浅岸駅
浅岸駅(あさぎしえき)は、かつて岩手県盛岡市新庄字中津川にあった、東日本旅客鉄道(JR東日本)山田線の駅(廃駅)である。廃止時点で停車する列車は、1日1往復のみであった[4]。2012年度冬季からは隣の大志田駅とともに冬季休業となっていた[5]。
浅岸駅 | |
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![]() 駅全景(2006年7月) | |
あさぎし Asagishi | |
◄大志田 (8.4 km) (8.0 km) 区界► | |
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所在地 | 岩手県盛岡市新庄字中津川21 |
所属事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
所属路線 | ■山田線 |
キロ程 | 27.6 km(盛岡起点) |
電報略号 | アキ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面1線 |
開業年月日 | 1928年(昭和3年)9月25日[1][2] |
廃止年月日 | 2016年(平成28年)3月26日[3] |
備考 | 無人駅 |
歴史
編集- 1928年(昭和3年)9月25日:上米内 - 区界間の延伸開業時に開業[1][2]。
- 1947年(昭和22年)8月8日:昭和天皇のお召し列車が停車。天皇が奉迎者に会釈(昭和天皇の戦後巡幸)[6]。
- 1972年(昭和47年)3月15日:貨物取扱を廃止[2]。
- 1982年(昭和57年)11月15日:スイッチバック廃止[1]。同時にホームを本線上に移転。荷物扱いを廃止し[7]、無人化[8]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、東日本旅客鉄道の駅となる[1][2]。
- 2013年(平成25年):1月1日から冬季休業となる(2012年度は2013年3月15日まで、2013年度以降は2013年12月15日 - 2014年3月15日、2014年度以降は12月1日 - 翌年3月31日)。
- 2015年(平成27年)
- 3月14日:ダイヤ改正により、1日あたりの当駅停車列車本数が上下各1本ずつのみとなる(実際の停車は同年4月1日から)。
- 8月:JR東日本盛岡支社は盛岡市に対し、当駅と大志田駅の廃止を検討していることを伝えた[9][10]。同支社によると当駅の1日当たり平均乗車人数は過去10年以上にわたって1人にも満たない状態が続いており、2014年度は1日平均0.3人であった。駅周辺に住民がほとんどおらず、集客施設もないため、今後利用者の増加も期待できないことに加えて、駅周辺に熊の目撃情報があり、乗客が危害を受けるおそれがあるという。
- 11月30日:翌日から前述の冬季休業に入るため、事実上の最終営業日となる。
- 12月11日:JR東日本盛岡支社が、当駅と大志田駅を次回のダイヤ改正日をもって廃止すると発表[11][3]。
- 2016年(平成28年)3月26日:廃止[3]。
駅構造
編集廃止時点において、単式ホーム1面1線の地上駅で、無人駅であった(盛岡駅管理)。スイッチバック駅時代のホームは島式ホーム1面2線と駅舎側に側線が1本[12]。
かつては隣の大志田駅とともにスイッチバック駅であった。急行や貨物列車はそのまま通過できるが、宮古方面行きの列車は本線を分岐してすぐに行き止まりのホームへ停車していた。盛岡行きは一旦バックして駅に入る構造だった。配線は大志田駅と同じであった[12]。
現在は駅舎が取り壊され更地となっているので僅かな痕跡しか残っていない。
駅周辺
編集- 盛岡保線技術センター休憩室
- 浅岸雨量・積雪観測局
- 中津川地区振興センター(建物は旧盛岡市立中津川小学校校舎。通常は無人だが、盛岡市や住民によって管理・使用されている)
周辺に人家もほとんど無い山の中である。このため、隣の大志田駅とともに一部の鉄道ファンから秘境駅と呼ばれていた。駅周辺での熊の目撃情報があり、待合室には注意を促す盛岡駅長名の貼り紙がある[13]。国道106号から舗装された市道で12kmある(国道に浅岸駅までの看板あり)。大志田駅へは盛岡市の近郊自然歩道(大志田・中津川コース)が整備されている(距離13km、徒歩で約5時間)[14]。駅から区界側に2kmほどの第一飛鳥トンネル口付近に1927年建立の慰霊碑があり、山田線建設時犠牲となった8名の名前が刻まれている。
2014年11月21日放送の「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」内の企画「あなたはナゼ秘境駅へ来たんですか?」において東北一の秘境駅として紹介された。みぞれが降る中を2日間待つも生活利用者は現れず同企画初の3日目に突入。3日目の朝に法事の為に盛岡方面に向かう夫婦に会うことが出来た。夫婦が住む中津川集落はわずか2世帯6人しかいないと紹介された。2015年現在、駅から2.5㎞圏内には上記集落の住民2世帯があるのみという[10]。
隣の駅
編集脚注
編集- ^ a b c d 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2009年12月6日、18-19頁。
- ^ a b c d 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、498頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ a b c “2016年3月ダイヤ改正” (PDF). 東日本旅客鉄道株式会社盛岡支社 (2015年12月18日). 2016年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月19日閲覧。
- ^ 2015年3月14日ダイヤ改正時点では、他に北海道旅客鉄道(JR北海道)石北本線の上白滝駅が存在するだけであった。なお、上白滝駅も当駅と同様、2016年3月のダイヤ改正で廃止された。
- ^ “山田線「大志田駅及び浅岸駅」冬季期間の列車通過について” (PDF). 東日本旅客鉄道盛岡支社 (2014年11月14日). 2014年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月3日閲覧。
- ^ 宮内庁『昭和天皇実録第十』東京書籍、2017年3月30日、399頁。ISBN 978-4-487-74410-7。
- ^ “日本国有鉄道公示第168号”. 官報. (1982年11月13日)
- ^ “「通報」●北上線岩沢駅ほか23駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 8. (1982年11月13日)
- ^ “11月で最後かも…岩手「秘境」2駅の廃止検討”. 読売新聞. (2015年11月28日). オリジナルの2015年12月1日時点におけるアーカイブ。 2022年7月3日閲覧。
- ^ a b “「秘境」2駅 廃止検討”. 読売新聞. (2015年11月29日). オリジナルの2015年11月29日時点におけるアーカイブ。 2022年7月3日閲覧。
- ^ “山田線 大志田駅・浅岸駅廃止について”. 2015年12月11日閲覧。
- ^ a b 小学館『国鉄全線各駅停車・2 東北530駅』(1983年11月)p.144
- ^ https://cdn.4travel.jp/img/tcs/t/pict/src/42/82/63/src_42826340.jpg?1457750242
- ^ “もりおか近郊自然歩道ガイドブック”. 盛岡市. 2022年11月8日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 浅岸駅(JR東日本) - ウェイバックマシン(2015年12月22日アーカイブ分)