昊天上帝
昊天上帝(こうてんじょうてい)は、中国神話・儒教祭祀体系における至高神。天そのものを神格化した非人格的存在で、「天帝」「皇天上帝」などの変遷名称を持つ。前漢から清代まで歴代王朝の郊祀儀礼において国家祭祀の中核を構成した。
概要
編集名称と思想史的変遷
編集原初形態(殷~周)
編集- 殷代(紀元前16~11世紀)
- 周代(紀元前1046~256年)
神学体系化(漢~唐)
編集時代 | 特徴 | 典拠文献 |
---|---|---|
前漢 | 董仲舒による天人相関説確立 武帝期に太一信仰と習合 |
『春秋繁露』 『史記・封禅書』 |
唐代 | 『大唐開元礼』で祭祀法制化 道教の玉皇大帝信仰との併存 |
『唐会要』巻九 |
宋明期の変容
編集祭祀儀礼の構造
編集唐代圜丘祭の流程
編集- 斎戒:祭前三日間の皇帝沐浴斎戒
- 陳設:円丘最上層に神座を設置
- 燔燎:青色の牛を焼却し煙で天に通達
- 奠玉帛:蒼璧(青玉)と玄繒(黒絹)を献上
供物の象徴体系
編集品目 | 象徴意義 | 典拠 |
---|---|---|
蒼璧 | 天の円形・東方の色 | 『周礼・春官宗伯』 |
玄酒 | 太古の質朴 | 『礼記・礼運篇』 |
玉皇大帝との関係史
編集→詳細は「玉皇大帝」を参照
現存する物質文化
編集参考文献
編集- ^ 栗原圭介『中国古代宗教と芸術の研究』汲古書院、1995年、ISBN 978-4762925345、174頁
- ^ 『宋史』巻一百四・礼志七
- ^ 『明実録』嘉靖九年条
- ^ 東京大学東洋文化研究所編『天壇建築の宇宙観』山川出版社、2012年、ISBN 978-4634641234
関連項目
編集外部リンク
編集- 北京天壇公園公式サイト(中国語・英語・日本語対応)
- 東洋文庫『大唐開元礼』デジタルアーカイブ(巻一祭祀篇全文閲覧可能)