特定価格
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特定価格(とくていかかく)とは、不動産の価格の種類の一つである。本項目においては、基本的に不動産鑑定評価基準による。ここでは、次のとおり定義される[1]。
特定価格を求める場合
編集次の場合が例示としてあげられる[4]。
- 資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値[5]を表す価格を求める場合
- 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
- 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
- については、資産流動化計画等により投資家に開示される対象不動産の運用方法を所与とする必要があることから、必ずしも対象不動産の最有効使用を前提とするものではないため[6]、特定価格として求めなければならないものとされている。この場合は証券化対象不動産[とは 1]の鑑定評価に基本的に含まれる。
- については、早期売却を前提とするため、通常の市場公開期間より短い間で売却されることに伴う減価があり[7]、特定価格として求めなければならないものとされている。
- については、事業の継続を前提とする市場価値を求めるもので、対象不動産の最有効使用と必ずしも一致するものではないため[7]、特定価格として求めなければならないものとされている。
出典、脚注
編集- ^ 2002年の不動産鑑定評価基準改正までは、特殊価格に相当するものも含まれていた。
- ^ 不動産鑑定評価基準においては、法律、政令、省令、その他国の行政機関の規則、告示、訓令、通達等のほか、最高裁判所規則、条例、地方公共団体の規則、企業会計の基準、監査基準をいうものとされている。
- ^ 正常価格の前提となる市場条件を満たさない市場で成立する価格と、必ずしも何らかの市場で成立するものではないが、対象不動産の特定の経済価値を表示する価格を指すものと解されている(『要説』p.99)。
- ^ 『要説』p.97 - 101
- ^ この投資家は一般的な投資家を指すもので、特定の投資家が特定の不動産に投資する場合における投資価値 英語版とは別物である(『投資・証券化のための 不動産の調査・分析・評価の実務』p.231)。
- ^ 特別の能力、特別の利用方法を前提とすることとなるため、最有効使用の要件を満たさないこともある(新藤『不動産鑑定理論の知識』p.53)。
- ^ a b 正常価格の要件を満たさない。→「正常価格 § 市場が満たす条件」を参照
- 証券化対象不動産とは
- ^ 次のいずれかに該当する不動産取引の目的である不動産又は不動産取引の見込みのある不動産(信託受益権に係るものを含む)a 資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化並びに投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託に係る不動産取引並びに同法に規定する投資法人が行う不動産取引 b 不動産特定共同事業法に規定する不動産特定共同事業契約に係る不動産取引c 金融商品取引法第2条第1項第5号(社債券)、第9号(株券又は新株予約証券)(専ら不動産取引を行うことを目的として設置された株式会社に係るもの)、第14号(受益証券発行信託の受益証券)及び第16号(抵当証券)に規定する有価証券並びに同条第2項第1号(信託受益権)、第3号(合資会社、合同会社等の社員権)及び第5号(いわゆる集団投資スキーム持分)の規定により有価証券とみなされる権利の債務の履行等を主たる目的として収益又は利益を生ずる不動産取引
参考文献
編集- 監修日本不動産鑑定協会 編著 調査研究委員会鑑定評価理論研究会『新・要説不動産鑑定評価基準』 住宅新報社 2010年 ISBN 9784789232296 * 新藤延昭『不動産鑑定評価の知識』住宅新報社、2007年、50-54頁。ISBN 9784789227544。
- 不動産投資分析研究会(著)、山下誠之、室津欣哉(編)『投資・証券化のための 不動産の調査・分析・評価の実務』住宅新報社、2007年、233-254頁。ISBN 978-4-7892-2784-1。
関係項目
編集価格の他の種類
編集不動産鑑定評価基準総論第5章で定められている。
- 正常価格 - 正常価格を求めることができる不動産について特定価格を求めた場合、不動産鑑定評価報告書には、括弧書きで正常価格である旨を付記してそれらの額を付記しなければならないものとされている(不動産鑑定評価基準総論第9章)。
- 限定価格
- 特殊価格
賃料の種類
編集不動産鑑定評価基準総論第5章で定められている。