灰色のバスがやってきた

『灰色のバスがやってきた』(はいいろのバスがやってきた、VERSCHLEPPT: Der Euthanasie-Mord an behinderten Kindern im Nazi-Deutschland )は、フランツ・ルツィウスによって著され、山下公子によって訳されたノンフィクション作品。

概要

編集

1991年12月草思社より出版される[1]第二次世界大戦中ナチス・ドイツアドルフ・ヒトラーによって行われていた政治で殺された何十万人もの障害者の運命を、実在する記録を元に再現する[2]

著者西ドイツの障害者施設の沿革を取材しているうちに、ナチス・ドイツが障害者を殺戮していたという記録に出くわす。この取材していた障害者施設からは800人の障害者が灰色バスに乗せられて移送され、そのほぼ全員が帰ってこなかった。このような障害者たちのたどった運命を、事実を元に生々しく再現する[3]

この書籍によれば、ドイツの全ての障害者施設に調査書を送り、記入されて返ってきたものを専門家が評価し、安楽死させるのに相当な障害者を選ぶ。選ばれた障害者を、書籍のタイトルにもなっている灰色のバスで障害者施設に迎えに行って乗せる。この灰色のバスは排気ガスが自動的に車内に流れる仕組みとなっており、障害者の移送が終わればまもなく一酸化炭素中毒で死亡していた。ポーランドでもこのようなことが行われていた[4]

参考資料

編集

脚注

編集
  1. ^ Franz, Lutzius; 公子, 1952-, 山下 (1991) (gerjpn). 灰色のバスがやってきた : ナチ・ドイツの隠された障害者「安楽死」措置. 東京: 草思社. https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002152512-00 
  2. ^ 灰色のバスがやってきた”. 草思社. 2023年6月3日閲覧。
  3. ^ 灰色のバスがやってきた : ナチ・ドイツの隠された障害者「安楽死」措置 Lutzius, Franz(著/文) - 草思社”. 版元ドットコム. 2023年6月3日閲覧。
  4. ^ 島津彰「「障がい」と「差別」に関する一考察 : 「障害者差別解消法」と「小林一茶の俳句」」『北翔大学北方圏学術情報センター年報』第7巻、北翔大学、2015年、59-72頁、doi:10.24794/00001437ISSN 21853096CRID 1390291167501764352