巫咸人(ふかんじん)、巫咸(ふかん)は中国に伝わる伝説上の人種である。古代中国では西方に位置する国に棲んでいたとされる。

概説

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古代中国の地理書『山海経』の海外西経によると、巫咸国は女子国の南にあり、巫咸人はそれぞれが巫師(ふし)であるといい、右手には青い左手には赤い蛇をにぎっているという。

山海経』の大荒西経には、巫咸はじめ10の巫師たちが数多くの薬草を求めて登頂する登葆山(とうほうさん)というについてのことが記されている。

巫咸

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巫咸とは、この国で一番のちからを持っている巫師の個人名でもあり、古代中国のの時代に活躍した巫師であり帝・太戊の代に勢力を持っていたという。巫咸国は巫咸を頂点に組織された巫師の集団でもある[1]

巫咸人の登場する作品

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鏡花縁
巫咸国に父と共に落ちのびて来た娘・姚芷馨が百才女の一人にあてられている。姚芷馨は巫咸人たちに養蚕を教える。

蛇骨婆

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日本妖怪蛇骨婆」(じゃこつばばあ)が描かれている江戸時代の絵本『今昔百鬼拾遺』(1780年)には、蛇を手に持っているということからの連想で、巫咸についての記述が引用されている[2]

脚注

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  1. ^ 馬昌儀『古本山海経図説』下冊 広西師範大学出版社 2007年(中文) ISBN 978-7-5633-6397-1 855頁
  2. ^ 稲田篤信・田中直日編 『鳥山石燕 画図百鬼夜行』 国書刊行会ISBN 978-4-336-03386-4。1992年、201頁。

参考文献

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  • 『山海経 中国古代の神話世界』高馬三良 訳 平凡社ライブラリー ISBN 4582760341 1994年 122、162頁
  • 袁珂 著、鈴木博 訳『中国の神話伝説』上、青土社、1993年 388頁

関連項目

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