柳河風俗詩
「柳河風俗詩」(やながわふうぞくし)は、多田武彦の合唱組曲。作詞は北原白秋。男声合唱版が先に作曲され、後に混声合唱にも編曲された。
概説
編集白秋の詩集『思ひ出』(1911年)から4編の詩を選び、1954年(昭和29年)に男声合唱組曲として作曲、翌1955年(昭和30年)12月に京都大学男声合唱団によって初演された。多田にとって合唱界における処女作である。
当時の多田は京大を卒業し富士銀行に就職したばかりで、音楽活動を続けるか悩んでいたころであるが、作曲の指導を受けていた清水脩から音楽を続けるよう助言され、「エチュード(習作)として」[1]書いたのがこの曲である。当時としては少ない男声合唱のレパートリーとして歓迎され、以後現在に至るまで世代を問わず男声合唱の定番曲となっている。なお混声合唱版は1986年に混声合唱団京都木曜会が初演している。
曲目
編集全4楽章からなる。全編無伴奏である。
柳河風俗詩・第二
編集西南シャントゥールの委嘱により、多田は同じ『思ひ出』の中から別の6編を選び、男声合唱組曲としている。1994年(平成6年)11月11日、同団の創立40周年記念演奏会にて、内海敬三の指揮で初演された。初演時の題名は『思ひ出』であったが[2]、出版に際し『柳河風俗詩・第二』と改められた。
- 水路
- ニ短調。平成15年度全日本合唱コンクール課題曲。
- 梨
- ハ短調。
- 立秋
- ヘ短調。
- あひびき
- ト短調。
- 散歩
- ト長調。
- みなし児
- ニ短調。
楽譜
編集男声版は「多田武彦 男声合唱曲集(1)」に、混声版は「多田武彦 混声合唱曲集(2)柳河風俗詩」に、『第二』は「多田武彦 男声合唱曲集(6)」に所収。いずれも音楽之友社から出版されている。
- (男声版)ISBN 9784276908130
- (混声版)ISBN 9784276905719
- (第二)ISBN 9784276909014