栃木県立日光自然博物館
日光自然博物館(にっこうしぜんはくぶつかん)は栃木県日光市中宮祠にある博物館。またそれを管理運営する企業。
日光自然博物館 Nikko Natural Science Museum | |
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外観(2023年6月) | |
施設情報 | |
専門分野 | 日光の自然 |
事業主体 | 栃木県 |
管理運営 | 株式会社日光自然博物館[1] |
所在地 |
〒321-1661 日本 栃木県日光市中宮祠2480-1 |
位置 | 北緯36度44分19秒 東経139度30分0秒 / 北緯36.73861度 東経139.50000度座標: 北緯36度44分19秒 東経139度30分0秒 / 北緯36.73861度 東経139.50000度 |
アクセス | 本文参照 |
外部リンク |
www |
プロジェクト:GLAM |
概要
編集主要施設の日光自然博物館のほか、栃木県中禅寺湖畔国際避暑地記念施設[2]である英国大使館別荘記念公園、イタリア大使館別荘記念公園、中禅寺湖畔ボートハウスおよび低公害バス運行(運行業務は東武バス日光に委託)、赤沼自然情報センター、戦場ヶ原方面のネイチャーガイドなどを含めて、指定管理者の株式会社日光自然博物館が管理運営している。
日光自然博物館
編集建設経緯
編集栃木県は、総合ビジターセンターという名称で自然博物館の設置検討を重ねてきた。1986年(昭和61年)には、これまでの検討をまとめるかたちで基本構想策定調査を実施し、設置場所は、バス発着所や公共駐車場などの施設が集積し、茶ノ木平へのロープウェイの駅も隣接している中宮祠の東武バス[3]温泉駅前広場を最適地とした[4]。
1987年(昭和62年)には基本計画策定調査を実施し、自然博物館だけではなく東武バス温泉駅も取り込み一体整備として地区の再配置案が提案された[4]。1989年(平成元年)に事業に着手し、1991年(平成3年)に完成した[5]。
博物館
編集華厳滝と中禅寺湖に隣接し、自然や歴史を紹介するほか、地域の情報発信基地として自然情報、ハイキングコースの案内、自然体験イベントの開催などの活動を行っている[6]。
2023年(令和5年)3月31日にリニューアルオープンし、デジタル技術を使った体験型展示施設となる[7]。同年6月24日、G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合に出席する各国の閣僚らが博物館を訪れ、栃木県知事の福田富一、日光市長の粉川昭一、日光市立中宮祠小中学校の児童生徒らの歓迎を受けた[8]。
- 営業情報
- 入館料は、大人の個人料金が510円で、小人の個人料金が250円であるが、それぞれ団体料金の設定があり、20名以上が対象となる。学校団体の場合、教員も生徒(児童)と同額となる。
- 開館時間は、4月1日から11月10日までが9:00 - 17:00。11月11日から3月31日までが10:00 - 16:00となっている。
- 休館日は、6月から10月までは無休、11月から5月までは毎週月曜日(祝日の場合、翌日以降に振り替え)、12月29日から1月3日までの年末年始となっている。
- アクセス
英国大使館別荘記念公園
編集イタリア大使館別荘記念公園
編集中禅寺湖畔ボートハウス
編集低公害バス
編集導入の経緯
編集日光国立公園[13]内の奥日光地区において、日光市道1002号線は千手が浜までの行き止まりの道路ではあるものの沿線キャンプ場や保養所利用者、風景撮影のために小田代ヶ原へ訪れる人、その他観光客などの自家用車の乗り入れが、トップシーズンには1日700台を超えると推測され、過大な自家用自動車進入によりハイカーなど歩行者の安全確保と排ガスによる動植物への悪影響が懸念され、1990年(平成2年)に知事より奥日光のあり方について検討するよう指示があり、栃木県の関係各課により「奥日光地域自動車利用適正化対策検討会」を設置し、奥日光の共通課題として「交通混雑」「路上駐車の増加」「通過自動車による歩行者・自転車の危険」「道路外への自動車乗り入れによる植生の破壊」「ゴミの投げ捨てによる動植物への悪影響」などが挙げられた[14]。これらを受けて1992年(平成4年)3月に国の機関、地元関係団体、県および日光市などで構成される「奥日光地域自動車利用適正化対策協議会」が組織され、協議の結果[15]、戦場ヶ原を通る国道120号から小田代原、西ノ湖を経て中禅寺湖沿岸の千手ヶ浜へ通じる市道1002号線沿線の自然を保護するため、1993年(平成5年)4月1日よりこの区間への観光バスとタクシーを含む一般車両の乗り入れを禁止し[16]、代替の公共交通機関として栃木県(栃木県立日光自然博物館)が運行している[17][15]。低公害バス採用の背景として、1993年の「奥日光地区の自然保護を目指すエコ・トランスポート調査」にて、国道120号線沿線では駐車場が完備され、赤沼や菖蒲ヶ浜から小田代ヶ原まで歩道が整備されている、千手が浜までは中宮祠や菖蒲ヶ浜から船も利用できることから自動車以外の交通施設は整備されているという評価、1002号線は千手が浜までは約10km(うち勾配のきつい区間が3km)、子供や高齢者・身障者など利用者は多様である現実を踏まえて、歩行を原則とし、自然を体験できる時間と空間を提供する自然共生型乗り物であると評価されている低公害バスによるシステム完備スべきと提言している[18]。
バスの待合室を兼ねて、赤沼自然情報センターを併設している。
沿革
編集- 1993年
- 2021年4月24日 - 大型電気バスを投入し運賃改定(大人300円→500円、小人150円→250円)[22][23]。
- 2022年4月23日 - 運行委託事業者を東武バス日光へ変更、交通系ICカードによる運賃支払いに対応するとともに、運賃後払いから前払い方式へ変更[24]。
- 2023年
運行内容
編集- 運行主体:栃木県立日光自然博物館
- 運行業務:
- 運行区間:赤沼車庫 - 小田代原 - 西ノ湖入口 - 千手ヶ浜(フリー乗降制、国道区間を除きどこでも乗降可)[17]
- 運賃:大人(中学生以上)500円、小人(6歳 - 12歳)250円[17]
- 運行期間:4月下旬から11月末日(それ以外の冬季期間は運休)[17]
- 発着地:栃木県日光市中宮祠2494(赤沼車庫)
車両
編集車両は栃木県が所有し、ハイブリッドバスと電気バスが使用されている[22]。
(初代)わたすげは19年間にわたり赤沼車庫から千手ヶ浜までの約10キロメートルを往復し、累計約35万キロメートルを走行した[28]。同車は、日野自動車が世界初の電気式ハイブリッドバスとして1990年代初めに開発・市販したHIMRの最初期の1台であることから、日野自動車に引き取られ、日野オートプラザに展示されている[28][29]。
名称 | 代 | 種類 | 車両 | 型式 | 年式 | 定員 | 席数 | 運行開始 | 運行終了 | 備考 |
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わたすげ | 初代 | ハイブリッド | 日野・ブルーリボンHIMR[17] | U-HU2MMAA改 | 1993年式 | 73名 | ? | 1993年4月26日 | 2012年11月30日[28] | ツーステップバス |
のあざみ | 初代 | 電気 | いすゞ・エルフ(ベース) | U-NKR58LVN改[30] | 1993年式 | ? | ? | 1993年4月26日 | 2004年 | 小型、ボディは京成自動車工業製[31] |
しらかば | 初代 | ハイブリッド | 日野・ブルーリボンHIMR | KC-RU1JMCH | 1998年式 | 69名 | 42席 | 1998年5月 | 2020年11月30日[22][32] | ツーステップバス[19] |
のあざみ | 2代目 | ハイブリッド | 日野・セレガRハイブリッド | VM-RU2PPER | 2005年式 | 61名 | 45席 | 2005年10月 | 2022年[25] | [19] |
わたすげ | 2代目 | ハイブリッド | 日野・セレガハイブリッド | QQG-RU1ASBR | 2013年式 | 56名 | 45席 | 2013年4月 | [19] | |
しらかば | 2代目 | 電気 | アルファバス(江蘇常隆客車)E-City | L10 | 2021年式 | 69名 | 27席 | 2021年4月24日[33][34] | 燃焼式ヒーターは未搭載 赤沼車庫内にCHAdeMO規格の充電器を設置[22] | |
のあざみ | 3代目 | 電気 | アルファバス(江蘇常隆客車)E-City | L10 | 2023年式 | 69名 | 27席 | 2023年4月22日[35][25] |
脚注
編集- ^ 栃木県立日光自然博物館、栃木県奥日光地区駐車場及び栃木県中禅寺湖畔国際避暑地記念施設に係る指定管理者候補者の選定結果について栃木県
- ^ 栃木県中禅寺湖畔国際避暑地記念施設設置及び管理条例栃木県
- ^ 当時は東武鉄道直営で「東武鉄道バス事業本部」であった。
- ^ a b 手嶋 2016, p. 107.
- ^ 手嶋 2016, p. 108.
- ^ “日光自然博物館について | 日光自然博物館”. www.nikko-nsm.co.jp. 2018年9月20日閲覧。
- ^ “県日光自然博物館リニューアル 3月31日オープン デジタル体験型展示に”. 下野新聞. 2023年3月30日閲覧。
- ^ “G7日光閣僚会合 「雄大な自然、歴史感じて」 地元で歓迎の声広がる”. 下野新聞 (2023年6月25日). 2023年7月12日閲覧。
- ^ a b 『るるぶ情報板 栃木 宇都宮 那須 日光'20』 5568巻、JTBパブリッシング、2019年7月1日、88-89頁。ISBN 978-4-533-13442-5。
- ^ 中禅寺湖畔ボートハウス栃ナビ!
- ^ 「とちぎの百様大図鑑」栃木県 2016年3月 P194
- ^ 中禅寺湖畔ボートハウス日光自然博物館
- ^ 日光国立公園 環境省公式サイト
- ^ 手嶋 2016, p. 117-119.
- ^ a b 手嶋 2016, p. 119.
- ^ 奥日光の交通規制 栃木県公式サイト、2000年11月30日、2019年10月26日閲覧
- ^ a b c d e f 低公害バス 栃木県立日光自然博物館公式サイト、2019年12月07日閲覧
- ^ 手嶋 2016, p. 120.
- ^ a b c d 『バスジャパンハンドブックシリーズ S91 朝日バス』BJエディターズ・星雲社、2016年5月1日。ISBN 978-4434218828。
- ^ a b 小田代原 低公害バス(赤沼~千手ヶ浜) 日光交通公式サイト
- ^ 『栃木県議会史 地方自治法施行 第12編』栃木県議会 2002年3月 P72
- ^ a b c d e 「バスラマインターナショナル186」ぽると出版 2021年 P6-7
- ^ 奥日光「低公害バス」運行開始のお知らせ 日光自然博物館
- ^ a b “4/23~ 赤沼奥日光低公害バス 本年も運行開始いたします!”. 東武バス (2022年4月13日). 2022年4月24日閲覧。
- ^ a b c 奥日光「低公害バス」運行開始のお知らせ
- ^ “奥日光低公害バス路線(赤沼車庫~千手ヶ浜)で、自動運転の実証実験を行います!”. 日光自然博物館 (2023年9月19日). 2023年9月19日閲覧。
- ^ “日光市実証実験”. 栃木県 (2023年9月1日). 20230-09-19閲覧。
- ^ a b c 「日野オートプラザで日野HIMR『わたすげ号』展示開始!」『バスグラフィック』Vol.20、p.4。ネコ・パブリッシング、2014年1月31日発行 ISBN 978-4-7770-1543-6
- ^ 「日野オートプラザ」が4月1日(月)にリニューアルオープン 日野自動車ニュースリリース、2013年4月1日、2019年10月26日閲覧。
- ^ 資料3 栃木県内における主な新エネルギーの導入状況栃木県
- ^ 『バスジャパン ハンドブックシリーズ R54 朝日自動車』p.64、BJエディターズ/星雲社、2005年1月1日。
- ^ 日光自然博物館ニュースリリース日光自然博物館
- ^ 日光国立公園にEVバス 自然博物館が運行日本経済新聞
- ^ ~栃木県 日光自然博物館 低公害バスにご採用~ アルファバスジャパン株式会社公式サイト、2021年8月9日閲覧
- ^ 低公害バス 栃木県
参考文献
編集- 手嶋潤一『観光地日光その整備充実の歴史』随想舎、2016年4月21日。ISBN 978-4-88748-323-1。
関連項目
編集外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- 日光自然博物館 (nikkonsm) - Facebook
- 日光自然博物館 (@nikkonsm) - X(旧Twitter)
- 日光自然博物館 (@nikkonsm) - Instagram
- 栃木県立日光自然博物館について - 栃木県環境森林部自然環境課