池谷・張彗星(いけや・ちゃんすいせい、英語: 153P/Ikeya-Zhang)は、2002年2月1日に発見された周期彗星である[6]。登録番号がついた周期彗星の中では、最長の周期(366年)を有する[7]

池谷・張彗星
153P/Ikeya-Zhang
2002年、Philipp Salzgeberが撮影。
2002年、Philipp Salzgeberが撮影。
仮符号・別名 C/1661 C1[1]
C/2002 C1[2], 153P/2002 C1[3]
ヘヴェリウス彗星(旧称)
分類 周期彗星
発見
発見日 1661年2月3日(ヘヴェリウス)
2002年2月1日(池谷・張)
発見者 ヨハネス・ヘヴェリウス
池谷薫張大慶
軌道要素と性質
元期:TDB 2452402.5 (2002年5月8.0日)
軌道長半径 (a) 051.1193 au[3]
近日点距離 (q) 000.5071 au[3]
遠日点距離 (Q) 101.7316 au[3]
離心率 (e) 0.9901[3]
公転周期 (P) 365.50 [3]
軌道傾斜角 (i) 28.121 °[3]
近日点引数 (ω) 34.668 °[3]
昇交点黄経 (Ω) 93.369 °[3]
平均近点角 (M) 00.135 °[3]
前回近日点通過 2002年3月18日[4]
次回近日点通過 2362年9月1日[5]
最小交差距離 0.3319au(地球)[3]
0.0115 au(木星)[3]
ティスラン・パラメータ (T jup) 0.879[3]
物理的性質
絶対等級 (H) 4.0(+コマ[3]
Template (ノート 解説) ■Project
池谷・張彗星の軌道(右下)。左上はハレー彗星、中央はボレリー彗星

概要

編集

2002年2月1日、静岡県周智郡森町池谷薫が口径25cm反射望遠鏡で発見を報告した。同日、中国河南省開封市近くで張大慶中国語版も口径20cm反射望遠鏡で発見した。なお、同日にブラジルのPaulo M. Raymundoも個別に発見していた[6]。この時点では、仮符号C/2002 C1が与えられた[2]

この彗星の軌道を調べた東亜天文学会中野主一は、1532年で発見された大彗星(C/1532 R1)の回帰である可能性を指摘したが、予想された軌道から彗星がずれたので否定された[1]。その後、中野は、1661年2月にポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスが発見したヘヴェリウス彗星 (C/1661 C1) の回帰だと指摘した[1]C/1661 C1は、2月3日から3月28日まで観測され、6度角ほどの尾が観測された。この彗星の記録は、の文書(順治18年1月4日8日に記録あり)[要出典]、そして和歌山県岐阜県にも残されていた[8]

この説はその後の観測で証明され、池谷・張彗星は周期が366年にも達する周期彗星であることがわかって[6]、MPC 46081で登録番号153Pが与えられた[9](これに伴い、ヘヴェリウス彗星の名は廃止された[要出典])。登録番号がついた周期彗星の中では、ハーシェル・リゴレー彗星の公転周期155年とポンス・ガンバール彗星英語版の188年を抜いて最長の周期である[7]

発見当時は9だった彗星は、3月18日に近日点を通過し、最大3等前後に達した[10]。また、イオンテイルが10分単位で変化するなど、ダイナミックな活動を見せた[要出典]。次に回帰してくるのは2362年と予測されている[5]

脚注

編集
  1. ^ a b c 池谷・張彗星は1661年の彗星の再来か”. 国立天文台. アストロアーツ (2002年2月28日). 2022年3月5日閲覧。
  2. ^ a b Green, Daniel W. E. (2002年2月1日). “IAUC 7812: 2002 C1; V838 Mon = PECULIAR Var IN Mon”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 2022年3月5日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 153P/Ikeya-Zhang”. Small-Body Database Lookup. Jet Propulsion Laboratory. 2022年3月5日閲覧。
  4. ^ 木下一男 (2003年12月11日). “153P/Ikeya-Zhang”. 2022年3月5日閲覧。
  5. ^ a b NK 865 153P/Ikeya-Zhang”. 中野主一. OAA computing section circular (2002年8月13日). 2022年3月6日閲覧。
  6. ^ a b c Kronk, Gary W.. “153P/Ikeya-Zhang”. cometography.com. 2022年3月5日閲覧。
  7. ^ a b Small-Body Database Query”. Small-Body Database Lookup. Jet Propulsion Laboratory. 2022年3月6日閲覧。 - デフォルトの状態からLimit by Object Kind/Groupの中のobject kindをcometsに、comet fragmentsのexclude comet fragmentsをチェックし、Output Selection Controlsの中のobject fullnameとper.yをOutput Fieldsに入れてGet Resultsする。
  8. ^ 1661年の池谷・張彗星、日本での観測記録を発見”. 国立天文台. アストロアーツ (2002年5月7日). 2022年3月5日閲覧。
  9. ^ MPC 46081-46172” (pdf). Minor Planet Center (2002年7月24日). 2022年3月6日閲覧。 - ダウンロード元
  10. ^ 池谷-張彗星 153P/Ikeya-Zhang (2002)”. 吉田誠一のホームページ (2002年11月12日). 2022年3月6日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集
前の彗星
ヘリン・ローレンス彗星
周期彗星
池谷・張彗星
次の彗星
ブルーイントン彗星