日本・モンゴル経済連携協定
日本・モンゴル経済連携協定(にほん・モンゴルけいざいれんけいきょうてい、英語: Agreement between Japan and Mongolia for an Economic Partnership[1])とは、2016年に日本とモンゴルの間で締結された経済連携協定(EPA)である。日本法においては国会承認を経た「条約」であり、日本政府による日本語の正式な題名・法令番号は「経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定(平成28年条約第8号)」である。
経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定 | |
---|---|
通称・略称 | 日本・モンゴル経済連携協定、日・モンゴル経済連携協定 |
署名 | 2015年2月10日(東京) |
発効 | 2016年6月7日 |
言語 | 日本語、モンゴル語及び英語 |
関連条約 | 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定 |
条文リンク | 日・モンゴル経済連携協定 - 外務省 |
署名・発効までの経緯
編集2009年12月17日の東京における岡田外相とモンゴルのザンダンシャタル外交・貿易大臣の会談において、日・モンゴル両国でEPA官民共同研究の立ち上げを検討することで一致した[2]。
2010年6月にウランバートルにて官民共同研究の第1回会合、同11月に東京にて第2回会合、2011年3月にウランバートルにて第3回会合が開催され、両国で協議を行ってきた結果、両国首脳に対する日・モンゴル経済連携協定交渉入りの提言を含む報告書が発出された[3]。
2012年3月12日の、野田首相と、モンゴルのスフバータル・バトボルド首相との日・モンゴル首脳会談において、両首脳は日・モンゴル経済連携協定交渉を開始することを決定した[4]。
2012年6月4日から7日までの日程でモンゴルのウランバートルにおいて、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第1回会合が開催され、日本とモンゴルのEPA交渉が開始された[5]。
2012年12月11日から14日までの日程で東京において、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第2回会合が開催された[6]。
2013年4月2日から5日までの日程でモンゴルのウランバートルにおいて、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第3回会合が開催された[7]。
2013年7月2日から5日までの日程で東京において、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第4回会合が開催された[8]。
2013年12月16日から19日及び24日までの日程でモンゴルのウランバートルにおいて、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第5回会合が開催された[9]。
2014年4月22日から26日までの日程で東京において、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第6回会合が開催された[10]。
2014年6月12日から18日及び24日から28日までの日程でモンゴルのウランバートルにおいて、日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉の第7回会合が開催された[11]。
2014年7月22日、安倍首相とツァヒャー・エルベグドルジ大統領との首脳会談における共同声明で、日・モンゴル経済連携協定交渉の大筋合意が発表された[12]。
2015年2月10日、安倍首相とチメディーン・サイハンビレグ首相とが東京において、経済連携協定に署名した[13]。
日本における国内手続として、2015年3月10日に、協定の締結承認案件が閣議決定[14]され、同日衆議院へ提出された[15]。国内法の改正については、外務省は条約の説明書において、「必要としない」[16]としている。
衆議院において、協定の締結承認案件は、外務委員会に付託され、2015年4月22日に委員会で、4月23日に衆議院本会議で可決され、参議院に送られた[15]。賛成会派は、「自由民主党; 民主党・無所属クラブ; 維新の党; 公明党; 次世代の党; 生活の党と山本太郎となかまたち; 社会民主党・市民連合」、反対会派は「日本共産党」であった[15]。
参議院において、協定の締結承認案件は、外交防衛委員会に付託され、協定は、2015年5月14日に委員会で、5月15日に参議院本会議で可決され、国会の承認がされた[15]。賛成会派は、「自由民主党; 民主党・新緑風会; 維新の党; 公明党; 社会民主党・護憲連合; 次世代の党; みんなの党; 新党改革・無所属の会」、反対会派は「日本共産党」であった、[17]。
2016年5月8日、両国の国内手続の終了を受け、モンゴルのウランバートルにおいて,経済上の連携に関する日本国とモンゴルとの間の協定(日・モンゴル経済連携協定(EPA))の効力の発生のための外交上の公文の交換が行われた[18]。
協定の主要内容
編集日本は、鉱工業品(ほぼ全ての品目について即時関税撤廃又は10年以内の段階的関税撤廃)、農林水産品では、一部の牛肉調製品等ペットフード等ののアクセス改善を実施[20]。
日本は、鉱工業品(自動車及び自動車部品(主力の4500cc以下の完成車(製造後0~3年)は即時関税撤廃、自動車部品及びその他の完成車はほとんどが10年以内の関税撤廃 (総輸出額の7割 弱)、一般機械(主力の建設用機械(ブルドーザー等)の即時関税撤廃を含む10年以内の段階的関税撤廃(総輸出額の20%弱))のアクセス改善、農林水産品(切り花,果実,味噌・醤油等( 即時撤廃又は段階的関税撤廃)、清酒及び焼酎(即時関税撤廃)のアクセス改善などを獲得している[20]。
脚注
編集- ^ MOFA
- ^ “日本・モンゴル外相会談”. 外務省(国立国会図書館アーカイブ) (2011年12月17日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日本・モンゴル経済連携協定(EPA)官民共同研究報告書の概要”. 外務省 (2011年3月). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル首脳会談(概要)”. 外務省 (2011年3月12日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第1回会合(概要)”. 外務省 (2012年6月7日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第2回会合(概要)”. 外務省 (2012年12月14日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第3回会合(概要)”. 外務省 (2013年4月5日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第4回会合(概要)”. 外務省 (2013年7月5日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第5回会合(概要)”. 外務省 (2013年12月24日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第6回会合(概要)”. 外務省 (2014年4月26日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第7回会合(概要)”. 外務省 (2013年12月24日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定交渉の大筋合意及び日本国とモンゴル国の間の貿易・投資の促進に関する共同声明”. 外務省 (2014年7月22日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “日・モンゴル首脳会談,署名式及び総理主催夕食会”. 外務省 (2015年2月10日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “平成27年3月10日(火)定例閣議案件”. 首相官邸. 2019年10月30日閲覧。
- ^ a b c d “条約 第189回国会 1 経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件”. 衆議院. 2019年10月29日閲覧。
- ^ “経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の説明書”. 外務省. 2019年10月30日閲覧。
- ^ “経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件”. 参議院. 2019年10月30日閲覧。
- ^ “日・モンゴル経済連携協定の効力発生のための外交上の公文の交換”. 外務省 (2015年5月9日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ 2016年(平成28年)5月9日外務省告示第153号「経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の効力発生に関する件」
- ^ a b “日・モンゴル経済連携協定”. 外務省 (2011年5月31日). 2019年1月15日閲覧。
外部リンク
編集- 条約全文
- 日・モンゴル経済連携協定 (日本外務省)