帛画(はくが)は、古代中国などで製作されたと呼ばれた絹布に描かれた絵画。

馬王堆一号墓出土品 T型帛画

同じく絹帛に文字が書かれた場合は帛書と呼び、絵画が描かれた帛画と区別するが、中には「絵であるか文字であるか解釈が分かれるもの」「絵と文字が共存するもの」もあり、一部の帛画も「帛書と表記するもの」「研究者によって帛書と記載するか、帛画とするかで見解が分かれるもの」も見受けられる。また、文字類の併記なくても帛書と記載される帛画もある。

概要

編集

古代中国の春秋戦国時代から代に描かれた。紙が発明される前に、紙の代わりに絹布を使って描かれており、下地の布については「帛(はく)」もしくは「絹帛(けんはく)」という。絹帛は「細かく織った絹」を指す[1]。古代思想を調べる手がかりとして考古学的に価値が高い[2]

英語ではSilk paitingと記載されるが、英語におけるSilk paintingは、東洋におけるシルク画全般を指す場合もあり、必ずしも「楚墓や馬王堆漢墓から出土した考古学的価値が高い帛画」を指すとは限定されない。シルクに絵を描くのは日本でも行われており、絹本などと呼ばれているが、日本においては絹本は帛画に含めない。

著名な帛画

編集
  • 楚墓出土品
    • 人物御竜帛画 - 男性が竜に乗り、御している画。下記『人物竜鳳画』と顔が似ている事から兄妹説が出ている[3][2]出土1973年[2]。馬王堆の『T型帛画』と並んで代表的帛画に選ばれることも多く、ウィキペディア各国語版には、この『人物御竜帛画』が掲載されている。
    • 人物竜鳳画 - 女性に竜鳳が描かれた物で、別称『龍鳳仕女図』。中国語表記では「人物龙凤帛画」「人物龍鳳帛畫」「龍鳳仕女圖」など。墓の持ち主と推察されている[3][2]。発掘1949年、製造戦国(紀元前475~前221)[3]
  • 馬王堆出土品 - 馬王堆漢墓から出土したもの。(馬王堆漢墓参照)
    • T型帛画 - 馬王堆一号墓からの出土品。左上に蟾蜍和玉兔が描かれている(zh:月兔#图片)。
    • 導引図 - 多くの人物図に小さく文字が添えられている。面積で言えば図面が人物画が占める割合が多いが、これらが象徴的だと解釈すれば文字的にも解釈可能であり、図でありながら、帛書と記載される事がある。
    • 地形圖 - 別名、長沙国南部図。
    • 天文気象雑占 -文字および天気の図柄が描かれたもの。帛書に分類される事が多い。(en:Divination_by_Astrological_and_Meteorological_Phenomenaも参照)

類似品・近隣品

編集

シルクに描画したものに、絹本(日本)などがある。また、唐代以降もシルク画は存続しており、これらが帛画に分類される事は少ないものの、一部海外では帛図画の訳文Silk paintingにまとめられて記載される事もあり、混同に留意が必要である。

脚注

編集

関連項目

編集