流局
流局(りゅうきょく)とは、麻雀において、和了以外の要因で局が終了することをいう。流局することを流れると表現することが多い。
通常の流局
編集河底牌に対してロンがなければ、流局となる。このような流局を、荒牌平局(ホワンパイピンチュー、こうはいへいきょく)、または荒牌(ホワンパイ、こうはい)と呼ぶ。流局のうち最も一般的なケースであり、単に流局といえば通常この荒牌平局を指す。ただし、荒牌平局時に流し満貫が成立していれば、流局として扱わない。
不聴罰符
編集荒牌の場合、聴牌者は倒牌し(手牌を開示し)、聴牌(テンパイ)か否かを基準として点棒が授受される。不聴者から聴牌者に支払われる点数を不聴罰符(ノーテンばっぷ)という。
一般的な不聴罰符の授受は次のようになる。
- 全員が不聴であれば、点棒は授受されない。
- 1人だけ聴牌であれば、不聴の3人から1000点ずつ受け取る。
- 2人が聴牌であれば、不聴の2人が1500点ずつ支払い、聴牌の2人が1500点ずつ受け取る。
- 3人が聴牌であれば、不聴の1人が他の3人に1000点ずつ支払う。
- 全員が聴牌であれば、点棒は授受されない。
要するに、不聴者が合計3000点を支払い、それを聴牌者に分配する。これを「不聴罰符は場に3000点」と言う。
立直との関連
編集荒牌の場合、立直(リーチ)していた者は倒牌しなくてはならない。倒牌を拒むか、不聴が発覚すれば、不聴立直としてチョンボとなる。なお、一般的なルールでは、流局前に他家が和了した場合、手牌を開示する必要は無いため、不聴立直は不問となる。
連荘との関連
編集一般的には、荒牌の場合に親が聴牌していれば、連荘(レンチャン)となる。これを「聴牌連荘」と言う。一方、親が和了った場合のみ連荘とするルールを「アガリ連荘」もしくは「アガリのみ連荘」と言い、アガリ連荘のルールでは、荒牌の場合に親が聴牌していても連荘とならない。(不聴罰符を受け取るが、親流れになる。)「聴牌連荘」にするか「アガリ連荘」にするかは取り決め次第である。
途中流局
編集局の途中において、所定の条件が満たされた場合に流局とすることがある。これを途中流局と言う。この場合、ノーテン罰符など点棒のやり取りは行われず、次の局に移る。連荘とするか親流れとするかは、途中流局をどう扱うかの取り決め如何で変わってくる。連荘とする場合でも親流れとする場合でも積み棒は1本増やすのが一般的である。なお、途中流局を一切なしとするルールもあり[1]、その場合は、以下の各状況が発生しても流局にならない[注 1]。
- 各種ルールにおける扱いの違いについては「連荘#流局と連荘に関わる細目ルールの採用状況」を参照
九種九牌
編集親の配牌または子の第1ツモにおいて、手牌に么九牌が9種類以上含まれていれば、倒牌して流局とすることができる。これを九種九牌(キューシュキューハイ)、九種么九牌倒牌(キューシュヤオチューハイトウハイ)或いは九種么九倒牌(キューシュヤオチュートウハイ)という。ただし、自他を問わず、副露や暗槓がなされた後には実行できない。
条件を満たしていても、本人の意思により宣言しなければ成立しない。したがって、国士無双などを狙い、流局を宣言しない場合もある。
あまりに悪い配牌に対する救済ルールとして作られたと考えられる。なお、么九牌が「9種類以上」ではなく「9枚以上」(么九牌の対子を含んだ「8種類9枚」など)の場合にも流局可とする拡大解釈があるが、これはあくまでローカルルールである。
なお、九牌の「九」は么九牌の「九」である。么九牌が配牌時に9種類10枚のときなどに「九種十牌」のように言うことがあるが、これは正確には誤りである。
四風子連打
編集局の初巡で全プレイヤーが同じ風牌を捨てると、流局となる。これを四風子連打(スーフォンツレンター)という。四風連打(スーフォンレンター)、四家同風(スーチャトンフォン)などともいう。北家の打牌までに、副露や暗槓がなされた場合は成立しない。
元来は、全プレイヤーが最初の打牌で西の牌を捨てた場合、中国において縁起の悪い「一路帰西(死者の魂は一路、西方を目指す)」として流局とするルール[3][4]であったが、1929年の時点で全ての風牌を対象とする四風子連打[5]に変化していたようである[6]。
四開槓
編集四開槓(スーカイカン)は、同一の局において、複数のプレイヤーにより合計で4回の槓が行われた場合、流局とするルールである。四槓散了(スーカンサンラ)、四槓算了[7](スーカンサンラ)、四槓流れ[8](スーカンながれ)ともいう。「四槓」が「死棺」に通じることから縁起が悪いとされたのが由来である[9]。なお四開槓のルールの有無に関わらず、もともとドラを用いるルールにおいては嶺上牌が4枚しか用意されず5回目以降の槓ができない取り決めであるため、本来は途中流局にする必然性が無く、必ずしも嶺上牌が足りないことが四開槓の理由ではない。
「槓が4回行われた場合は流局とする」という説明が一般的だが、4回目の槓が行われ槓ドラをめくり、嶺上牌をツモって牌を捨てて他のプレイヤーのロン和了が発生しなかった際に流局となるルールと、4回目の槓の申告があった時点(搶槓がなかった時点)で流局となるルール[7]がある。
なお、1人のプレイヤーが4回の槓を行った場合は、四槓子(スーカンツ)のテンパイとして続行する。この場合、他のプレイヤーは5つ目の槓をすることができない[10][11][12][8]。ただし一部には、5つ目の槓を認め、それをもって嶺上牌をツモらずに流局としているルールもある[13]。
また、4回目の槓に対して搶槓が発生した場合は、槓が成立しないため、流局にはならず搶槓によるあがりが優先される[7]。なお、この4回目の槓が『中張牌での暗槓』であった場合は搶槓が発生することはなく100%安全かつ確実に槓が成立するため流局になる。
四家立直
編集四家立直(スーチャリーチ)は、同一の局において、4人のプレイヤー全員がリーチした場合に流局とするルールである。四人立直(よにんリーチ)とも言う。
三人リーチの掛っている状態から4人目のプレイヤーがリーチ宣言し、その宣言牌にどこからもロンが掛からなかった時、次のツモ者はツモ牌を取らず、そこで流局となる。その時、本当にテンパイしているかどうか全員が手牌を開け確認を行う。
1957年に制定された「東京ルール」で「四人立直」の名称で初めて成文化された。なお、四家立直を流局としないルールもある。その場合は四人リーチの状態で続行される。
三家和
編集三家和(サンチャホー)は、あるプレイヤーの打牌に対して、他の3名全員がロンを掛けた場合を、特別に流局とするルールである。三家和流れともいう。三家和が成立した場合、その局の点棒収受は行われず、次の局に移る。
なお、三家和を流局とせず、1人または3人全員の和了を認めるルールになっていることもある。上家取り(頭跳ね)を採用している場合は、放銃した者から反時計まわりに数えて最も近いプレイヤーのみ和了とする。トリプルロンあり(トリロンあり)のルールになっている場合は、3名全員の和了を認める。このあたりの細目は場所によって取り決めが異なっている。
なお、東風荘の三人麻雀では、2009年4月23日にルールが改正されるまで[14]、二家和に対して流局が適用されていた。4人打ちにおける三家和流局と同じように、点棒のやり取りなしの流局となった。ルール改正後は、ダブロンの場合は頭跳ねによって上家(放銃者から見ると下家)の和了が優先される。
参考文献
編集- 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年。ISBN 9784831901187。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p89、p136-137
- ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p91。
- ^ 流局 03・四風連打
- ^ 菊池寛『麻雀大講座 入門編』(1930年)p111。川崎備寛『最新麻雀入門』(1950年)p72。
- ^ 「死風子連打」に通じることから前述の一路帰西と同様に縁起が悪いとされた。
- ^ 杉浦末郎『麻雀の戦術』(1929年)p196。
- ^ a b c 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p139。四槓算了の項に詳細。「4組目のカンツが完成した時点」で流局となり、最後の嶺上牌をツモる前に局が終了となる。原文では「嶺上開花のチャンスはない」とある。
- ^ a b 佐々木寿人『ヒサト流 リーチに強くなる麻雀入門』成美堂出版、2012年。ISBN 9784415312231。p122。
- ^ 天野大三、青山敬『新現代ルールによる図解麻雀入門』梧桐書院、1979年。ISBN表記なし、0076-590868-2368。p187。
- ^ 日本プロ麻雀連盟. “日本プロ麻雀連盟競技ルール”. 2011年8月29日閲覧。
- ^ ロン2 (日本プロ麻雀連盟). “遊び方・ルール”. 2011年8月29日閲覧。
- ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p46-p47。
- ^ Maru-Jan. “ルール”. 2012年7月9日閲覧。「四槓子の場合は5回目の槓で流局」と明記されている。
- ^ 東風荘 - 更新情報 - 2009/4/18の項を参照。ルール変更は2009年4月23日から。