末浄水場
概要
編集1930年(昭和5年)に開設し、1932年(昭和7年)に完成した金沢市営の浄水場で、緩速濾過方式を採用した施設である。犀川中流部の金沢市寺津町(旧石川郡犀川村字寺津)を源とする寺津用水が水源となっている。
ろ過池などの開設当初の設備が現在でも使用されており、1985年(昭和60年)5月27日に近代水道百選に選ばれ、2001年(平成13年)8月28日に沈澱池、ろ過池などが登録有形文化財に登録されている。
また、浄水場内には1932年に設けられた庭園(末浄水場園地)があり、前庭には泉水や噴水施設などから構成されている。開設当初の近代的な造園技術を取り入れており、これが芸術上の価値が高いものとして、2010年(平成22年)2月22日に水道施設としては初めて名勝の指定を受けた[1]。
歴史
編集金沢市の上水道は1919年(大正8年)に計画が上がったものの、市議会での反対意見もあり、1927年(昭和2年)に市議会での承認を得て着手することとなった。翌年(1928年)、末地内での用地買収を経て着工し、4年後の1932年に施設が完成する。
開設当初は、日量19,500m3の浄水能力であったが、金沢市の人口増加に合わせてこれまで5回の拡張工事を実施。2011年現在は、日量105,000m3の浄水能力を有している。また、1971年(昭和46年)に第三次拡張工事が終了してからは急速濾過方式も採用している。
施設
編集いずれも完成当時のもの。
- 着水井:コンクリート構造、沈殿池へ送水
- 緩速沈殿池:鉄筋コンクリート構造
- 深さ4.1mから4.4m、有効容積6,618m3、有効水深3m
- 緩速ろ過池:全長40.2m、幅34.2m、床面積1,313m2
- 緩速浄水集合井:ろ過水を各配水池へ送水
国指定・登録文化財
編集国の名勝
編集- 末浄水場園地
登録有形文化財
編集- 一号緩速沈澱池
- 二号緩速沈澱池
- 三号緩速沈澱池
- 一号緩速ろ過池
- 二号緩速ろ過池
- 三号緩速ろ過池
- 四号緩速ろ過池
- 五号緩速ろ過池
- 六号緩速ろ過池
- 緩速浄水ポンプ室
- 緩速浄水集合井
- 旧着水井上屋
周辺施設
編集脚注
編集- ^ 金沢の辰巳用水、22日に国史跡指定 末浄水場園地は国名勝 - 北國新聞 2010年2月19日
- ^ 平成28年11月29日文部科学省告示第174号
- ^ 平成13年9月14日文部科学省告示第148号(登録は8月28日付け)
参考文献
編集- 『石川県の近代化遺産 石川県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』 - 石川県教育委員会(2008年3月作成)
関連項目
編集外部リンク
編集- 登録有形文化財 末浄水場 - 金沢市企業局
- 末浄水場園地 - 金沢市
- 末浄水場園地 - 石川県教育委員会
- 末浄水場園地 - 国指定文化財等データベース(文化庁)