暗黒バエ
概要
編集長期の暗黒が生物に与える影響を調べるため、京都大学理学部動物学教室教授の森主一によって1954年に開始された。2007年2月、森が死去[1]し、後継者によって引き継がれており2018年現在も継続中である。実験から60年以上、約1500世代目に達した(人間に換算すると、1世代を25年として3万7500年に相当)。2009年、嗅覚やフェロモンに関する遺伝子などに変異が生じるなど、「進化」していることが確認された[2][3]。
2012年には約1400世代目の暗黒バエの全ゲノムが解読され、オンライン論文誌PLoS ONEに掲載された[4]。解毒酵素の遺伝子など、野生型のショウジョウバエと比べて約20万(約5%)の変異が認められたという[5]。
1500世代を超えて交配させていった結果、暗黒バエは視覚に頼れない分シグナル伝達力と感覚能力、嗅覚などが通常の個体に比べ高くなっていることや、反対に概日リズムを保持し、光へ反応して光に近寄る性質は変化が無いということが分かってきた[6]。
年表
編集出典
編集- ^ 追悼森主一先生
- ^ “暗闇50年、ハエ「進化」…1400世代飼育”. 読売新聞. (2009年12月8日). オリジナルの2009年12月8日時点におけるアーカイブ。
- ^ 阿部彰芳 (2016年2月27日). “暗闇で60年1500世代飼育、「暗黒バエ」研究窮地に”. 朝日新聞
- ^ Izutsu, Minako; Jun Zhou; Sugiyama, Yuzo; Nishimura, Osamu; Aizu, Tomoyuki; Toyoda, Atsushi; Fujiyama, Asao; Agata, Kiyokazu et al. (3 2012). “Genome Features of “Dark-Fly”, a Drosophila Line Reared Long-Term in a Dark Environment”. PLOS ONE (Public Library of Science) 7 (3): 1-13. doi:10.1371/journal.pone.0033288.
- ^ “57年間1400世代の結晶「暗黒バエ」のゲノムには約5%の変異 - 京大らが確認”. マイナビニュース. (2012年3月16日)
- ^ 果物に寄ってくるあのハエを暗闇で60年間育てた結果
関連項目
編集- ピッチドロップ実験 - オーストラリアのクイーンズランド大学で1927年に開始され、現在も継続中の実験