村上 卓哉(むらかみ たくや、1970年昭和45年)10月19日[1] - )は、日本政治家福岡県田川市長(1期)。元田川市議会議員(2期)。田川郡東部環境衛生施設組合副組合長。

村上 卓哉
生年月日 (1970-10-19) 1970年10月19日(54歳)
出生地 日本の旗 日本 福岡県田川市
出身校 福岡県立田川高等学校
福岡大学
前職 田川信用金庫職員
安田火災海上保険株式会社(現・損害保険ジャパン)社員、同保険代理店
保護司
所属政党 無所属
公式サイト 村上たくや 田川に元気を取り戻す!

田川市長
当選回数 1
在任期間 2023年 -

田川市議会議員
当選回数 2
在任期間 2015年 - 2023年
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来歴

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福岡県田川市出身[2]福岡県立田川高等学校[2]1995年平成7年)福岡大学経済学部経済学科卒業[1]田川信用金庫職員[1]、安田火災海上保険株式会社(現・損害保険ジャパン)社員、同保険代理店[1]、保護司を経て[3]2015年(平成27年)の田川市議会選挙(第18回統一地方選挙)で田川市議会議員に初当選[1]2019年令和元年)の田川市議会選挙(第20回統一地方選挙)で2回目の当選[1]2023年(令和5年)の田川市長選挙に立候補し、現職の二場公人を破って初当選した[3]

田川市議員として

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田川市と田川郡などの8市町村は、し尿処理施設やごみ処理施設、最終処分場の建設・運営を田川郡東部環境衛生施設組合に委託している。この組合の理事長には、永原譲二大任町町長)が2021年(令和4年)4月に就任したが、副理事長である他の7市町村の市町村長で[4]、田川市市長の二場は永原の義弟である。各市町村は人口などに応じて負担金を組合に支払っており[5]2022年(令和4年)2月18日、各市町で行っていたごみ処理を一括して行うために[6]、総工費約400億円[7]の「(仮称)大任町ごみ処理施設」の起工式が施設の受け入れを表明した大任町で行われた[8]。しかし、当初は300億円だった総工費が394億円に高騰した上に[4]、永原や大任町は7市町村や組合の議員である村上ら組合の議員への情報公開を充分に行わなかった[6]

2022年4月、村上を含む田川市議3人が情報公開をテーマにしたオンブズマンの勉強会に出席し、300億円だった事業費が394億円に膨張していることに言及した。これに対して、永原や二場を含む田川地区広域環境衛生施設組合の組合長と副組合長は連名で、3人に文書での謝罪を求める抗議文を7月に送付した[4]。これに対し、村上ら3人は福岡県庁で記者会見を行い、表現の自由知る権利の侵害、言論弾圧と組合の抗議文を批判した。RKB毎日放送(RKB)は、連名で抗議文を出した永原を含む8人に取材を申し込んだが、全員「個別具体の回答は差し控る」として取材を拒否した[4]

2023年3月、田川郡東部環境衛生施設組合議会の百条委員会は、組合の議員で「広域行政の情報公開に関する勉強会」をした村上ら田川市議4名[9]に出頭を要請したが、4名は地方自治法に基づかない委員会であることを理由に出頭を拒否した[10]。3月31日、百条委員会は4名が正当な理由なく出頭に応じなかったことを理由に、地方自治法違反で刑事告発した[11]。これに対し村上ら4人の市議は4月4日に福岡県庁で記者会見を行い、「表現の自由を侵害する不当な告発で異常事態だ」と批判した[9]

田川市長として

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村上は2023年4月の田川市長選挙(第20回統一地方選挙)で田川市議を辞して立候補し当選。田川市長と田川郡東部環境衛生施設組合議会の副理事長に就任した。村上は、非公開の文書も含めて開示を要求していくと述べた[5]

2023年9月の田川市議会では日本共産党の市議が田川市に対して行った情報公開請求の過程で、市議の個人情報が大任町長である永原に漏洩した疑いについて質問したが、田川市は情報漏洩の疑いを否定した[12]

大任町長と互いに告訴・告発

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2023年3月、田川市が2022年12月に行われた建設費の積算根拠の公表を求める情報公開請求に対し、大任町は「事業の審議は大任町議会の役割」として公開に応じない旨を文書で回答した[6]。この対応に抵抗した田川市議会の議員は、6月にこの文書の内容を公開するよう、村上が市長を務める田川市に情報公開請求を行った。これを知った永原は、村上に対し「嫌なら出て行って自分たちで建てなさい」と述べた[13]。7月7日、田川市議会の議員7名が福岡県庁で記者会見し、永原が田川市長の村上に対し情報公開請求された公文書を公開しないよう強要したとして、脅迫罪強要罪で刑事告発したと発表した。なお、永原は発言そのものを否定し[13]、10月31日付で、村上と田川市議会の議員を「犯罪の事実がないのに告訴して名誉を傷つけた」として、永原に対する虚偽告訴名誉毀損で福岡県警に刑事告訴した[14]。11月8日、福岡県警察は永原を強要未遂容疑で、村上と田川市議7人を虚偽告訴と名誉毀損容疑で福岡地方検察庁に書類送検した[15]

2025年(令和7年)1月9日、福岡地検は永原と村上、田川市議のいずれも「諸般の事情を総合的に考慮した」ことを理由に不起訴とした[16]

土下座を強要される

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2024年3月28日、田川市の職員が2023年の12月までに組合の議会に提出するよう求められていた報告書類を提出していなかったことについて、永原は「田川市の課長は自分の部下にあたる」と主張し、開会中の組合の議会で突然土下座をした。その上で、村上と田川市の職員に対しても土下座を強要した。一部の組合議員からも村上の土下座を要求する声が挙がったため、村上は土下座をした。なお、組合長の部下とする永原の主張に対し、総務省市町村課は「自治体の職員は担当だとしても部下にはならない」と否定している[17]

脚注

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  1. ^ a b c d e f 田川市長プロフィール/田川市
  2. ^ a b 村上たくや|プロフィール
  3. ^ a b “【速報】福岡・田川市長に村上卓哉氏が初当選 一騎打ちで現職破る”. 西日本新聞. (2023年4月23日). https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1081398/ 2023年5月8日閲覧。 
  4. ^ a b c d RKB毎日放送 (2022年9月15日). “「ごみ処理施設」の議論はタブー? 福岡・大任町長の不可解 議題にした田川市議「議員バッジ外せ、とどう喝された」”. TBS NEWS DIG. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/153041?display=1 2023年6月10日閲覧。 
  5. ^ a b 金子晋輔、華山哲幸 (2023年5月4日). “300億円施設の公文書、共営自治体と共有せず…福岡・大任町が開示拒む理由”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1085409/ 2023年6月10日閲覧。 
  6. ^ a b c NHK福岡放送局 (2023年9月25日). “【解説】大任町めぐる3つの問題 共通点は「情報公開」|NHK 福岡のニュース”. 日本放送協会. https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20230925/5010021986.html 2024年3月30日閲覧。 
  7. ^ RKB毎日放送 (2024年4月15日). “「日本全国さがしても積算書は存在しない」 町長が断言した文書か 県庁で発見 実態見えない公共工事”. TBS NEWS DIG. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1115300?display=1 2024年4月20日閲覧。 
  8. ^ 吉川文敬 (2022年2月18日). “田川地区ごみ処理場、大任町で起工 25年本格稼働へ”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/878369/ 2023年6月10日閲覧。 
  9. ^ a b 金子 晋輔、華山 哲幸 (2023年4月4日). “福岡・田川市議4人「表現の自由侵害」  環境衛生施設組合の告発可決巡り会見”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1076052/ 2023年7月16日閲覧。 
  10. ^ 吉川文敬 (2023年3月23日). “福岡・田川市議4人が百条委に出席せず 田川郡東部環境衛生施設組合議会”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1070387/ 2023年6月10日閲覧。 
  11. ^ 吉川文敬 (2023年3月23日). “田川郡東部施設組合百条委 出頭しない田川市議4人告発へ 31日可決の見込み”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1074276/ 2023年7月16日閲覧。 
  12. ^ 田川市議会広報委員会(編)「一般質問 日本共産党市会議員団 佐藤俊一議員」『たがわ議会のおしらせ』第222号、田川市議会、2023年12月1日、11頁。 
  13. ^ a b RKB毎日放送 (2023年7月7日). “「公文書公開しないよう強要された」町長を刑事告発へ 近隣議会の市議7人 ごみ処理施設めぐり”. RKBオンライン. https://rkb.jp/contents/202307/202307076851/ 2023年7月9日閲覧。 
  14. ^ 西武本社編集局 (2023年11月2日). “福岡県大任町が「逆告訴」…町長を強要未遂容疑で告訴した田川市と市議らへの対抗措置”. 読売新聞. https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231102-OYTNT50026/ 2025年1月18日閲覧。 
  15. ^ “互いに告訴・告発し合っていた福岡県の大任町長と田川市長らを書類送検…強要未遂や名誉毀損容疑で”. 読売新聞. (2023年1月10日). https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241127-OYTNT50017/ 2025年1月18日閲覧。 
  16. ^ “ゴミ処理施設情報公開請求めぐり 田川市長と大任町長を不起訴|NHK福岡のニュース”. NHKニュース. (2025年1月9日). https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250109/5010026733.html 2025年1月18日閲覧。 
  17. ^ RKB毎日放送 (2024年3月29日). “町長が議場で市長に土下座を要求  傍聴した議員は「びっくりしました。土下座を強要する意味わからない」 ゴミ処理施設などを周知するパンフレットめぐり紛糾”. TBS NEWS DIG. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1083854?display=1 2025年1月18日閲覧。 

外部リンク

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