活性プラセボ
活性プラセボ(かっせいプラセボ、英:active placebo)とは、なんの作用もないのではなく、本物の治療を受けていると確信させるような目立った副作用を生じるような偽薬である[1]。特にランダム化比較試験 (RCT) において誰が本当の治療を受けているか分からなくする盲検化を徹底し[2]、偽薬であることを見破られないために使われる[1]。活性偽薬ともいう。
命名
編集1965年の論文によれば[3]、1959年のドイツの論文中に「分からなくした偽薬」(concealed placebo、ドイツ語: Kaschiertes Placebo)という言葉が提案されている[4]。
意義
編集根拠に基づく医療では、ランダム化比較試験が最も質の高い証拠だとされており、医師からも患者からも本当の治療を受けているか分からなくすることで、新しい治療を受けていることで患者の反応が良くなったり医師の評価が良くなってしまうという偏りを排除するが、誰が本当の治療を受けたかというこの「盲検化」が徹底されなければ、治療効果の評価を偏らせるリスクがある[2]。
200件に1件 (0.5%) の研究で使われており、少ないためもっと積極的に利用されるべきである[1]。またしかし、活性プラセボによる害が活性プラセボの使用による利益を上回ることが倫理的に必要とされる[2]。
出典
編集- ^ a b c Jensen, Jakob Solgaard; Bielefeldt, Andreas Ørsted; Hróbjartsson, Asbjørn (2017). “Active placebo control groups of pharmacological interventions were rarely used but merited serious consideration: a methodological overview”. Journal of Clinical Epidemiology 87: 35–46. doi:10.1016/j.jclinepi.2017.03.001.
- ^ a b c Vallance, Patrick; Boutron, Isabelle; Estellat, Candice; et al (2006). “Methods of Blinding in Reports of Randomized Controlled Trials Assessing Pharmacologic Treatments: A Systematic Review”. PLoS Medicine 3 (10): e425. doi:10.1371/journal.pmed.0030425. PMC 1626553. PMID 17076559 .
- ^ “Nonblind placebo trial: an exploration of neurotic patients' responses to placebo when its inert content is disclosed”. Archives of General Psychiatry 12: 336–45. (April 1965). doi:10.1001/archpsyc.1965.01720340008002. PMID 14258363 .
- ^ “Das Placeboproblem [[The placebo problem]]” (German). Fortschr Arzneimittclforsch 1: 279–454. (1959). PMID 13710190.