拱猪
拱猪(ゴンジュー)は、中国および中華圏で人気のあるトランプを使ったゲームである。トリックテイキングゲームで、基本的なルールはハーツと同様であるが、大幅に拡張されている。
拱猪 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 拱豬 |
簡体字: | 拱猪 |
拼音: | gǒngzhū |
発音: | ゴンジュー |
拱猪は、トーナメントなどで競技される真剣なゲームというよりは、楽しみのために行われるのが普通であるが、一部の団体は拱猪に「華牌」という別の名前をつけてトーナメントを行っている[1]。
概要
編集拱猪では、
に非常に大きなマイナス点があり、このカードのことを「猪」(ブタ)と呼ぶ。逆に は「羊」と呼ばれて、プラスの点がある。したがって、猪を避けて羊を得ることがゲームの目的になる。ハーツの一種であるブラック・レディに多くのルールを追加したものである。
ルール
編集得点の数え方などにさまざまの方式が存在するが、この節では膳书堂文化编(2009)にあるルールに従い、異なる点についてはオプションルール・変種の項で述べる。
4人で競技する。個々の競技者が別々に競技しても、向かいあった2人ずつがチームを組んでもよい。
トランプは通常の52枚のカードを使い、ジョーカーは使用しない。カードのランクはコントラクトブリッジなどと同様、A > K > Q > J > 10 > 9 > 8 > 7 > 6 > 5 > 4 > 3 > 2 である。
ディーラーは各競技者に13枚ずつのカードを配る。
プレイは反時計回りに進む。最初のプレイにおいて、最初のトリックを誰がリードするかは地域差があるが、たとえば
のような特定のカードを持つ人がリードする。2回目以降のプレイでは、前回 を取った競技者がリードする。このゲームには切り札は存在しない。ほかの競技者は、リードと同じスートのカードを持っていればそれを出さなければならないが、持っていなければ何を出してもよい。リードと同じスートでもっとも強いカードを出した人がそのトリックの勝者となり、場に出たカードのうち点数のあるカードをすべて獲得し、自分の前に表を向けて並べる。点数のないカードはそのまま場に捨てる。トリックの勝者が次のトリックをリードする。以上を手札が尽きるまで繰り返す。得点
編集ハートのカードすべてにマイナス点があり、各カードの点数は以下のとおりである。
がマイナス10点であることに注意。ハートのカード13枚の点数をすべて足すとマイナス200点になる。これとは別な点数体系もある(オプションルール・変種を参照)カード | |||||||||||||
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点数 | -50 | -40 | -30 | -20 | -10 | -9 | -8 | -7 | -6 | -5 | -10 | -3 | -2 |
- (猪) - マイナス100点
- (羊) - プラス100点
- (変圧器) - このカード自身には点数はないが、このカードを獲得した競技者はプラス・マイナスともに得点が倍になる。ただし、 以外にハート・猪・羊を持っていない場合は、プラス50点になる。
特殊ルール
編集ひとりでハート13枚すべてを獲得した場合、すべてのカードの正負が逆転する。すなわち、その競技者はマイナス200点ではなく、プラス200点を得る。これを満紅と呼ぶ。さらに
はプラス100点、 はマイナス100点となる。これを猪羊変色と呼ぶ(ただし猪羊変色は採用しないことも多い)。ひとりでハート13枚と[2]。さらに も獲得すれば倍のプラス1000点になる。
・ の15枚全部を獲得した場合、プラス500点になるゲームの終了
編集プレイを繰り返し、だれかがプラス1000点またはマイナス1000点に達したら終了する。点数の多い者が最終的な勝者となる。
オプションルール・変種
編集変種は非常に多くのものが存在する。ここでは主要なものを述べるにとどめる。
ハートの点数
編集2から9までのハートの点数を、
・ ・ ・ ・ をマイナス10点、 ・ ・ を0点とすることがある。この場合もハートの13枚を合計するとマイナス200点になる。カードをさらす
編集中国語では「亮牌・売牌」などと呼ばれる。手札の中に
・ ・ ・ のいずれかがある競技者が、プレイ開始前にそのカードをさらすことによって、そのカードの点が倍になるルール。- は、さらすとマイナス200点になる。(亮猪・売猪)
- は、さらすとプラス200点になる。(亮羊・売羊)
- は、さらすとすべてのハートの点数が倍になる。
- は、さらすと、点数を4倍にするカードに変化する(ほかに点数のあるカードがない場合はプラス100点)。
トランプ2組を使う
編集他の多くの中国のトランプゲームと同様に、トランプ2組(104枚)を使う変種が存在する。
この変種では、同一の(スートもランクも同じ)カード2枚のペアがあれば、それをまとめてリードすることができる。ペアのリードに対して、同じスートのペアを持っていれば必ずペアをフォローしなければならない。ペアがなければリードと同じスートの任意の2枚を出す。それもなければ任意の2枚を出して構わないが、そのトリックに勝つことはできない。ペアがリードされた場合、トリックの勝者の決定はやや複雑で、ダイヤではペアがペアでないものに勝ち、それ以外のスートではペアでないものがペアに勝つ。ペア同士・ペアでないもの同士では、その2枚を構成する2枚のうちの強い方のカードのランクを比較する。
同じカードを2枚さらすと、そのカードそれぞれの点数が4倍になる。たとえば
を2枚さらすと、1枚あたりマイナス400点になる。満紅にはハートを全部(26枚)あつめる必要がある。点数もトランプ1組を使うときの倍のプラス400点になる。満紅に加えて
・ を集めるときも30枚全部集める必要があり、その点数もトランプ1組を使うときの倍になる。ゲームはだれかがプラス4000点かマイナス4000点に達したら終了する。
罰ゲーム
編集負けた人間にさまざまな罰ゲームをさせることがある。トランプの中から鼻で
を掘りださせるなど。脚注
編集- ^ “拱猪”升格“华牌”欲登大雅之堂 (人民日報 2006-09-28 記事)
- ^ 騰訊・聯衆などのサイトでは800点で、これを満貫と呼んでいる
関連項目
編集参考文献
編集- 膳书堂文化编 (2009). 扑克牌玩法与规则. 中国画报出版社. pp. 50-53. ISBN 9787802205857