奥行臼駅逓(おくゆきうすえきてい)は、北海道駅逓制度(明治から昭和初期まで北海道辺地の交通補助機関として、宿泊・人馬継立・郵便業務を担うための制度)のための施設として供され、現存している数少ない駅逓である。別海・別当賀・西別への分岐点となる駅逓であり、また別海町にあった9つの駅逓のうち、現存している唯一のものである。所在は北海道野付郡別海町奥行15番地12で国道243号線国道244号線の分岐点にあたる[1]

奥行臼駅逓(修繕作業前)

国の史跡[2][3][4]、および北海道指定有形文化財に指定されている[5]

毎年5月1日から10月末まで一般公開されている[6]

歴史

編集
  • 1910年明治43年)10月9日 - 第一期北海道拓殖計画に伴い、馬3頭で駅逓を開設。駅逓取扱人山崎藤次郎の家屋が当てられた[7]
  • 1918年大正7年) - 駅逓の一部を改築。
  • 1930年昭和5年)6月10日 - 駅逓廃止。以後、1975年(昭和50年)まで旅館の建物として使用される[7]
  • 1982年(昭和57年)11月18日 - 別海町文化財に指定される。
  • 1994年平成6年)6月3日 - 北海道指定有形文化財に指定される[5]
  • 2011年(平成23年)9月21日 - 「旧奥行臼駅逓所」の名称で、国の史跡に指定される[4]
  • 2014年(平成26年) - 保存・修繕作業に伴い、一時閉鎖[3]
  • 2018年(平成30年)9月30日 - 修繕作業が終了、同年10月20日より一般公開が再開される[8]

史跡公園化

編集

2021年、別海町教育委員会は、旧奥行臼駅逓所(国指定史跡)、旧国鉄奥行臼駅(町指定文化財)、旧別海村営軌道風蓮線奥行停留所(町指定文化財)などが集中する約23ヘクタールを「奥行臼史跡公園」として整備する方針を固めた[7]

脚注

編集
  1. ^ 北海道根室振興局ホームページ旧奥行臼駅逓所(別海町)
  2. ^ “別海旧奥行臼駅逓、史跡に 文化審答申 気仙沼「鳴き砂」は天然記念物”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2011年5月21日)
  3. ^ a b “旧奥行臼駅逓所改修へ 別海の国史跡 一般公開中止”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年4月10日)
  4. ^ a b 旧奥行臼駅逓所 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  5. ^ a b “味と催し どっさり “明治の姿”堂々 別海・奥行臼駅逓祭 道有形文化財指定も祝う”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1984年9月13日)
  6. ^ “別海町が本年度 旧奥行臼駅逓所整備へ 専門家が修繕計画策定”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2013年5月13日)
  7. ^ a b c “奥行地区23ヘクタール「史跡公園」に 別海町教委方針 文化遺産まとめ観光名所化”. 北海道新聞. (2021年6月1日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/550564/ 
  8. ^ 別海の旧奥行臼駅逓所を21日まで開放 柾葺屋根など復元”. 北海道建設新聞社. 2022年5月30日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集

座標: 北緯43度18分46.4秒 東経145度12分35.3秒 / 北緯43.312889度 東経145.209806度 / 43.312889; 145.209806