張育成

台湾のプロ野球選手 (1995-)

張 育成(ジャン・ユーチェン、1995年8月18日 - )は、台湾中華民国)の台東市出身のプロ野球選手内野手)。右投右打。CPBL富邦ガーディアンズ所属。代理人はワッサーマン[1]

張 育成
富邦ガーディアンズ #99
クリーブランド・ガーディアンズ時代
(2022年5月21日)
基本情報
国籍 中華民国の旗 中華民国台湾
出身地 台東市
生年月日 (1995-08-18) 1995年8月18日(29歳)
身長
体重
185 cm
95 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 内野手指名打者
プロ入り 2013年 アマチュアFA
初出場 2019年6月28日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム チャイニーズタイペイの旗 チャイニーズタイペイ
WBC 2023年
張 育成
各種表記
繁体字 張 育成
簡体字 张 育成
拼音 Zhāng Yùchéng
和名表記: ちょう いくせい
発音転記: ジャン・ユーチェン
英語名 Chang Yu-Cheng
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フルネームは張 育成(ジャン・ユーチェン)Chang Yu-Cheng)だが、MLBでの登録名は苗字と名前を短縮した ユー・チャンYu Chang)である[1]

兄は同じくプロ野球選手の張進德中国語版[2]台湾原住民アミ族の血を引いている[3]

経歴

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プロ入りとインディアンス/ガーディアンズ時代

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2013年6月3日にアマチュア・フリーエージェントでクリーブランド・インディアンス(2022年よりインディアンス→ガーディアンズへと改称)と契約し、プロ入り。

2014年6月20日に傘下のルーキー級アリゾナリーグ・インディアンスに配属され、プロデビュー。46試合に出場して打率.346、6本塁打、25打点、6盗塁を記録した。

2015年は、A級レイクカウンティ・キャプテンズで開幕を迎えた。6月10日に7日間の故障者リストに登録された。6月27日に故障者リストから復帰した。8月6日に再び7日間の故障者リストに登録された。8月18日に故障者リストから復帰した。最終的に105試合に出場して打率.232、9本塁打、52打点、5盗塁を記録した。

2016年は、A+級リンチバーグ・ヒルキャッツで開幕を迎えた。6月20日にカロライナ・リーグのオールスターゲームに選出された。8月11日に7日間の故障者リストに登録された。8月23日に故障者リストから復帰した。最終的に109試合に出場して打率.259、13本塁打、70打点、11盗塁を記録した。オフにはアリゾナ・フォールリーグに参加し、メサ・ソーラーソックスに所属した。

2017年は、AA級アクロン・ラバーダックスで開幕を迎えた。最終的に126試合に出場して打率.220、24本塁打、66打点、11盗塁を記録した。オフの11月20日にルール・ファイブ・ドラフトでの流出を防ぐために40人枠入りした[4]

2018年1月にMLB.comが発表したプロスペクトランキングにおいて、インディアンスの組織内で6位にランクインした[5]。3月9日にオプションでAA級アクロンへ配属され、3月30日にAAA級コロンバス・クリッパーズに配属され、開幕を迎えた。7月10日にインターナショナルリーグのオールスターゲームに選出された。最終的に127試合に出場して打率.256、13本塁打、62打点、4盗塁を記録した。オフには2年ぶりにアリゾナ・フォールリーグに参加し、グレンデール・デザートドッグス英語版に所属した[6]

2019年3月11日にオプションでAAA級コロンバスに配属され、開幕を迎えた。4月18日に左指の捻挫で7日間の故障者リストに登録された。4月25日に故障者リストから復帰した。4月30日に再び左指の捻挫で7日間の故障者リストに登録された。6月18日に故障者リストから復帰した。6月28日にMLB初昇格を果たし[7]、同日のボルチモア・オリオールズ戦にて「8番・三塁手」で先発出場してメジャーデビュー(この試合は3打数無安打)[8]。6月30日にオプションでAAA級コロンバスへ降格したが、8月25日に再びメジャーに復帰した。8月26日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦ではMLB初安打を含むマルチ安打を放った[9]。9月10日のロサンゼルス・エンゼルス戦ではMLB初本塁打を記録した[10]。最終的には28試合に出場して打率.178、1本塁打、6打点を記録した。

2020年は開幕前の3月19日にオプションでAAA級コロンバスへ配属された。7月23日にメジャーに昇格した。8月31日にオルタネイト・トレーニング・サイトに登録された。9月15日に再びメジャーに昇格した。9月25日にオプションでオルタネイト・トレーニング・サイトに降格した。9月28日に再びメジャーに昇格した。最終的に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で60試合の短縮シーズンとなる中で、10試合に出場して打率.182、1打点を記録した。

2021年スプリングトレーニング中のプレシーズン・ゲームで18試合に出場して打率.282、4本塁打[11]、OPS1.009を記録した[12][13]。その結果、4月2日のデトロイト・タイガースとの開幕戦で、「7番・一塁手」として自身初となる開幕スタメン入りを果たした[14]。同月13日のシカゴ・ホワイトソックス戦ではサヨナラエラーを犯し、アジア系住民としての人種差別や誹謗中傷を受けた事をSNSで公開した[15][16][17]。7月2日にオプションでAAA級コロンバスへ降格した。7月21日にメジャーに再昇格した。8月1日のホワイトソックス戦では決勝打となる2点三塁打を放った[18]。しかし、8月2日に再びオプションでAAA級コロンバスへ降格し、8月6日にアクティブ・ロースター入りした。8月13日に再びメジャーに再昇格し、翌14日のタイガース戦では本塁打を含む2長打、2打点を記録した[19]。8月28日のボストン・レッドソックス戦では3試合連続となる本塁打を記録した[20]。最終的には自己最多の89試合に出場して打率.228、9本塁打、39打点を記録した。

2022年は開幕から4試合に出場後の4月15日に10日間の故障者リストに登録された。4月29日にリハビリのため、AA級アクロンへ配属された。5月3日にAAA級コロンバスへ昇格し、5月13日にメジャーに復帰した[21]。しかし、10打数無安打という成績で、5月26日にDFAとなった[22]

パイレーツ時代

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2022年5月30日に金銭トレードピッツバーグ・パイレーツへ移籍した[23]。パイレーツでは18試合に出場して打率.167、1本塁打、2打点という成績に終わり、6月30日にDFAとなった[21]

レイズ時代

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2022年7月5日にウェイバー公示を経てタンパベイ・レイズへ移籍し、7月8日にアクティブ・ロースター入りした。9月7日にMLBの台湾人選手としては初めて通算100安打を記録した[24]。レイズでは36試合に出場し、打率.260、3本塁打、12打点を記録したが、9月9日にDFAとなった[21]

レッドソックス時代

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2022年9月12日にウェイバー公示を経てボストン・レッドソックスへ移籍し、同日中にAAA級ウースター・レッドソックス英語版へ配属された。9月14日にアクティブ・ロースター入りした。レッドソックスでは11試合に出場して打率.150、1打点だった[21]。オフの11月18日にノンテンダーFAとなった[25]

2023年2月16日にレッドソックスと単年のメジャー契約を結んだ[26]。シーズン開幕前の3月に開催された第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)チャイニーズタイペイ代表に選出された。チャイニーズタイペイは1次ラウンドで敗退したが、張は1次ラウンドのMVPとなった。また大会終了後に一塁手部門でベストナインに選出された。開幕後はメジャーで39試合に出場したが、打率.162、6本塁打という結果に終わり、8月8日にDFAとなった[21]。8月11日にマイナー契約を結び直し、同日中にAAA級ウースターに送られた[21]。オフの10月13日にFAとなった。

富邦時代

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2024年6月28日に行われた台湾プロ野球のドラフト会議で、富邦ガーディアンズから1位指名を受けた[27]

2025年はシーズン開幕前の2月3日に第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選のチャイニーズタイペイ代表に選出された[28]

プレースタイル

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守備では遊撃手が本職で、UZR/150は+10.0程度[29]と、UZRの評価基準でもわかるようにセイバーメトリクスのUZR基準では守備は優秀だが、インディアンスの遊撃には2020年までフランシスコ・リンドーアという不動のレギュラーがいたため、三塁手に回る可能性があるとも言われていた[5]。実際には三塁手としても活躍し、2021年は一塁手、2022年からは二塁手としての起用が多かった[29]

詳細情報

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年度別打撃成績

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O
P
S
2019 CLE 28 84 73 8 13 2 1 1 20 6 0 0 0 0 11 0 0 22 4 .178 .286 .274 .560
2020 10 13 11 1 2 0 0 0 2 1 0 0 0 0 2 0 0 4 2 .182 .308 .182 .490
2021 89 251 237 32 54 14 3 9 101 39 1 0 0 1 11 0 2 69 4 .228 .267 .426 .693
2022 4 10 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7 0 .000 .000 .000 .000
PIT 18 49 42 5 7 1 0 1 11 2 0 1 0 0 4 0 3 18 1 .167 .286 .262 .548
TB 36 105 96 11 25 3 0 3 37 12 0 0 0 2 7 0 0 27 3 .260 .305 .385 .690
BOS 11 26 20 3 3 2 0 0 5 1 0 0 0 0 5 0 1 7 1 .150 .346 .250 .596
'22計 69 190 168 19 35 6 0 4 53 15 0 1 0 2 16 0 4 59 5 .208 .289 .315 .604
MLB:4年 196 538 489 60 104 22 4 14 176 61 1 1 0 3 40 0 6 154 15 .213 .279 .360 .639
  • 2022年度シーズン終了時

年度別投手成績

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W
H
I
P
2022 TB 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 11 2.0 6 1 0 0 0 0 0 0 3 3 13.50 3.00
MLB:1年 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 11 2.0 6 1 0 0 0 0 0 0 3 3 13.50 3.00
  • 2022年度シーズン終了時

年度別守備成績

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投手守備


投手(P)












2022 TB 2 0 0 0 0 ----
MLB 2 0 0 0 0 ----
内野守備


一塁(1B) 二塁(2B) 三塁(3B) 遊撃(SS)
















































2019 CLE - - 25 10 32 0 1 1.000 8 1 2 0 1 1.000
2020 - 2 4 7 1 1 .917 3 0 1 0 0 1.000 4 1 4 0 1 1.000
2021 49 296 22 3 28 .991 8 6 15 1 1 .955 21 11 26 1 9 .974 7 11 15 0 4 1.000
2022 2 4 2 0 1 1.000 2 1 4 0 0 1.000 1 0 0 0 0 ---- -
PIT 5 40 2 0 3 1.000 11 14 21 1 5 .972 - -
TB 1 0 0 0 0 ---- 26 34 42 1 6 .987 6 0 6 0 1 1.000 9 10 18 0 2 1.000
BOS 1 6 0 0 1 1.000 4 2 6 0 2 1.000 - 7 5 12 0 1 1.000
'22計 9 50 4 0 5 1.000 43 51 73 2 13 .984 7 0 6 0 1 1.000 16 15 30 0 3 1.000
MLB 58 346 26 3 33 .992 53 61 95 4 15 .975 56 21 65 1 11 .989 35 28 51 0 9 1.000
  • 2022年度シーズン終了時

表彰

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国際大会
  • オールWBCチーム:1回(一塁手部門:2023年
  • WBC台中ラウンドMVP:1回(2023年)

背番号

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  • 2(2019年 - 2022年途中)
  • 6(2022年途中 - 2022年途中)
  • 9(2022年途中 - 2022年途中終了)
  • 12(2022年途中 - 同年終了)
  • 20(2023年)
  • 99(2024年 - )

代表歴

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脚注

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  1. ^ a b Baseball-Reference 参照
  2. ^ 自由時報電子報「中職》力挺弟弟張育成回應酸民 張進德聊自身經驗 - 自由體育」『自由時報電子報』2021年4月14日。2021年4月14日閲覧
  3. ^ Joe Noga (13 April 2021). "Yu Chang receives anti-Asian hate messages on social media following Cleveland Indians loss". Plain Dealer. 2021年8月21日閲覧
  4. ^ Paul Hoynes (21 November 2017). "Cleveland Indians add four to 40-man roster; claim Refsnyder; DFA Crockett, Baker". Cleveland.com (英語). 2019年1月3日閲覧
  5. ^ a b 2018 MLB Prospects Watch – Cleveland Indians Top 30 Prospects list. MLB.com. Retrieved on January 3, 2019.
  6. ^ Baseball-Reference (Register) 参照
  7. ^ Mandy Bell (28 June 2019). "Indians' Ramirez heads to paternity list". MLB.com (英語). 2019年6月29日閲覧
  8. ^ "Gameday Orioles13, Indians0 Friday, June 28, 2019". MLB.com (英語). 28 June 2019. 2019年6月29日閲覧
  9. ^ 台湾出身24歳・張育成が鮮烈初ヒット! 三塁打含むマルチ、ラミレス離脱のインディアンス救世主へ」『ベースボールチャンネル(BaseBall Channel)』。2019年8月26日閲覧
  10. ^ 張育成首轟感言笑中帶淚 這球獻給已故父親[影] | 運動 | 中央社 CNA」『www.cna.com.tw』(中国語)。2019年9月10日閲覧
  11. ^ 台湾の張育成、OP戦4号 大谷翔平に並ぶ/米大リーグ | 芸能スポーツ | 中央社フォーカス台湾 MOBILE」『japan.cna.com.tw』。2021年3月17日閲覧
  12. ^ "Yu Chang Stats, Fantasy & News". MLB.com (英語). 2021年3月30日閲覧
  13. ^ 民間全民電視公司「張育成生涯最佳春訓! 有望開幕戰先發一壘手」『民視新聞網』(繁体中国語)、2021年3月31日。2021年3月31日閲覧
  14. ^ 張育成開幕戰先發雪中打球 招牌笑臉來自信心[影] | 運動 | 重點新聞 | 中央社 CNA」『www.cna.com.tw』(中国語)。2021年4月2日閲覧
  15. ^ @yuthesouljaboy (2021年4月13日). "Exercise your freedom of……". X(旧Twitter)より2021年4月13日閲覧
  16. ^ インディアンスの張、差別的メッセージ受け取ったと明かす」『www.afpbb.com』。2021年4月14日閲覧
  17. ^ 台湾出身の張育成がSNSに投稿したメッセージの内容から垣間見られる米国社会の病巣(菊地慶剛) - Yahoo!ニュース」『Yahoo!ニュース 個人』。2021年4月14日閲覧
  18. ^ 自由時報電子報「MLB》張育成致勝三壘安成勝利打點 助隊逆轉贏球 - 自由體育」『自由時報電子報』2021年8月1日。2021年8月1日閲覧
  19. ^ 聯合新聞網「MLB/張育成返大聯盟 開轟寫新猷 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站」『聯合新聞網』(中国語)、2021年8月15日。2021年8月15日閲覧
  20. ^ 大リーグ、張育成3試合連続本塁打 台湾人初 (2021年8月28日)」『エキサイトニュース』。2021年8月28日閲覧
  21. ^ a b c d e f MLB公式プロフィール参照。2023年12月17日閲覧。
  22. ^ Darragh McDonald (26 May 2022). "Guardians Designate Yu Chang, Select Oscar Gonzalez". MLB Trade Rumors (英語). 2022年5月27日閲覧
  23. ^ "Press release: Pittsburgh Pirates acquire infielder Yu Chang from Cleveland". MLB.com. 2022年5月31日閲覧
  24. ^ "Taiwanese MLB player Yu Chang gets hit No. 100". Focus Taiwan - CNA English News (英語). 7 September 2022. 2022年12月27日閲覧
  25. ^ Ian Browne (19 November 2022). "Red Sox non-tender Cordero, Chang". MLB.com (英語). 2022年12月22日閲覧
  26. ^ "Red Sox agree to one-year contract with infielder Yu Chang". MLB.com. 16 February 2023. 2023年2月19日閲覧
  27. ^ 台湾ドラフト1位に元レッドソックス張育成 元オリックス張奕も2位指名、日本人の高塩将樹も」『日刊スポーツ』2024年6月29日。2024年7月6日閲覧
  28. ^ Michael Clair (3 February 2025). "Everything to know about World Baseball Classic Qualifiers starting Feb. 21". MLB.com (英語). 2025年2月4日閲覧
    "ROSTERS ANNOUNCED FOR WORLD BASEBALL CLASSIC QUALIFIER IN TAIWAN Teams Representing Chinese Taipei, Nicaragua, South Africa and Spain to Compete for Two Available Spots in 2026 World Baseball Classic; Qualifier in Taipei to be Played Friday, February 21st-Tuesday, February 25th" (PDF) (英語). 3 February 2025. 2025年2月4日閲覧
  29. ^ a b "Yu Chang - Stats - Batting | FanGraphs Baseball". www.fangraphs.com. 2023年4月9日閲覧

関連項目

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外部リンク

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