広島市環境局中工場

広島県広島市中区にある清掃工場

広島市環境局中工場(ひろしましかんきょうきょくなかこうじょう)は、広島県広島市中区にある清掃工場

広島市環境局中工場
情報
用途 清掃工場
設計者 谷口建築設計研究所[1]
設備設計者 三菱重工[2]
施工 五洋建設りんかい日産建設・錦建設・大之木建設JV[1]
三菱重工[2]
管理運営 広島市環境局
構造形式 S造/SRC造/RC造、一部PC[1]
敷地面積 50,245.00 m² [1]
建築面積 13,877.70 m² [1]
延床面積 45,544.93 m² [1]
階数 地上7階地下1階[1]
改築 2004年2月[3][1]
所在地 730-0826
広島市中区南吉島一丁目5番1号
座標 北緯34度21分30秒 東経132度26分31秒 / 北緯34.35833度 東経132.44194度 / 34.35833; 132.44194 (広島市環境局中工場)座標: 北緯34度21分30秒 東経132度26分31秒 / 北緯34.35833度 東経132.44194度 / 34.35833; 132.44194 (広島市環境局中工場)
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かつて同地にあった清掃工場が、老朽化に伴い2004年に建て替えられた[4]。ネガティブなイメージに捉えられやすいゴミ処理場を、美術館のような見せる造りにしてポジティブな方向へ活かした作品[5][6][7]。2005年BCS賞[1]、2008年公共建築賞[5]受賞。

諸元

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映像外部リンク
  中工場見学案内動画(日本語版) - 広島市
  中工場、広島市吉島にある 美しいゴミ焼却場を見学! - 広島ニュース 食べタインジャー
  • 焼却設備 : 全連続燃焼式ごみ焼却炉(24時間連続燃焼式ストーカ炉)×3基[3][2]
  • 焼却能力 : 600t/日(200t/日×3基)[3][2]
  • 発電能力 : 15,200kW[2]

旧工場は処理能力400t/日であったが建て替えにより処理能力を向上させた[4]。高温完全焼却を自動化運転で行っている[3]。有害物質を除去し、騒音・悪臭を外部に出さないよう周辺に配慮している[3]溶融スラグは道路舗装材に、焼却炉の余熱は工場内の冷暖房・給湯に利用、蒸気タービン発電機による発電能力を持ち工場内施設で消費、余剰電力を電力会社へ売電する、などリサイクルが進められている[2][3][1][8][7]。工場見学もできる(要予約)[7]

なお、余熱は吉島屋内プールにも利用されていたが、中区の光南にあった旧プールは2023年8月末で閉場し、2023年9月末に南吉島に新築移転することになった[9][10][11]

建物

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 工場と吉島通り 平和公園の主要施設および平和大通り。平和公園の主要施設は平和大通りを東西の軸線として直交するように南北の軸線上に配置されている[12]。また現代広島市の主要道路は平和大通りを基準に碁盤目状に整備されている[13]。そのため吉島通りは平和の軸線を意識した線形になる。

この建物は1995年被爆50周年にあたり広島市が優れたデザインの社会資本整備を進めてきた「ひろしま2045:平和と創造のまち」事業[14]によって整備された公共施設にあたる[6]。設計は谷口建築設計研究所(谷口吉生)[6]、サインデザイン[注 1]八木保[15]

まず特徴として、“平和の軸線”平和公園内の原爆ドーム原爆死没者慰霊碑広島平和記念資料館が作る広島市の南北の都市軸をそのまま施設に取り込んでいること[注 2]が挙げられる[1][8]。平和公園から続きゴミ運搬車の搬入路となる吉島通りの突き当りに建物があり、その同軸上に建物を貫くように1階がゴミ運搬車路・2階以上が「エコリアム」[注 3]と呼ばれる吹き抜けの工場見学スペースとなっている[1]。そこから更に抜けると海を展望できるデッキがある[1]

(前略)例えば、広島市環境局中工場。これが『ゴミ処理施設』という言葉に似つかわしくない壮麗な建築物なんです。そこには、広島平和記念公園から瀬戸内海まで遮らずにつなぐ貫通通路がある。原爆で亡くなった人たちの精神とともに、どう町を作っていくのか…。そんな町の精神性が表れていると思い、(後略) — 濱口竜介[注 4][17]

エコリアムを中心に回遊式でゴミ処理の過程を見学できる[1]。空間はガラス張りで空気は脱臭処理され清潔感を演出し、ゴミ処理の各プラントを美術館の展示のように美しく見せている[1][6][8][7]。その様子は、SF映画に出てくる宇宙基地のような雰囲気、と評されている[6]。また屋内に樹木を植えクリーンなイメージを演出し、メタリックな設備との融合を果たしている[6][8][7]

旧工場を稼働させながら現工場を建て替えていたため、敷地南側の海面約43,000m2を埋め立てた上に建設している[4]。旧工場跡地は現在駐車スペース。周辺は公園、自然と水辺のコミュニティ空間となっている[6][8]

出来事

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交通

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脚注

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注釈

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  1. ^ 案内看板などのデザイン。
  2. ^ 平和公園設計責任者の丹下健三と中工場設計者の谷口吉生は師弟関係にあたる[4]。谷口は「丹下先生の構想した都市軸を“通す”ことをまず考えた」とコメントしている[4]。建物に軸線を通す谷口の設計は1995年竣工の葛西臨海公園展望レストハウスクリスタルビューでも見られる。
  3. ^ Ecorium、エコロジー(Ecology)とアトリウム(Atrium)を合わせた造語。
  4. ^ 濱口は2020年広島をロケ地として 映画『ドライブ・マイ・カー』を撮ったが、ロケ地決定の決め手となったのはこの工場の存在であった。映画では重要なシーンでこの工場がでてくる[16]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 第46回受賞作品(2005年)” (PDF). 日本建設業連合会. 2021年12月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 処理能力 600 トン/日の一般廃棄物焼却施設「広島市 中工場」を長寿命化、MHIECが燃焼設備等改修工事を受注”. 三菱重工環境・化学エンジニアリング. 2021年12月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e f ごみ処理施設(中工場)概要”. 広島市. 2021年12月13日閲覧。
  4. ^ a b c d e 清掃工場の機能を包み隠さず見せる”. 日経XTECH (2004年7月12日). 2021年12月13日閲覧。
  5. ^ a b 第11回 受賞建築物” (PDF). 公共建築協会. 2021年12月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 広島市環境局中工場/Hiroshima City Naka Incinerration Plant”. 広島県. 2021年12月13日閲覧。
  7. ^ a b c d e 中工場、広島市にゴミ処理場とは思えないアートな建物!工場見学も”. 広島ニュース 食べタインジャー (2021年7月13日). 2021年12月13日閲覧。
  8. ^ a b c d e 現代建築とごみ処理場の美しいコラボレーション『中工場』/広島県広島市”. 瀬戸内Finder (2021年11月2日). 2021年12月13日閲覧。
  9. ^ 吉島屋内プールの移転案内について”. 広島市市民局文化スポーツ部スポーツ振興課. 2023年9月5日閲覧。
  10. ^ 吉島屋内プールは移転します!”. 広島市市民局文化スポーツ部スポーツ振興課. 2023年9月5日閲覧。
  11. ^ 広島市中区の吉島屋内プールが30日移転オープン 浅いプール新設し3歳以上の幼児も利用可能に”. 中国新聞. 2023年9月5日閲覧。
  12. ^ 故丹下氏の平和公園設計 大谷幸夫さんに聞く 慰霊碑は「慚愧」表現”. 中国新聞 (2009年7月22日). 2021年12月13日閲覧。
  13. ^ 広島市の復興 ~広島平和記念都市建設計画の誕生~”. 広島市. 2021年12月13日閲覧。
  14. ^ 「ひろしま2045:平和と創造のまち」について”. 広島市. 2021年12月13日閲覧。
  15. ^ 日本のデザインアーカイブ実態調査”. 日本サインデザイン協会. 2022年1月31日閲覧。
  16. ^ 広島の風景 銀幕に 村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」 平和公園や中工場”. 中国新聞 (2021年6月29日). 2021年12月18日閲覧。
  17. ^ a b カンヌ脚本賞『ドライブ・マイ・カー』 物語の作り方”. 日経BP (2021年8月20日). 2021年12月13日閲覧。
  18. ^ a b 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  19. ^ a b 施設整備基本方針について” (PDF). 鳥取県東部広域行政管理組合. 2022年1月31日閲覧。
  20. ^ 最近撮影、公開された作品や公開予定の主な作品を撮影秘話とともに紹介します”. 広報ひろしま 平成29年12月15日号. 2021年12月13日閲覧。
  21. ^ 王様戦隊キングオージャー 第13話 怒りのスパイダー”. 東映 (2023年5月21日). 2023年5月21日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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