坑木
概要
編集坑木は部材ごとに天井を支える梁もしくは笠木、梁を支える枠脚、枠脚の裏込めとなる成木からなる。梁と枠脚の太さは末口径18-25cm、長さは2-3mで揃えられた。坑木の樹種は、北海道の炭鉱ではエゾマツ、トドマツ、カラマツのほか広葉樹、本州ではマツなどが加わる。坑道は入気抗と排気抗に大別できるが、排気抗は温度と湿度が高くなるため早いものでは3-6ヶ月で腐食するため、高い頻度で交換された[1]。
大規模な鉱山、炭鉱になると坑木が慢性的に不足した。足尾銅山では、周辺の森林を燃料や坑木に使用する目的で伐採したため、はげ山(荒廃地)が形成される原因の一つとなった[2]。また、周囲の森林を利用できない地域では、やせ地でも成長が早く材質が硬いニセアカシアを植林したほか[3]、鉄道などで遠隔地から坑木を輸送して取り寄せた。炭鉱に近くには、坑木を積み下ろすための施設を有する駅もあった(例:雄別炭山駅など)。
脚注
編集- ^ 雨宮昭二「こうぼく 坑木」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p237 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
- ^ “足尾銅山 日本の近代化を支えた銅山”. NHK 新日本風土記アーカイブス (2004-). 2020年6月13日閲覧。
- ^ “ニセアカシヤ(針槐:はりえんじゅ)”. 北海道庁 (2018年10月19日). 2020年6月12日閲覧。