正論
漢籍における正論
編集中国の戦国時代における性悪説の思想書『荀子』には全32篇の中の一つとして第18篇に『正論篇』が存在したが、ここでの『正論』は「世俗の謬論を正す」ことを意味していた[3]。荀子はこの正論篇の篇頭において君主が何も唱えなければ君主が居ないのと変わらず、君主が公正・端誠に宣明して民を正直・素直にさせやすくするのが治平の仕組みであると主張した[3]。
また後漢で編纂された歴史書『漢書』の「晁錯伝」[注 1]には「興自朕躬、大夫其正論、毋枉執事。」[注 2]として、同書の「夏侯勝伝」[注 3]には「人臣之誼、宜直言正論、非苟阿意順指。」[注 4]として正論という語が使われていた[4][5]。
日本語における正論
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ロジカルハラスメント(正論ハラスメント)
編集ロジカルハラスメント(ロジハラ、正論ハラスメント)とは正論により相手を追い詰めるハラスメントのことである[6][7][8]。
正論モンスター
編集正論モンスターは正論を振りかざすクレーマーのことである[9]。提唱者はエンゴシステム設立者の援川聡であり[10]、カスタマーハラスメントの文脈で使われている。
2014年のニュースサイト『J-CAST』における援川聡の連載『元刑事「直伝」 社内クレーマー撃退法』の記事では正論モンスターは対応の難しいものに対して理にかなった正論を唱えながら圧迫するモンスター化したクレーマーのことを指し、このクレーム先が営利企業だけでなく非営利団体へも拡大しているとされた[11]。一方、同年の同連載では社内の正論モンスターについても取り上げられたが、こちらは理にかなった正論ではなく屁理屈を混ぜた『自己保身モンスター』であるとした[12]。
次いで2015年にはダイヤモンド・オンラインにおける援川聡の連載『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』の中で異物混入事件に対するクレーマーとして正論モンスターが取り上げられたが、こちらは普通の人がインターネットとマスコミの影響によってクレーマー化したものであるとされた[13]。
2019年のNHK「クローズアップ現代+」取材班による書籍『カスハラ モンスター化する「お客様」たち』の中では正論モンスターとして銀行のOBクレーマーの例が取り上げられた[10]。
関連雑誌
編集関連作品
編集注釈
編集- ^ 卷四十九 爰盎晁錯傳 第十九
- ^ 読み下し文「朕が
躬 自 り興す、大夫 其 れ正論せよ、執事 を枉 ぐる毋 かれ。」 - ^ 卷七十五 眭兩夏侯京翼李傳 第四十五
- ^ 読み下し文「人臣の
誼 、宜しく直言正論すべし、苟 も意に阿 り指に順 うに非 ず。」 - ^ 「怨み屋本舗WORST 12」(ISBN 978-4088915555) 収録
出典
編集- ^ a b 正論 コトバンク
- ^ a b 『新漢和辞典』 p.402 集文館 1966年 [1]
- ^ a b 久保天随『荀子新釈 巻中』 pp.256-257 博文館 1911年 [2]
- ^ 浜野知三郎 編『新訳漢和大辞典 増修103版』 p.836 六合館 1925年 [3]
- ^ 上田万年、松井簡治『大日本国語辞典 卷三 修訂』 p.543 富山房 1940年 [4]
- ^ 【No.140】正論ハラスメント 日本アイラック 2022年11月28日
- ^ 「ロジハラ」とは|ロジカル(正論)ハラスメントという新しいハラスメントに賛否両論 楽天 2024年11月11日
- ^ 正論で追い詰めるロジハラ上司「職場の論破王」「ナゼナゼ攻撃」が大迷惑なワケ - ダイヤモンド・オンライン ダイヤモンド社 2024年10月8日
- ^ 【No.98】正論モンスター 日本アイラック
- ^ a b NHK「クローズアップ現代+」取材班『カスハラ モンスター化する「お客様」たち』 文藝春秋 2019年8月29日 ISBN 978-4163910819
- ^ 「正論」モンスターが「社会福祉」を襲う J-CAST 2014年10月8日
- ^ 「自己保身モンスター」上司の冷たい一言 J-CAST 2014年10月22日
- ^ 「異物混入」を許さない“正論モンスター”が急増中 - ダイヤモンド・オンライン ダイヤモンド社 2015年2月10日
- ^ 「ガールズバンドクライ展」1月29日抽選チケット販売 手島nari描き下ろしイラストも Real Sound 2025年1月28日
- ^ 「幼女戦記」カルロ・ゼンが原作務める“本格外交業務戦記”「明日の敵と今日の握手を」 ナタリー 2022年11月18日