日本知的財産仲裁センター
日本知的財産仲裁センター(にほんちてきざいさんちゅうさいセンター 、Japan Intellectual Property Arbitration Center、JIPAC)は、知的財産権に関する紛争につき、相談、調停、仲裁、判定、ドメイン名紛争裁定などを行う、日本のADR機関である[1][2][3]。
沿革
編集- 2000年10月19日、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の認定を受けた初めての紛争処理機関として、JPドメイン名に係わる紛争処理についての申立の受付を開始した[5]。2010年までに78件の仲裁が行われた[6]。
- 2004年3月に「センター判定」、2006年4月に「センター必須判定」、2011年4月に「事業適合性判定」を開始した[4]。
業務
編集知的財産紛争に関する調停、あっせんおよび仲裁を取り扱っている。更に、事業適合性判定、事業に対する特許の貢献度評価も行っている。
名称は「仲裁センター」であるが、業務開始以来、一貫して調停手続の利用が多い。ただし利用件数の絶対数は少なく、2014年度以降は新受件数年5件未満の状況が続いている[7]。
事業適合性判定
編集事業者が事業に使用する技術について、担当の弁護士と弁理士とが、事業者との面談を通じて、先行技術調査結果に基づいて、特許紛争リスクを未然に回避できるか否かについて、第三者的立場から専門的見解を示すものである。開発から事業化までの各ステージに対応した見解を示すことができるように、複数種類の判定がある。
事業に対する特許の貢献度評価
編集事業に関係する複数の特許のそれぞれの事業に対する貢献度を、実施技術特許だけでなく、等価的技術特許、補完的技術特許、バックグラウンド特許、攻めの特許、未登録特許及び対応外国特許をも考慮しつつ、担当の弁護士と弁理士とが事業者及び外部調査機関との面談を通じて、算定する。
共同研究開発成果を用いて事業化する際、産学連携事業における不実施補償額を算出する際、職務発明の対価額を算出する際などに利用することができる。
代理人
編集弁理士は、知的財産に関する裁判外紛争解決手続について代理する権限があるので(弁理士法4条2項2号)、日本知的財産仲裁センターの手続を代理することができる。
組織
編集関連事項
編集脚注
編集- ^ a b c d e (PDF) 弁理士白書. 日本弁理士会. (2015). pp. 73-74
- ^ a b c “日本知的財産仲裁センター(JIPAC)”. イミダス. 集英社. 2020年4月8日閲覧。
- ^ a b 佐藤雄哉, 桑城伸語, 堀籠佳典, 久松洋輔, 吉澤大輔, 前川直輝, 廣戸健太郎, 亀ヶ谷薫子「日本知的財産仲裁センターにおける調停と、裁判所における知財調停」(PDF)『パテント』第76巻第5号、日本弁理士会、2023年5月、109頁、CRID 1520577674263912320、ISSN 02874954。
- ^ a b c d “沿革”. 日本知的財産仲裁センター. 2020年3月8日閲覧。
- ^ 『工業所有権仲裁センターが第1号の認定紛争処理機関に』(プレスリリース)社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター、2000年8月21日 。
- ^ 小川和茂「知的財産紛争仲裁の利用における課題とその克服」(PDF)『知財研紀要』第20巻、知的財産研究所、2011年、13-1 - 13-7頁。
- ^ 吉田元子 2020, p. 160
- ^ “東京”. 日本知的財産仲裁センター. 2020年3月8日閲覧。
- ^ “組織”. 日本知的財産仲裁センター. 2020年3月8日閲覧。
参考文献
編集- 吉田元子「知財調停とその活用可能性」『法と政治』第71巻第1号、関西学院大学法政学会、2020年5月、149(149)-181(181)、CRID 1050848249866877184、hdl:10236/00028760、ISSN 02880709、NAID 120006863860。
- 廣田尚久『紛争解決の最先端』信山社出版、1999年。ISBN 4797221577 。