有理化
分数の分母から根号(有理数でない代数的数)を消去する数学的操作
(実数化から転送)
数学において、有理化(ゆうりか、英: rationalization)とは、根号を含む式(とくに平方根を含む分数式の分母または分子)から根号を取り除く式変形のことである。根号を持つ無理数(代数的無理数)を有理数に変える操作であることからこの名がある。
概要
編集有理化をすることで計算がしやすくなったりする。[1]例えば分母の有理化
などがあげられる。
抽象代数学的にはこの例は、 を有理数体、 が有理数の平方ではないとしたとき
という の二次拡大体を考えると、
が成り立つ、という主張に一般化できる。
これは の各元 に対し、その拡大 に関する共役元 を掛ければ
(この は の(拡大 に関する)ノルムと呼ばれる。)が に属すということからまさに有理化によって 証明されるわけである。
一般に、体 K の(有限次ガロア)拡大体 L の元に対し、その元の拡大 L/K に関する共役元(二次拡大ではただ一つだが、一般には複数ある)をすべて掛け合わせたものを、その元のノルムとよぶが、ノルムは下の体 K に属する。したがって同様のこと、つまり有理化は共役元が全て計算できるならば、二次拡大に限らず行える。
実数化
編集以外の体の拡大についても同様のことができる。たとえば、 を実数体 にとりかえ、d = −1 としてみよう。
(ここで、 は虚数単位のことである。)であって、各元(つまり複素数) の に関する共役元とは、共役複素数 のことであるということに注意して、そのノルムを計算すると
は に属する。したがってたとえば、
などの変形が可能である。このような変形を(分母の)実数化ということがある。