大石進一

日本の応用数理学者

大石 進一(おおいし しんいち、1953年5月9日 - )は、日本数学者応用数学)。学位は、工学博士早稲田大学・1981年)。早稲田大学栄誉フェロー。文化功労者

おおいし しんいち
大石 進一
文化功労者顕彰に際して公表された肖像写真
文化功労者顕彰に際して
公表された肖像写真
生誕 (1953-05-09) 1953年5月9日(71歳)
日本の旗 日本静岡県浜松市
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 数学
研究機関 早稲田大学
出身校 早稲田大学高等学院卒業
早稲田大学理工学部卒業
早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程修了
早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了
博士課程
指導学生
柏木雅英
尾崎克久
荻田武史
山中脩也
高安亮紀
関根晃太
森倉悠介
主な業績 精度保証付き数値計算
INTLABの開発に協力
主な受賞歴 小野梓記念賞
大川出版賞
日本応用数理学会論文賞
日本応用数理学会業績賞
電子情報通信学会論文賞
電気通信普及財団テレコムシステム技術賞
プロジェクト:人物伝
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早稲田大学理工学部教授、早稲田大学基幹理工学部学部長、早稲田大学理工学術院学術院長などを歴任した。

概要

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1953年5月9日生まれの日本の応用数学者である。ソリトン、ホモトピー法などの非線形の構成的解析の研究を経て、1990年より精度保証付き数値計算の研究に従事し[1]文部科学省科研費の特別推進研究や3度にわたるJST CREST[2]の研究費をはじめとして国から大きな支援を受けた[3]。2012年紫綬褒章受章[4]。2014年9月より早稲田大学理工学術院長。早稲田大学理工学術院基幹理工学部応用数理学科元教授。2024年4月より早稲田大学栄誉フェロー。

来歴

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2020年11月4日、文化功労者顕彰式にて文部科学副大臣横田比奈子(右)から顕彰状を受領

静岡県浜松市生まれ[5]。1972年3月早稲田大学高等学院卒業[6]、1976年3月早稲田大学理工学部電子通信学科卒業、1978年3月早稲田大学大学院理工学研究科博士前期課程修了、1981年3月早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。工学博士早稲田大学)。学位論文の題は「非線形信号伝送系における波動伝搬に関する研究 : ソリトン波及びその周辺に関する解析」[7]

1980年4月早稲田大学理工学部助手、1982年4月早稲田大学理工学部専任講師、1984年4月早稲田大学助教授、1989年4月早稲田大学教授、2010年9月早稲田大学理工学術院基幹理工学部長、2014年9月理工学術院[8]

賞歴

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栄典

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著書

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  • 『精度保証付き数値計算の基礎』 コロナ社 2018/7発行 (柏木雅英, 尾崎克久, 荻田武史, 山中脩也, 高安亮紀, 関根晃太, 森倉悠介, S. Rump と共著)
  • 計算科学のためのHPC技術1, 下司雅章 編/片桐孝洋,中田真秀,渡辺宙志,山本有作,吉井範行,Jaewoon Jung,杉田有治,石村和也,大石進一,関根晃太,森倉悠介,黒田久泰 著, ISBN 978-4-87259-586-4, 2017年03月, 大阪大学出版会.
  • 『応用数理ハンドブック』(日本応用数理学会20周年記念出版)、薩摩順吉杉原正顯と共編 朝倉書店 2013.
  • 『回路理論』 コロナ社 2013/5発行
  • 『シミュレーション辞典』日本シミュレーション学会編(編集委員会委員長:大石進一)、コロナ社 2012.
  • 『待ち行列理論』 コロナ社 2003/5発行 ISBN 9784339060737
  • 『MATLABによる数値計算』 培風館 2001/7発行 ISBN 4-563-01495-8
  • 『微積分とモデリングの数理』 朝倉書店 2000/11発行 ISBN 4-254-28501-9
  • 『Linux数値計算ツール』 コロナ社 2000/10発行 ISBN 4-339-02378-7
  • 『精度保証付き数値計算』 コロナ社 1999/12発行 ISBN 4-339-02605-0
  • 『数値計算』 裳華房 1999/03発行 ISBN 4-7853-1514-8
  • 『電子情報通信と数学』 電子情報通信学会 編 1998/02発行 ISBN 4-88552-149-1
  • 『非線形解析入門』 コロナ社 1997/04発行 ISBN 4-339-02600-X (関数解析学の教科書)
  • 『グラフィックス』 牧野光則と共著 日本評論社 1994/07発行 ISBN 4-535-60816-4
  • 『例にもとづく情報理論入門 』 講談社 1993/06発行 ISBN 4-06-153803-9
  • 『フーリエ解析』 岩波書店 1989/06発行 ISBN 4-00-007776-7

代表的な論文

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計算機援用証明

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  • Hoffman, N., Ichihara, K., Kashiwagi, M., Masai, H., Oishi, S., & Takayasu, A. (2016). Verified computations for hyperbolic 3-manifolds. Experimental Mathematics, 25(1), 66-78.

高精度計算・エラーフリー変換

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数値線形代数

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最適化問題

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  • Oishi, S., & Tanabe, K. (2009). Numerical Inclusion of Optimum Point for Linear Programming. 日本応用数理学会 Letters, 1, 5-8.

数値積分

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  • Yamanaka, N., Okayama, T., Oishi, S., & Ogita, T. (2010). A fast verified automatic integration algorithm using double exponential formula. Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE, 1(1), 119-132.
  • Yamanaka N., Okayama T., Oishi S. (2016) Verified Error Bounds for the Real Gamma Function Using Double Exponential Formula over Semi-infinite Interval. In: Kotsireas I., Rump S., Yap C. (eds) Mathematical Aspects of Computer and Information Sciences. MACIS 2015. Lecture Notes in Computer Science, vol 9582. Springer, Cham.

高性能計算

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  • Morikura, Y., Ozaki, K., & Oishi, S. (2013). Verification methods for linear systems using ufp estimation with rounding-to-nearest. Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE, 4(1), 12-22.
  • Ozaki, K., Ogita, T., Oishi, S., & Rump, S. M. (2012). Error-free transformations of matrix multiplication by using fast routines of matrix multiplication and its applications. Numerical Algorithms, 59(1), 95-118.

ODE/PDEの解に対する精度保証付き数値計算

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  • Liu, X., & Oishi, S. (2013). Verified eigenvalue evaluation for the Laplacian over polygonal domains of arbitrary shape. en:SIAM Journal on Numerical Analysis, 51(3), 1634-1654.
  • Liu, X., & Oishi, S. (2013). Guaranteed high-precision estimation for   interpolation constants on triangular finite elements. Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, 30(3), 635-652.
  • Oishi, S. (1995). Numerical verification of existence and inclusion of solutions for nonlinear operator equations. en:Journal of Computational and Applied Mathematics, 60(1-2), 171-185.
  • Oishi, S. (1994). Two topics in nonlinear system analysis through fixed point theorems. IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, 77(7), 1144-1153.
  • Y. Kanazawa and S. Oishi (2002), "A numerical method of proving the existence of solutions for nonlinear ODEs using affine arithmetic". Proc. SCAN'02 - 10th GAMM-IMACS International Symposium on Scientific Computing, Computer Arithmetic, and Validated Numerics.

脚注

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  1. ^ 大石進一、「なぜ精度保証付き数値計算の研究を追求したか -私の研究の原点-」『電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review』 2008年 2巻 2号 p.2_9-2_19, doi:10.1587/essfr.2.2_9, 電子情報通信学会
  2. ^ Core Research for Evolutional Science and Technology
  3. ^ 精度保証付き数値計算の基礎』 コロナ社 2018/7発行
  4. ^ 大石進一理工学術院教授が紫綬褒章を受章 精度保証付き数値計算の研究が高く評価されました
  5. ^ 理工系の数学入門コース[新装版] フーリエ解析 (新装版)”. 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア. 2023年2月12日閲覧。
  6. ^ 基幹文化功労者 | 早稲田大学 基幹理工学部・研究科”. 2023年2月12日閲覧。
  7. ^ 博士論文書誌データベースによる
  8. ^ a b http://www.oishi.info.waseda.ac.jp/~oishi/index-j.html
  9. ^ 令和2年度 文化功労者”. 文部科学省 (2020年11月3日). 2020年11月9日閲覧。

外部リンク

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大石進一 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース


先代
山川宏
早稲田大学理工学術院長
2014年 - 2016年
次代
竹内淳