櫻井欽一
日本のアマチュア鉱物学者
櫻井 欽一(さくらい きんいち、1912年12月11日[1] - 1993年10月6日[1])は、日本のアマチュア鉱物学者[1]、地球科学者。家業(東京都・神田須田町にある老舗の鳥鍋屋「ぼたん」[2])の傍ら、独学で鉱物学を修めた。理学博士(東京大学・1955年)(学位論文「神奈川県湯河原産沸石類の研究」[3])。1964年紫綬褒章受章[1]。
櫻井 欽一 | |
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生誕 |
1912年12月11日 日本 東京府 |
死没 | 1993年10月6日(80歳没) |
居住 | 日本 |
研究分野 | 鉱物学 |
出身校 | 専修大学予科 |
影響を 受けた人物 | 福地信世、伊藤貞市 |
主な受賞歴 | 紫綬褒章(1964年) |
プロジェクト:人物伝 |
経歴
編集東京神田下連雀に生まれる[1]。永田町小学校(現:麹町小学校)[要出典]、攻玉社中学校・高等学校[要出典]を経て、1932年専修大学予科修了[1]。1942年東京科学博物館(現:国立科学博物館)嘱託[1]、1950年横浜国立大学非常勤講師(- 1956年)[1]。
1952年には湯河原沸石 (yugawaralite)[4]を、1954年には亜砒藍鉄鉱 (parasymplesite)[5]を新鉱物として記載。1955年東京大学から理学博士を授与される[1]。
1965年に兵庫県生野鉱山で発見された新鉱物が櫻井鉱 (sakuraiite)[6][7]と命名され、1981年に静岡県河津鉱山で発見された新鉱物が欽一石 (kinichilite)[8][9][10]と命名された。この命名より、姓名ともに国際鉱物学連合 (IMA) に承認された鉱物名になった最初の日本人となった[要出典](その後、姓名ともに鉱物名となった人物には、宮久三千年(宮久石、三千年鉱)と逸見千代子(逸見石、千代子石)がいる[要出典])
生涯を通じて日本産鉱物を中心とする日本最大の鉱物コレクションを構築した[1]。そのコレクションは「櫻井コレクション」と呼ばれ[1]、死後、国立科学博物館と神奈川県立生命の星博物館へそれぞれ寄贈された[1]。
受賞歴
編集著書など
編集- 桜井欽一『軍需鉱物資源肉眼鑑定法』柁谷書院、1944年。
- 和田維四郎 著、伊藤貞市・桜井欽一編 編『日本鉱物誌 上巻』中文館書店、1947年。
- 木村健二郎、桜井欽一 著「稀元素の鉱物及び国内資源」、木村健二郎・植村琢 編『稀元素の化学分析』山海堂、1949年。
- 桜井欽一『重要鉱物肉眼鑑定法』柁谷書院、1949年。
- 桜井欽一『鉱物の採集と見分け方』恒星社厚生閣〈楽しい理科教室〉、1954年。
- 桜井欽一、加藤昭『鉱物採集の旅 1 関東地方とその周辺』築地書館、1972年。
- 桜井欽一 著「伊豆半島の鉱物」、星野通平・青木斌 編『伊豆半島 : 杉山隆二先生還暦記念論文集』東海大学出版会、1972年。
- 桜井欽一『蟇石庵塵語-わが父母を語る、その他』私費出版、1972年。
- 加藤昭『桜井鉱物標本』桜井欽一博士還暦記念事業会、1973年。
- 櫻井欽一蒐集『Terra : Sakurai collection』佐々木光写像、米澤敬構成、牛若丸/星雲社、2004年。ISBN 4-434-05299-3。
脚注
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n “特別展「櫻井コレクションの魅力(偉大なアマチュア自然科学者の軌跡)」(1997年)”. nh.kanagawa-museum.jp. 神奈川県立生命の星・地球博物館. 2022年12月31日閲覧。
- ^ 『追悼記 : 本会評議員 桜井欽一博士の御逝去を悼む』宝石学会(日本)、1993年。doi:10.14915/gsjapan.18.1-4_52_1 。2022年12月31日閲覧。
- ^ 博士論文書誌データベース
- ^ Sakurai, K. and Hayashi, A. (1952): “Yugawaralite”, a new zeolite. Sci. Rept. Yokohama Nat. Univ., Sec. II, No. 1, 69-77.
- ^ Ito, T., Minato, H. and Sakurai, K. (1954) Parasymplesite, a new mineral polymorphous with symplesite. Proc. Japan Acad., 30, 318-324.
- ^ Sakuraiite (英語), MinDat.org, 2011年11月5日閲覧。
- ^ Sakuraiite (英語), WebMineral.com, 2011年11月5日閲覧。
- ^ Kinichilite (英語), MinDat.org, 2011年11月5日閲覧。
- ^ Kinichilite (英語), WebMineral.com, 2011年11月5日閲覧。
- ^ Hidemichi HORI; Eiji KOYAMA and Kozo NAGASHIMA (1980). “Kinichilite, a new mineral from the Kawazu mine, Shimoda city, Japan” (PDF). Mineralogical Journal (The Mineralogical Society of Japan) 10 (7): 333-337. doi:10.2465/minerj.10.333. ISSN 0544-2540. JOI:JST.JSTAGE/minerj/10.333 .
参考文献
編集- 加藤昭「櫻井欽一会員」(PDF)『地質學雜誌』第99巻第12号、日本地質学会、1993年、1068頁、ISSN 0016-7630、NAID 110003024478。
- 濱田隆士「櫻井欽一博士とその足跡-出逢いと運命-」『自然科学のとびら』第3巻第1号、神奈川県立生命の星・地球博物館、1997年。
- 松原聰「日本人の名前がついた鉱物」『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、192-193頁。ISBN 4-05-402013-5。
関連項目
編集外部リンク
編集- “櫻井鉱物コレクション”. 研究と標本・資料 ≫ 研究部紹介 ≫ 地学研究部. 国立科学博物館. 2011年11月5日閲覧。
- 宮城磯治. “nkysdb: 桜井 欽一”. なかよし論文データベース. 産業技術総合研究所. 2011年11月5日閲覧。
- 宮島宏. “新鉱物の発見に関わった人たち”. 2011年11月5日閲覧。