犬神博士
『犬神博士』(いぬがみはかせ)は、夢野久作の長編小説。「福岡日日新聞」に1931年(昭和6年)9月23日から1932年(昭和7年)1月26日まで連載された。新聞連載の事情で未完で終わっている[1]。
あらすじ
編集この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
新聞記者が、ある変わった男の取材に来る。男の本名は大神二瓶というのだが、様々なあだ名を持ち、その中には、予言がよく当たるさまが犬神のようだというので、犬神博士というものもあった。 どこでそのような神通力を得たのか尋ねられた犬神博士は、どうやら実の両親ではないらしい男女二人に連れられ、大道芸人をしていた幼少期を語りだす。珍妙な冒険譚[2]が始まる。
主人公像
編集評価
編集影響
編集夢野の出身地である福岡県で国粋主義結社「玄洋社」と地元ヤクザ組織との間で炭鉱利権の獲得競争から生じた抗争が明治20年代にあり[3]、物語はこの抗争をモデルにしたものである[4]。もっとも小説では、「玄洋社」が、警察及びそれと結ぶヤクザ組織と争う形となっているが、事件当時の頃の県知事は肥後出身の安場保和で玄洋社と近く、実際には「玄洋社」のほうが警察の後押しを受けている[4]。しかし、この小説の影響で、しばしば「玄洋社」が地元資本のために藩閥政府や中央財閥に抗して警察と闘ったかのように誤解されることも多い[5]。
その他
編集収録書籍
編集絶版を含む。
脚注
編集- ^ 『犬神博士』KADOKAWA〈角川文庫〉、2008年12月25日。
- ^ “Amazon.co.jp: 犬神博士 (角川文庫) : 夢野 久作: 本”. amazon. 2024年12月27日閲覧。
- ^ 福本正司. “玄洋社と博多の大親分が大乱闘?!(櫛田神社参道の石碑)”. 「博多の魅力発信会議」事務局(博多区役所企画振興課). 2024年12月27日閲覧。
- ^ a b “夢野久作「犬神博士」試論”. J-stage. 2024年12月27日閲覧。
- ^ “1298夜 『俗戦国策』 杉山茂丸 − 松岡正剛の千夜千冊”. 松岡正剛. 2024年12月27日閲覧。
- ^ Inc, VOYAGE MARKETING. “犬神博士(漫画)”. マンガペディア. 2021年5月3日閲覧。
- ^ Yumeno, Kyūsaku; 夢野久作. (2008). Inugami hakase. Tōkyō: Kadokawa Shoten. ISBN 978-4-04-136613-4. OCLC 294936205
- ^ Yumeno, Kyūsaku; 夢野久作 (1991-1992). Yumeno Kyūsaku zenshū. (Shohan ed.). Tōkyō: Chikuma Shobō. ISBN 4-480-02671-1. OCLC 26169188
- ^ Yumeno, Kyūsaku; 夢野久作 (2016-). Zenshū. Kazumi Nishihara, Kenko Kawasaki, Yasushi Sawada, Motoi Taniguchi, 西原和海, 川崎賢子 (Teihon, shohan ed.). Tōkyō. ISBN 978-4-336-06014-3. OCLC 982381105
- ^ 『爆弾太平記』社会思想社、1976年1月1日。