小部 (パーリ)
パーリ仏典の経蔵を構成する五部のひとつ
小部(しょうぶ、巴: Khuddaka Nikāya, クッダカ・ニカーヤ)とは、仏教のパーリ仏典の経蔵を構成する「五部」(巴: Pañca Nikāya, パンチャ・ニカーヤ)の内の、第5番目(最後)の「部」(nikāya, ニカーヤ)のこと。 KNと略称する。
他の「部」(nikāya, ニカーヤ)に振り分けることができない特異な経典をまとめた「残余」の領域である。冒頭の『小誦経』(しょうじゅきょう、Khuddaka-pāṭha, クッダカ・パータ)に因んで、「小部」(しょうぶ、Khuddaka Nikāya, クッダカ・ニカーヤ)と名付けられている。
名前とは裏腹に、文量は決して小さいわけではなく、むしろ『本生経』(ジャータカ)や『譬喩経』(Apadāna, アパダーナ)を中心に、膨大な文量を誇り、「五部」(Pañca Nikāya, パンチャ・ニカーヤ)の中でも圧倒的に多い。例えば、大蔵出版の『南伝大蔵経』では、「長部」が全3巻、「中部」が全4巻、「相応部」が全6巻、「増支部」が全7巻なのに対して、「小部」には全22巻[1]を費やしている。
構成
編集以下の18経で構成されるが、下の3つは蔵外扱いになることも多い[2]。
- 1. 『小誦経』(しょうじゅきょう、Khuddaka-pāṭha, クッダカ・パータ)
- 2. 『法句経』(ほっくぎょう、Dhammapada, ダンマパダ)
- 3. 『自説経』(じせつきょう、Udāna, ウダーナ)
- 4. 『如是語経』(にょぜごきょう、Itivuttaka, イティヴッタカ)
- 5. 『経集』(きょうしゅう、Sutta-nipāta, スッタニパータ)
- 6. 『天宮事経』(てんぐうじきょう、Vimāna-vatthu, ヴィマーナヴァットゥ)
- 7. 『餓鬼事経』(がきじきょう、Peta-vatthu, ペータヴァットゥ)
- 8. 『長老偈経』(ちょうろうげきょう、Thera-gāthā, テーラガーター)
- 9. 『長老尼偈経』(ちょうろうにげきょう、Therī-gāthā, テーリーガーター)
- 10. 『譬喩経』(ひゆきょう、Apadāna, アパダーナ)
- 11. 『仏種姓経』(ぶっしゅしょうきょう、Buddha-vaṃsa, ブッダ・ヴァンサ)
- 12. 『所行蔵経』(しょぎょうぞうきょう、Cariyā-piṭaka, チャリヤー・ピタカ)
- 13. 『本生経』(ほんしょうきょう、Jātaka, ジャータカ)
- 14. 『義釈』(ぎしゃく、Niddesa, ニッデーサ)
- 15. 『無礙解道』(むげげどう、Paṭisambhidā-magga, パティサンビダー・マッガ)
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日本語訳
編集全訳
編集- 『南伝大蔵経・経蔵・小部経典1-22』(23-44巻) 大蔵出版
- 『南伝大蔵経・蔵外』59巻「弥蘭王問経」
- 『小部経典』 全10巻、正田大観、Evolving/Kindle 2015年
- 『原始仏典IV』 全16巻、中村元、春秋社 2023年-
- 「小部経典」(「ジャータカ」まで)
部分訳
編集ダンマパダ(法句経)
スッタニパータ(経集)
ヴィマーナヴァットゥ(天宮事経)
ペータヴァットゥ(餓鬼事経)
テーラガーター(長老偈経)
- 『仏弟子の告白―テーラガーター』中村元訳 岩波文庫
テーリーガーター(長老尼偈経)
- 『尼僧の告白―テーリーガーター』中村元訳 岩波文庫
ジャータカ(本生経)
- 『ジャータカ全集』(全10巻)中村元監修 春秋社
ミリンダパンハ(弥蘭陀王問経)
脚注
編集関連項目
編集外部リンク
編集- The Pali Tipitaka - Tipitaka.org --- 第6結集本のパーリ語原文を、様々な文字で読める
(Tipiṭaka (Roman) > Tipiṭaka (Mūla) > Suttapiṭaka > Khuddakanikāya) - Khuddaka Nikaya - Access to Insight --- 英訳
- Suttacentral Suttacentral 様々な言語訳が読める総合的な三蔵に関するサイト