港 千尋(みなと ちひろ、1960年9月25日[1] - )は、日本の写真家写真評論家著述家)。

多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授。弟の港大尋ミュージシャン

経歴

編集

神奈川県藤沢市出身。パリを拠点に写真家としての活動を開始。「群衆」「移動」などをテーマに写真を撮りながら、多彩な評論を行う。著書に『第三の眼』(2001年)、『芸術回帰論』(2012年)、写真集『波と耳飾り』(1994年)などがある。2007年6〜11月、イタリアで行われたヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本館コミッショナーを務めた。2014年8月1日には、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督に就任した[1]

タスマニアの美術館、Museum of Old and New Art監修。

年譜

編集
  • 1984年 早稲田大学政治経済学部政治学科卒業[1]。1982年、大学在学中にガセイ南米研修基金を受け、南米各国に滞在[2]
  • 1985年 パリを拠点に写真家、写真評論家として活動[3]。このころ、管啓次郎旦敬介赤間啓之などとともに同人誌「MÉLI-MÉLO」(発行:オフィス・エキノクシアル、発売:七月堂)に参加。
  • 1995年 多摩美術大学共通教育学科講師に就任[1]
  • 1996年 多摩美術大学共通教育学科助教授に就任[1]
  • 1999年 多摩美術大学デザイン学科助教授に就任[1]
  • 2002年 オックスフォード大学ウォルフソンカレッジ客員研究員に就任[1]
  • 2003年 多摩美術大学情報デザイン学科教授に就任[1]
  • 2010年 多摩美術大学情報デザイン学科学科長に就任[1]
  • 2013年 国際交流基金国際展事業委員に就任[1]
  • 2014年 あいちトリエンナーレ2016の芸術監督に就任。
  • 2020年 寄稿文「スピーシーズのアトリエ」において、翻訳論文の盗用を指摘された[4]

受賞歴

編集
  • 1997年 『記憶 - 「創造」と「想起」の力』でサントリー学芸賞受賞(社会・風俗部門)[1]
  • 2006年 写真展「市民の色 chromatic citizen」で第31回 伊奈信男賞受賞(ニコンサロン)[1]

著作

編集

写真集

編集
  • 波と耳飾り 新潮社 1994
  • 明日、広場で ヨーロッパ1989〜1994 新潮社 1995
  • 瞬間の山 形態創出と聖性 インスクリプト 2001
  • In between No.2 France Greece EU・ジャパンフェスト日本委員会 2005
  • 文字の母たち インスクリプト 2007
    • のち翻訳、文字的眾母親 活版印刷之旅 台灣商務印書館 2009 (中国語)

評論その他

編集

単著

編集
  • 『ブラジル宣言』弘文堂 1988
  • 『太平洋の迷宮 キャプテン・クックの冒険』リブロポート 1988
  • 『群衆論 20世紀ピクチャー・セオリー』リブロポート 1991/新編 ちくま学芸文庫 2002
  • 『考える皮膚 触覚文化論』青土社 1993
  • 『注視者の日記』みすず書房 1995
  • 『記憶 「創造」と「想起」の力』講談社選書メチエ 1996
  • 『写真という出来事 クロニクル1988-1994』フォトプラネット 1998
  • 『映像論 <光の世紀>から<記憶の世紀>へ』NHKブックス 1998
  • 『自然まだ見ぬ記憶へ』NTT出版 2000
  • 『遠心力 冒険者たちのコスモロジー』白水社 2000
  • 『予兆としての写真 映像原論』岩波書店 2000
  • 『第三の眼 デジタル時代の想像力』廣済堂出版 2001/新編、せりか書房 2009
  • 『洞窟へ 心とイメージのアルケオロジー』せりか書房 2001
  • 『影絵の戦い 9・11以降のイメージ空間』岩波書店 2005
  • レヴィ=ストロースの庭』NTT出版 2008
  • 『愛の小さな歴史』インスクリプト 2009
  • 『書物の変—グーグルベルグの時代』せりか書房 2010
  • 『芸術回帰論』平凡社新書、2012 
  • 『ヴォイドへの旅 空虚の力の想像力について』青土社、2012
  • 『革命のつくり方 台湾ひまわり運動−対抗運動の創造性』インスクリプト、2014
  • 『ヒョウタン美術館』牛若丸、2014
  • 『風景論 変貌する地球と日本の記憶』中央公論新社、2018
  • 『インフラグラム 映像文明の新世紀』講談社選書メチエ、2019 
  • 『現代色彩論講義 本当の色を求めて』MEI、2021 
  • 『写真論――距離・他者・歴史』中公選書、2022

共著・共編

編集
  • 伊藤俊治)熱帯美術館 リブロポート 1989
  • 岡部あおみ)バスチーユ・ロマネスク 学芸出版社 1990
  • (伊藤俊治)映像人類学の冒険 せりか書房 1997
  • (伊藤俊治)移動する聖地 テレプレゼンス・ワールド NTT出版 1999
  • 石田英敬、中山智香子、西谷修アルジャジーラとメディアの壁 岩波書店 2006
  • 松田行正)アンフラマンス/梱包されたデュシャン 牛若丸 2006
  • (鈴木明、多摩美術大学図書館プロジェクト)つくる図書館をつくる 伊東豊雄と多摩美術大学の実験 鹿島出版会 2007
  • (岡部昌生フロッタージュ)岡部昌生わたしたちの過去に、未来はあるのか The Dark Face of the Light 東京大学出版会 2007
  • 永原康史)創造性の宇宙 創世記から情報空間へ 工作舎 2008
  • (マリー=クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセル、エマニュエル・リヴァ、関口涼子)Hiroshima 1958 インスクリプト 2008
  • 茂木健一郎、池上高志、郡司ペギオ‐幸夫)脳の饗宴 青土社 2009

翻訳

編集
  • 闇への憬れ もうひとつの「アフリカの日々」 カマンテ・ガトゥラ著 ピーター・ビアード編 リブロポート 1993

脚注

編集

関連項目

編集