打敷(うちしき)とは、仏教寺院や仏壇に置かれる卓[1]の天板[2]の下にはさむ敷物。荘厳具の一種。
元々は、釈尊の座る高座の上に敷かれていたもので、後に仏像の前の卓の上に敷かれるようになったのが起源とされる。打敷の「打」には「張る」という意味があり、卓上に張り敷くことを意味する。内敷とも書き、打布、内布ともいう。
安価なものは、人絹製・機械刺繍のものから、高価なものは、正絹製・手刺繍のものがあり、西陣織など伝統工芸品となると非常に高価[3]。
打敷の寸法は、仏壇の大きさで「卓」の大きさが概ね決まり、打敷もそれに対応する。共に代で表示される[4]。
- 平時は、打敷を掛ける事はしない。法要や彼岸、お盆、正月、祥月命日などの仏事の際に、卓に掛け荘厳する。
- 中陰中は、白無地の打敷[5]を用いる。あらかじめ、この打敷を用意しておくことが望ましい。用意できなかった場合は、通常の打敷を裏返して白い面を表にして代用[6]することも多い。
- 季節により冬用と夏用とに、使い分けるのが望ましい。
- 9月中旬(彼岸入り)から5月ごろまで、冬用を用いる。
- 6月から9月上旬(彼岸入りの前)までは、夏用(絽や紗の打敷)を用いるのが望ましい。
- 逆三角形の打敷は、主に浄土真宗で用いられる。「三角打敷」ともいう。
- 卓の幅に対して同寸ではなく、左右に垂れる幅の打敷を用いるのが正式。大型の卓用の打敷は、「三方仕立」と呼ばれるものがあり、寺院用と同じく左右に垂らした部分にも刺繍が入る。
- 浄土真宗の場合、紋入りの打敷を用いる場合は、宗紋[7]が刺繍されたものを用いるのが望ましい。寺院の場合は、寺紋を用いる場合もある。
- 四角形の打敷は、浄土真宗以外の宗旨で用いられる。
- ^ 「上卓」や「前卓」など。
- ^ 下須板・下水板(げすいた)とも。
- ^ 素材・製法により、価格は1,000〜数百万円まで幅広い。
- ^ 名古屋寸法と京寸法がある。
- ^ 「忌中打敷」とも。
- ^ 難点として、冬用では縁に表の生地の色が見えてしまい、夏用では表の刺繍が透けてしまう。
- ^ 宗紋 - 本願寺派・下り藤など。大谷派、八藤紋、抱牡丹紋。高田派、五七の桐紋など。佛光寺派は、下り藤紋。興正派は、抱牡丹紋(各派の宗紋は、同名の紋であっても細部が異なるので注意が必要)。