、竹富町役場石垣庁舎、石垣市民会館、石垣市立図書館など主要公共施設のほか、石垣市の繁華街とも近い。かつては石垣市役所、沖縄県立八重山病院(いずれも旧石垣空港跡に移転)も近隣に所在した。
歴史
編集- 1872年(明治5年) - 汽船万年丸が寄港(事実上の開港)[10]。
- 1924年(大正13年) - 木造桟橋が建設される[10]。
- 1933年(昭和8年) - 台風により木造桟橋が被災する[10]。
- 1935年(昭和10年) - コンクリート桟橋を築造し、20tまでの船舶が接岸可能になる[10]。
- 1954年(昭和29年) - 琉球政府の重要港湾に指定される[10]。
- 1960年(昭和35年) - 本格的な港湾施設の建設に着手する[10]。
- 1963年(昭和38年) - 港湾施設が完成[10]。
- 1965年(昭和40年) - 3,000t級岸壁1バース、1,000t級岸壁1バース、500t級岸壁3バースが完成[10]。
- 1972年(昭和47年) - 本土復帰に伴い、国の重要港湾に指定される[10]。
- 1981年(昭和56年) - 竹富南航路供用開始[10]。
- 1993年(平成5年) - サザンゲートブリッジの供用を開始する[10]。
- 2004年(平成16年) - 耐震岸壁 (-9.0m) の供用を開始する[10]。
- 2007年(平成19年)1月31日 - 離島ターミナルの供用を開始する[10]。
- 2018年(平成30年)7月16日 - 離島ターミナル(代表施設)、新港地区緑地(南ぬ浜ぱいぬはま町緑地公園)及び石垣港旅客船ターミナル(新港地区)が、「みなとオアシスいしがき」としてみなとオアシスに登録される[11]。
施設概要
編集- 新川地区
- 美崎町地区 - 離島行きの旅客船(高速船)が発着する離島ターミナル等がある。
- 登野城地区 - 離島行きの貨客船(フェリー)等が発着する八島フェリーターミナル(八島ふ頭)等がある。
- 浜崎町地区 - 港湾ターミナル、A-F岸壁、海上保安庁の専用埠頭[15]等がある。離島フェリー用のフェリーバースが計画されている。
- 浜崎船だまり - 官公庁船、遊漁船等が発着する。
- 新港地区(南ぬ浜町) - 、外航クルーズ客船用の岸壁が整備中で、2018年(平成30年)4月21日に暫定供用されている[16]。また、人工ビーチが整備されている[17]。陸上交通ではサザンゲートブリッジによって本土の八島町からアクセスする[18]。
主に、旅客船(高速船)は美崎町地区の離島ターミナル、貨客船(フェリー)は登野城地区の八島ふ頭に発着する。大型クルーズ船は新港地区(南ぬ浜町)のクルーズ船専用岸壁に発着する。
以下では、航路については、旅客営業を行う定期航路のみ記載(休廃止された航路は就航最終時点の情報を記載)。
美崎町地区
編集離島ターミナル
編集離島ターミナルには主に旅客船(高速船)が発着し、八重山列島各地への交通の拠点となっている。
- - 竹富島(竹富東港)・小浜島(小浜港)・黒島(黒島港)・西表島(大原港・上原港)・鳩間島(鳩間港)[20]。
- - 波照間島(波照間港)
-
離島ターミナル(陸側から)
-
離島ターミナル(海側から)
-
離島ターミナル内 安栄観光事務所
-
離島ターミナル内 八重山観光フェリー事務所
-
離島ターミナル内 石垣島ドリーム観光事務所
登野城地区
編集八島ふ頭
編集八島ふ頭は離島ターミナルの対岸に位置し、主に八重山列島内の定期航路の貨客船(フェリー)が発着する。沖縄の離島航路では、旅客船(高速船)を運航する際には貨物輸送ができる船舶の運航も義務づけられているため、各社が旅客船と同じ航路で貨客船(フェリー)の運航を行っている[24]。波照間島行きのフェリーはてるま2及び与那国島行きのフェリーよなくには埠頭先端側の岸壁に、その他の八重山列島内の貨客船は旧離島桟橋南東側に発着。発券業務は、安栄観光及び八重山観光フェリーは旧離島桟橋南東側にあるそれぞれの貨物事務所で[25][26][27]、福山海運は八島フェリーターミナル内の事務所で行っている。なお、八島ふ頭の機能は、2021年度に浜崎町地区の第4上屋海側岸壁隣接地で整備が進められている新たなフェリーバースに移転する予定である[28][29]。
- 安栄観光
- - ※離島ターミナルに発着する旅客船と同じ航路[30]
- 八重山観光フェリー
- - ※離島ターミナルに発着する旅客船と同じ航路[31]
- - 与那国島(久部良港)
- 石垣島ドリーム観光(2018年4月以降、定期航路は運航休止中)
- - 離島ターミナルに発着する旅客船の航路に加え、西表島(上原港)、鳩間島(鳩間港)
- - 波照間島(波照間港)
-
八島フェリーターミナル
-
八島フェリーターミナル内 福山海運事務所
-
八島ふ頭に停泊する「フェリーよなくに」
-
安栄観光貨物事務所
-
八重山観光フェリー貨物事務所
-
八島ふ頭に停泊する八重山観光フェリーの貨客船「かりゆし」
浜崎町地区
編集かつては長距離フェリーや大型クルーズ船が発着していたが、現在は貨物船の利用が中心である。2021年度には八島ふ頭の機能が本地区の整備される新たなフェリーバースに移転する予定である[28][29]。
E/F岸壁・石垣港ターミナル
編集E/F岸壁には、かつて石垣港と沖縄本島や本土を結ぶ長距離フェリーが発着しており、フェリー用の石垣港ターミナルが整備されている[35]。フェリーの運休後は貨物船や大型クルーズ船用に利用されていたが、大型クルーズ船の発着は2018年(平成30年)4月21日に暫定供用された新港地区(南ぬ浜町)の専用岸壁に一元化されている[36][37]。
- 有村産業(沖縄カーフェリー)「クルーズフェリー飛龍、飛龍21」(2008年6月に運航を休止)[38][39]
- 名古屋港 → 大阪港(南港フェリーターミナル) → 那覇港 → 平良港(宮古島) → 石垣港 → 基隆港(台湾) → 那覇港 → 石垣港 → 平良港 → 那覇港 → 名古屋港[40][41][要出典]
- ※週1便、大阪を日曜日(土曜日深夜)に出発していた。[要出典]
- ※週1便、大阪を木曜日(水曜日深夜)に出発していた。[要出典]
- 琉球海運「わかなつ おきなわ」(2006年9月18日で旅客営業を廃止)[42][43][注 4]
- - 那覇港 - 平良港 - 石垣港[45]
浜崎桟橋・浜崎船艇基地
編集海上保安庁の巡視船専用桟橋及び船艇基地。2016年3月末完成[46][47]。桟橋は4バースを備える[48]。
石垣港湾合同庁舎
編集- 第十一管区海上保安本部石垣海上保安部[49]
- 沖縄地区税関石垣税関支所[50]
- 那覇植物防疫事務所石垣出張所[51]
- 福岡出入国在留管理局那覇支局石垣港出張所[52]
-
E岸壁に接岸する「クルーズフェリー飛龍21」
-
石垣港ターミナル
-
海上保安庁浜崎桟橋
-
石垣港湾合同庁舎
新港地区
編集大型国際旅客船ターミナル
編集新港地区(南ぬ浜町)では、20万トン級クルーズ船に対応可能なクルーズ船専用岸壁の整備が進められている。2018年(平成30年)4月21日には、7万トン級に対応可能な全長295m、水深9mの岸壁が暫定供用された。その後、2019年春には全長340mに延長され、2020年春には全長420m、水深10.5mの岸壁が完成する予定である[16][53][54]。
岸壁の背後には、大型バス50台、タクシー31台、一般車両10台を収容する駐車場や、離島ターミナルとの間を運行する有料シャトルバス(片道200円)の乗り場が整備されている[53][54]。
関連項目
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c 港湾管理者一覧表 (PDF) 国土交通省港湾局、2017年4月1日
- ^ 八重山要覧 平成30年度版 第3章 交通・通信 (PDF) 沖縄県八重山事務所、2017年8月
- ^ a b c 港湾統計(年報)2018年 国土交通省
- ^ 石垣港案内 内閣府沖縄総合事務局石垣港湾事務所
- ^ 増田耕太郎 (2010年6月29日). “フラッシュ136 沖縄・石垣島に寄港する台湾―中国間を航行する“クリアランス船”の減少”. 国際貿易投資研究所. 2010年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月7日閲覧。
- ^ フラッシュ136 、2010年6月29日
- ^ “石垣島の風景と歴史(周遊の旅・東回り編) 113 クリアランス船”. 石垣市. 2016年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月6日閲覧。
- ^ “クリアランス船3割減に 中台間の直行解禁で”. 八重山毎日新聞. (2009年1月7日)
- ^ “八重山 近・現代史 略年表 1972年(昭和47)5月15日~1989年(昭和64)1月7日”. 石垣市 (2020年3月2日). 2020年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “石垣港の沿革”. 内閣府沖縄総合事務局石垣港湾事務所. 2018年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月13日閲覧。
- ^ 『みなとで天体観測!84の星座とともに ~ 「みなと」を核とした賑わい創出! 「みなとオアシスいしがき」 ~』(プレスリリース)国土交通省、2018年7月12日。オリジナルの2018年7月18日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 石垣港港湾計画書 改訂 (PDF) 石垣港港湾管理者 石垣市、2013年12月
- ^ 石垣港 港湾計画 改訂 (PDF) 国土交通省、2013年12月2日
- ^ “石垣港はどうあるべきか 長期構想策定作業を具体化”. 八重山毎日新聞. (2012年10月3日)
- ^ 石垣港港湾計画書 -軽易な変更- (PDF) 石垣港港湾管理者 石垣市、2017年5月
- ^ a b “暫定供用スタート 石垣港新港地区旅客船ターミナル 段階的に拡張工事進める”. 八重山毎日新聞. (2018年4月23日) 2018年4月29日閲覧。
- ^ “きょうから利用開始 南ぬ浜町人工ビーチ”. 八重山毎日新聞. (2017年7月1日) 2018年4月29日閲覧。
- ^ “八島町と南(ぱい)ぬ浜町を結ぶサザンゲートブリッジ”. 石垣市史デジタル資料室. 石垣市教育委員会市史編集課. 2018年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月6日閲覧。
- ^ 運航案内 安栄観光
- ^ 航路図 八重山観光フェリー
- ^ “来年4月に定期船休止 船員不足、ツアーは継続 ドリーム観光”. 八重山日報. (2017年10月22日). オリジナルの2017年10月24日時点におけるアーカイブ。
- ^ 波照間海運が運休へ 国の補助打ち切りで 八重山毎日新聞、2011年12月3日
- ^ “波照間海運 再び運休 再開めど立たず撤退へ 補助金打ち切りで”. 八重山日報. (2012年6月1日). オリジナルの2013年5月28日時点におけるアーカイブ。
- ^ 池田良穂 「沖縄離島航路のフェリーを見る - ウェイバックマシン(2016年1月29日アーカイブ分)」 旅客船 No.272、p.11
- ^ “貨客カーフェリー”. 安栄観光. 2018年11月24日閲覧。
- ^ “よくあるご質問 定期船運航について”. 安栄観光. 2018年11月24日閲覧。
- ^ “会社案内・アクセス”. 八重山観光フェリー. 2018年11月24日閲覧。
- ^ a b “本年度は1億2500万円かけ整備 石垣港フェリーバース”. 八重山毎日新聞. (2015年5月8日) 2018年4月14日閲覧。
- ^ a b “石垣港本港地区 離島ターミナル 整備事業 再評価資料” (PDF). 沖縄総合事務局開発建設部. pp. 10, 17 (2011年11月29日). 2018年4月29日閲覧。
- ^ 運航案内 貨客カーフェリー 安栄観光
- ^ 貨物船時刻表 八重山観光フェリー
- ^ “波照間海運、貨客船も運休”. 八重山毎日新聞. (2012年6月2日)
- ^ “安栄観光 「フェリーはてるま」を購入 石垣―波照間輸送安定化へ 8月中旬 運航再開”. 八重山日報. (2012年8月1日). オリジナルの2012年10月17日時点におけるアーカイブ。 2013年1月1日閲覧。
- ^ “装い新たに運航再開 ニュー「フェリーはてるま」”. 八重山毎日新聞. (2012年10月7日) 2013年10月17日閲覧。
- ^ “もうひとつのターミナル「石垣港ターミナル」”. DEEokinawa. (2013年10月24日)
- ^ “アクエリアス号の寄港半減 F岸壁接岸要望叶わず”. 八重山毎日新聞. (2018年11月20日)
- ^ “市長公務日記 2018年 石垣港新港地区クルーズ船専用岸壁が暫定供用開始されました(2018年4月21日)”. 石垣市. 2020年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月9日閲覧。
- ^ “有村産業、あすから運休 燃料費確保できず”. 琉球新報. (2008年5月27日). オリジナルの2015年12月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ “有村産業航路を運休へ 燃料費支払いが困難に”. 八重山毎日新聞. (2008年5月27日)
- ^ a b 定期航路一覧 2006.5.1現在 (PDF) 那覇港管理組合
- ^ a b 各港へのご案内 - ウェイバックマシン(2008年1月15日アーカイブ分) 有村産業
- ^ 船の旅 2006年12月号、東京ニュース通信社
- ^ a b “琉球海運 9月めどに旅客部門廃止 利用客が年々減少 貨物事業を拡大”. 八重山毎日新聞. (2006年4月21日)
- ^ “きょう旅客輸送開始、琉球海運”. 宮古新報. (2011年1月9日)
- ^ 離島航路の現況2 内閣府沖縄総合事務局
- ^ “全国最大規模の保安部に 尖閣警備”. 八重山毎日新聞. (2016年4月17日)
- ^ “尖閣専従体制の完成披露式 石垣で開かれる”. 海上保安新聞. (2016年4月28日)
- ^ 瀬間基広「海上保安庁係留桟橋の整備について (PDF) 」 平成28年度沖縄ブロック国土交通研究会
- ^ 石垣海上保安部
- ^ 石垣税関支署 税関
- ^ 那覇植物防疫事務所 農林水産省植物防疫所
- ^ 那覇支局 法務省入国管理局
- ^ a b “クルーズ船専用岸壁、4月下旬に暫定供用—南ぬ浜町”. 八重山毎日新聞. (2018年3月21日) 2018年4月14日閲覧。
- ^ a b “専用岸壁を初視察 交通対応など確認”. 八重山毎日新聞. (2018年4月11日) 2018年4月14日閲覧。
外部リンク
編集- 石垣市建設部港湾課
- 国土交通省石垣港湾事務所
- みなとオアシスいしがき - 沖縄総合事務局