朝鮮・ロシア友情橋
朝鮮・ロシア友情橋(ロシア語: Мост Дружбы、中国語: 朝俄国境友谊桥、朝鮮語: 우정의 다리 / 友情의 다리)は豆満江を跨いでロシア連邦沿海地方ハサン地区にあるハサン駅と朝鮮民主主義人民共和国羅先特別市先鋒区域にある豆満江駅を結ぶ全長400メートルの鉄道橋である。両国では軌間が異なるため四線軌条となっているものの、2018年5月時点[1]及び2021年2月時点[2]、橋上の一部で1435 mmの標準軌の二線が敷設されておらず、1520 mmのロシア軌間のみが運用されている。
朝鮮・ロシア友情橋 朝: 우정의 다리 / 友情의 다리 露: Мост Дружбы | |
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座標 | 北緯42度24分55秒 東経130度38分28秒 / 北緯42.415172度 東経130.641056度座標: 北緯42度24分55秒 東経130度38分28秒 / 北緯42.415172度 東経130.641056度 |
通行対象 | 列車 |
交差 | 豆満江 |
所在地 |
ロシア 朝鮮民主主義人民共和国 |
特性 | |
形式 | トラス橋 |
全長 | 400 m (1,312 ft) |
歴史 | |
開通 | 1959年8月9日 |
歴史
編集ソビエト連邦と朝鮮民主主義人民共和国を結ぶ鉄道は1952年に開通したが、開通当初は豆満江を跨ぐ区間は木製の簡易橋であった。これを置き換える形で建設され、1959年8月9日に開通した。今日に至るまで朝露両国を結ぶ唯一の陸路である。
当鉄橋は高度が低いため、中国領内の防川港から日本海に出るにあたって障壁となり、日本海で漁を行う大型漁船と新潟市との間の国際貨客船が運航できない状態であった。1990年代に中国の提案[3][4]により国連開発計画(UNDP)主導で始まった「豆満江開発計画」以来、中国側はロシアと北朝鮮の両国に当鉄橋を改造するように一貫して主張し続けてきた。しかし、政治的な理由からロシア・北朝鮮の両国は未だに同意していない。
2009年から2011年にかけて両国の国境から羅津港にかけての54kmの改良工事が行われ、2011年10月13日に完成し[5]、2013年9月22日に完成式典が行われた。
2017年10月にはロシア鉄道が出資するトランステレコム社により当鉄橋経由で北朝鮮領内まで光ケーブルが敷設された[6][7]。これに伴い従来から用いられていた中朝友誼橋経由の中国聯合通信社のケーブルへの依存度を下げることが可能になった。
2020年、北朝鮮当局は新型コロナウイルス感染症の世界的流行を阻止するために事実上国境を閉鎖、橋を行き交う列車は途絶えた。 2021年2月、北朝鮮国内で勤務していたロシア大使館員および家族が、トロッコを使って国境を越え帰国する映像が公開[8]。映像に移る橋上の線路は錆びついているものの、橋の上にはトロッコを押す人が歩く足場板が設置されており、何らかの利用もしくは維持管理が行われていることが示唆された[9]。
2022年11月、アメリカが発表した衛星写真から、ロシアから北朝鮮に向けて限定的ながら貨物列車が運行されたことが確認された。アメリカ当局は、この貨物列車でロシアによるウクライナ侵攻で必要となった弾薬等が輸送されたと指摘している[10]。
参照項目
編集- ロシア鉄道
- 朝鮮民主主義人民共和国の鉄道
- バラノフスキー・ハサン鉄道
- 琿春市 - 朝鮮・ロシア友情橋全体と日本海を同時に見られる街
- 豆満江線
- 中朝友誼橋
- 露朝国境
ギャラリー
編集脚注
編集- ^ Korea Konsult AB (2018年5月18日). “Train ride on North Korea-Russia Friendship bridge May 2018”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “North Korea: Russian diplomats leave by hand-pushed trolley”. BBC (2021年2月27日). 2021年3月1日閲覧。
- ^ 「図們江開発構想」丁士晟著、金森久雄監修、創知社
- ^ 「北東アジアの経済協力と企業の役割」小樽商科大学国際コンファレンス1995、小樽商科大学
- ^ “ハサン・羅津間鉄道が10月13日(予定)試運転へ!”. ロシアNOW (2011年10月4日). 2016年11月13日閲覧。
- ^ «Транстелеком» подключил КНДР к интернету
- ^ Россия подключила Северную Корею к интернету
- ^ “中国人が驚く32時間 ロシア外交官一家が手押しトロッコ北朝鮮出国”. コリアワールドタイムズ. (2021年2月27日) 2021年3月31日閲覧。
- ^ “ロシア外交官と家族、手押しトロッコで北朝鮮を出る”. BBC (2021年2月27日). 2021年2月27日閲覧。
- ^ “衛星写真に不審な列車…米国が朝露武器取引場面を電撃公開”. 中央日報 (2023年1月21日). 2023年1月21日閲覧。