河田耕一
河田 耕一(かわた こういち、1935年[1] - )は、工学者、高知工科大学名誉教授[2]。工学博士[3]。
京都大学鉄道研究会OB[4]。京都大学工学部に在学中から『鉄道模型趣味』(機芸出版社)にて執筆。松下技研[5](現:パナソニック)に勤務[6]ののち大学教授となり、高知工科大学教授を2006年3月31日に退官した[7]。
河田は鉄道模型趣味に関する情報が少ない時代から、それらについて執筆活動を継続して行い、特にストラクチャーの製作においては先駆となった[8]。松下技研[5]の部長時代は「日本の普通の道」を調べることが趣味であった[6]。
略歴
編集工学
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鉄道模型
編集鉄道模型のレイアウトやレイアウトセクション[10][11]を製作する上で必要なシーナリィ[12]や建造物についての趣味的な資料が少ない時代に、『鉄道模型趣味』(機芸出版社)にてそれらに関する記事の執筆を行い、『シーナリィ・ガイド』(同、1974年)としてまとめられ、増刷を重ねた[6]。また、同書に納められなかった記事は『シーナリィ・ストラクチャー ガイド 1』(共著、同、1988年)に掲載された。
鉄道模型のストラクチャーの製作においては先駆となった。『鉄道模型趣味』では数々のストラクチャーの製作記事を発表し[8]、『レイアウト・モデリング』(共著、同、1972年)や『レイアウト・テクニック』(共著、同、1973年)にまとめられた。日本の建造物のストラクチャー製作に欠かせない瓦屋根の製作方法を考案した[13]。
河田がシーナリィやストラクチャーの取材をするきっかけは、『鉄道模型趣味』(1957年1月号)に掲載された、湯山一朗の
という一文であったという。当時は実物に即したレイアウトを製作しようとしても、車輛以外の鉄道風景や建造物に関する資料が皆無に等しかった。そこで河田は日本の鉄道を回り、写真を撮り始めた。写真撮影の方針は次の二つである。
- もっとも普通の風景をもっとも普通に撮る。
- できるだけ多くの事物を写しこむ。
これらの写真から生まれたのが『シーナリィ・ガイド』である。撮影した写真を基に、鉄道施設の建造物の模型制作記事を『鉄道模型趣味』に発表し、多くの優れたストラクチャーを生むきっかけとなった[15]。
2009年には著書『鉄道風景30題』(機芸出版社、2008年)が鉄道友の会の「2009年 島秀雄記念優秀著作賞 単行本部門」に選定される。鉄道施設は建築学・土木工学的側面から解説される場合が多いが、本著作物は河田の半世紀にわたる趣味的で独特な視点から見た内容となっており、河田の鉄道訪問当時を回想をしながらの作風が選定理由となった[16]。
絵画
編集2009年4月15日から20日にかけて、銀座ミレージャギャラリーにおいて、『河田耕一 個展「鉄道の風景を描く - 北から南まで」』が開かれ[17]、1953年から2008年までの列車や鉄道施設、沿線風景、乗客、鉄道現業部門の職員などの様子を描いた風景画が40作品展示された[18]。
著書
編集- 単著
- 『鉄道風景30題 - 過ぎ去ったときを再現する』(初版)機芸出版社、2008年11月1日。ISBN 978-4-905659-16-7。
- 『シーナリィ・ガイド』(初版)機芸出版社、1974年6月15日。
- 共著
脚注
編集- ^ 産学プラザ 研究者データベース、より。
- ^ 『インパクト駆動を用いた超電導位置決め機構の基礎的研究』(p.73、PDF:p.75/75)より。
- ^ a b 河田耕一 会員、より。
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.598 1994年11月号、p.53 より。
- ^ a b 松下電器産業 先端技術研究所。
- ^ a b c d e 山崎喜陽「後付」『シーナリィ・ストラクチャー ガイド 1』より。
- ^ 退官時は、高知工科大学工学部 知能機械システム工学科・大学院工学研究科 教授 -- 河田耕一 会員 より。
- ^ a b 赤井哲朗「後付」『ストラクチャー モデリング 1』より。
- ^ H18年度 | 京機会
- ^ レイアウトの製作方法としては、レイアウト全体を一括して製作する方法とレイアウトを複数個に分割して製作する方法がある。分割されたものをレイアウトセクションという。分割されたレイアウトセクションを接続すると一つのレイアウトになる --『ストラクチャー モデリング 1』(p.6) より。
- ^ レイアウトの一部としてではなく、単体として製作されたものもレイアウトセクションという場合がある --『レイアウト・テクニック』(p.185) より。
- ^ 英語の「scenery」のこと。鉄道模型では山や丘、川、樹木などのことを「シーナリィ」という --『シーナリィ・ガイド』(p11)より。
- ^ 『レイアウト・テクニック』(p.153) より。
- ^ 日本では一般に「ジェットコースター」と呼称される。
- ^ a b 『鉄道風景30題』「はじめに」より。
- ^ 島秀雄記念優秀著作賞 2009年 選定対象の解説・選定理由(鉄道友の会)より。
- ^ 銀座ミレージャギャラリー > スケジュール 2009、より。
- ^ 「河田耕一さんの作品展「鉄道の風景を描く」開催中。」(名取紀之のブログ)より。
参考文献
編集- “単行本部門 河田耕一「鉄道風景30題」機芸出版社(2008)”, 島秀雄記念優秀著作賞 2009年 選定対象の解説・選定理由 (鉄道友の会) (2009年6月18日 更新) 2009年11月30日閲覧。
- 名取紀之「河田耕一さんの作品展「鉄道の風景を描く」開催中。」『編集長敬白』2009年04月16日 17:44 更新、鉄道ホビダス、2009年11月30日閲覧。
- 河田耕一 個展「鉄道の風景を描く - 北から南まで」(2009年4月15日 - 4月20日 開催) 銀座ミレージャギャラリー, > スケジュール 2009 2009年11月30日閲覧。
- 小松茂久「謝辞」『インパクト駆動を用いた超電導位置決め機構の基礎的研究』高知工科大学〈博士論文〉、2007年3月、p.73, PDF:p75/75頁 。2009年11月30日閲覧。
- 河田耕一 会員, パナソニック松愛会(しょうあいかい)四国支部, (2002年10月 アップロード、2006年3月31日以降に更新あり) 2009年11月30日閲覧。
- “河田耕一”, 研究者データベース (産学プラザ - 特定非営利活動法人 JRCM産学金連携センター) 2009年11月30日閲覧。
- 書籍
- 河田耕一『鉄道風景30題 - 過ぎ去ったときを再現する』(初版)機芸出版社、2008年11月1日。ISBN 978-4-905659-16-7。
- 片野正巳 編 編『ストラクチャー モデリング 1』機芸出版社、1995年1月7日。ISBN 978-4905659044。
- 片野正巳 編 編『シーナリィ・ストラクチャー ガイド 1』機芸出版社、1988年4月25日。
- 河田耕一『シーナリィ・ガイド』(初版)機芸出版社、1974年6月15日。
- 山崎喜陽 編 編『レイアウト・テクニック』機芸出版社、1973年10月15日 初版発行、1974年5月15日 再版発行。
- 月刊誌
- 富永一矢「一里鉄道建設記」『鉄道模型趣味』No.4231982年12月号、機芸出版社。[註 1]
- なかお・ゆたか「もう一つのレイアウトデザイン」『鉄道模型趣味』No.251, 2521969年5月号, 6月号、機芸出版社。[註 2]
- 河田耕一「汽笛が聞こえてくるような - そんなストラクチャーを作ろう」『鉄道模型趣味』No.1611961年11月号、機芸出版社。[註 3]
- 河田耕一「信号所の作り方」『鉄道模型趣味』No.1271959年1月号、機芸出版社。[註 2]
- ◇註
- ^ 『ストラクチャー モデリング 1』に収録。
- ^ a b 『レイアウト・テクニック』に収録。
- ^ 『シーナリィ・ガイド』に収録。
外部リンク
編集- 河田耕一 (@kawatak1) - X(旧Twitter)