怪力線

戦前戦後のSF作品にしばしば登場する兵器

怪力線(かいりきせん)、怪力光線(かいりきこうせん)は、19世紀末のH・G・ウェルズの『宇宙戦争』を皮切りに戦前戦後のSF作品にしばしば登場する兵器である[1][2][3]指向性エネルギー兵器の一種で、今で言う光学兵器(殺人光線)や電光線、マイクロウェーブ兵器、超音波兵器などが空想された。

かつて、大日本帝国陸軍登戸研究所第1課で「くわいりき」の頭文字から「く号兵器」の名で、実際に研究されていた[4]。ここでは特殊兵器、電波兵器の研究開発が行われていた。紫外線を上空に照射して空気を電離させを誘導するという実験も行っていた[5]が、戦場における電力源の不足や携帯性がないなどの理由で計画が中止された。また後年のレーザーを思わせるような光線兵器についても研究された。それらのうちで、怪力光線は、強力なマイクロ波を発射する兵器である。数メートルの距離から小動物を殺傷する実験には成功したものの、完成には至らなかった[4]。しかし、戦局を挽回する超兵器としての魅力は捨てきれず、一部で停戦まで研究は続けられた。開発の過程でマグネトロンが開発され、のちにその成果は電子レンジの開発に役立った。またこの光線による誘雷という概念は後年レーザー誘雷として実現する[6][7][8]

関連項目

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参考文献

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  1. ^ 海野十三. “火星兵団 - Googleブックス”. 青空文庫. 2013年1月27日閲覧。
  2. ^ 山中峯太郎 『愛蔵復刻版少年倶楽部名作全集 亜細亜の曙』 講談社、1970年。全国書誌番号:75001580
  3. ^ 福永恭助『科学小説 暴れる怪力線』改造社、1932年。 長山靖生 編『明治・大正・昭和 日米架空戦記集成』中央公論新社、2003年、51-98頁。ISBN 978-4-12-204234-6 に収録)
  4. ^ a b 山田朗・明治大学平和教育登戸研究所資料館 編『陸軍登戸研究所<秘密戦>の世界』(初版)明治大学出版会(原著2012/03/20)、7,94-98頁。ISBN 9784906811007 
  5. ^ 坂井明、おちあい熊一『決定版世界の秘密兵器File』(初版)学習研究社(原著2010/03/10)、150頁。ISBN 9784054045170 
  6. ^ レーザー誘雷
  7. ^ レーザー誘雷成功の軌跡
  8. ^ レーザー誘雷 - プラズマ・核融合学会