愛知電気鉄道デキ360形電気機関車

愛知電気鉄道デキ360形電気機関車(あいちでんきてつどうデキ360がたでんききかんしゃ)は、愛知電気鉄道(愛電)が新製した直流電気機関車。後年愛電と名岐鉄道が合併し名古屋鉄道(名鉄)が設立された際にも形式称号は変わらずデキ360形を名乗った。

愛知電気鉄道デキ360形電気機関車
名鉄デキ360形電気機関車
豊橋鉄道デキ210形電気機関車
デキ360形360
基本情報
運用者 愛知電気鉄道名古屋鉄道豊橋鉄道
製造所 日本車輌製造
製造年 1923年大正12年)
製造数 3両
廃車 1997年(平成9年)
主要諸元
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流600 V架空電車線方式
車両重量 20.08 t(360)・20.31 t(361・362)
全長 9,271 mm
全幅 2,508 mm
全高 3,766 mm
車体 半鋼(360)・全鋼(361・362)
台車 ブリル
主電動機 ウェスティングハウスJ-646(360)・221(361・362)
主電動機出力 65 PS(360)・50PS(361・362)
搭載数 4基 / 両
備考 1944年の諸元表より[1]
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デキ210形デキ211(旧・デキ360形362)

概要

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1923年大正12年)に1両(360)、1925年(大正14年)に2両(361, 362)が日本車輌製造で新製された。車体は凸字形で、軸配置はB+B、主電動機や電装品のはウェスティングハウス製、台車はブリル製である。600V専用機で、愛知電気鉄道時代は西尾線で使用されていた。連結器は連環連結器で緩衝器も設置されていた。のちに自動連結器も増設されて、一時期は連環連結器、緩衝器、自動連結器という2種類の連結器を併設していた。

1935年昭和10年)、愛知電気鉄道と名岐鉄道が合併し名古屋鉄道になると、名古屋鉄道デキ360形(360 - 362)となる。1949年(昭和24年)に360が363に改称し、デキ360形(361 - 363)となる。

戦後、361は各務原線西尾線、362は渥美線、363は西尾線で使用され、1954年(昭和29年)に渥美線が豊橋鉄道に譲渡されると、渥美線で運用されていた362はそのまま豊橋鉄道に転籍する

名古屋鉄道に残った2両は、1960年(昭和40年)に瀬戸線に転属。1965年(昭和40年)に361と363で車体振替が行われ、363の車体となった361が廃車となる。残った363も1967年(昭和42年)に廃車となる。

豊橋鉄道に譲渡された362は1968年(昭和43年)にデキ210形(211)に改称され貨物用として使用される。1984年(昭和59年)の豊橋鉄道の貨物営業廃止後も入換用として残り、1997年平成9年)の架線電圧1500V昇圧とともに廃車となった。

デキ210形(211)は、1998年(平成10年)に渥美郡田原町(現・田原市)へ寄贈され、芦ヶ池農業公園(サンテパルクたはら)でデワ10形11とともに静態保存されている[2]

脚注

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  1. ^ 清水武、田中義人『名古屋鉄道車両史 上巻』アルファベータブックス、2019年、166頁。ISBN 978-4865988475 
  2. ^ “廃車2両を無償譲渡 豊橋鉄道 田原町の文化遺産に”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1998年5月12日)