坂本 信博(さかもと のぶひろ、1972年 - )は日本のジャーナリスト西日本新聞記者

来歴

編集

福岡県福岡市出身。1995年創価大学法学部卒業。在学中はマラヤ大学に2年間留学。また落語研究会では部長を務め、国連研究会の創設にも参加した[1]。落語研究会の後輩にエレキコミックナイツがいる。マレーシア邦字紙記者、商社勤務を経て、1999年西日本新聞社入社。

社会部を経て、2000年から2003年まで長崎総局で警察司法長崎市政、原爆平和長崎県政を取材。2003年から2005年まで宗像支局長。社会部で医療教育原発問題などを担当。2010年3月から成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-I関連脊髄症をめぐるキャンペーン報道「HTLV1制圧へ[2]を展開し、菅直人首相が2010年9月、HTLV-1関連疾患を九州などの”風土病”と捉えて対策を放置してきた政府の判断ミスを認めて患者団体に謝罪し、総合対策を打ち出すことにつながった[3][4]2011年から2014年まで東京支社報道部で厚生労働省環境省国土交通省、経済、首相官邸国会 (日本)を取材。

2015年、編集局安全保障取材班キャップとして、キャンペーン報道「戦後70年 安全保障を考える」で第21回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞。都市圏総局で子どもの貧困をテーマにしたキャンペーン報道「子どもに明日を」を担当。

2016年、社会部遊軍キャップとして、外国人労働者との共生を考えるキャンペーン報道「新 移民時代」を展開し、2017年に第17回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞。一連の報道をまとめた書籍「新 移民時代 外国人労働者と共に生きる社会へ」[5]菅義偉官房長官が読み、出入国管理及び難民認定法の改正につながった[6]

2018年、社会部遊軍キャップ・デスクとして、オンデマンド調査報道(ジャーナリズム・オン・デマンド=JOD)「あなたの特命取材班」をスタート[7]福間慎一[8]らと新聞業界で初となる「やさしい日本語」によるニュース発信「やさしい西日本新聞」をスタート[9]

2019年、クロスメディア報道部シニアマネージャー。オンデマンド調査報道に取り組むローカルメディアの連携協定「JODパートナーシップ」を全国に拡大。

2020年中国総局長(北京特派員[10]2021年、中国政府による少数民族ウイグル族への抑圧政策が強まった2014-18年に新疆ウイグル自治区の不妊手術が18.8倍に急増し、出生率がほぼ半減したほか、ウイグル族が人口の8割以上を占める28市県のうち27市県の出生率が2-9割減少する一方、漢族が多い地域では出生率が上昇していたことなどを、中国当局や新疆ウイグル自治区政府の公式統計を基に特報[11][12][13][14]。日本政府の松野博一官房長官は12月2日の定例記者会見で「統計資料は承知しているが、内容についてコメントする立場にはない」とした上で「重大な人権侵害が行われているとの報告は多くあり、わが国としても深刻な懸念をしている」と述べた[15]。一連の報道後、中国政府が30年以上にわたってほぼ毎年「中国統計年鑑」で公表してきた地域別出生率の項目が消えた[16]。2022年、ウイグル族集住地域で不妊処置が急増した結果、移住を除く人口増加率が最大で約100分の1に激減したことを、地元当局の公式統計を基に特報した[17]

2022年、「あなたの特命取材班」が日本記者クラブ賞特別賞を受賞[18]。中国新疆ウイグル自治区の強制不妊疑惑などを巡る調査報道で第2回調査報道大賞の選考委員特別賞を受賞[19]

出演番組

編集

著書・共著

編集
  • 「医療崩壊を超えて」[21]ミネルヴァ書房
  • 「戦争は秘密から始まる 秘密保護法でこんな記事は読めなくなる」[22]合同出版
  • 「安保法制の正体 『この道』で日本は平和になるのか」[23]明石書店
  • 「新 移民時代 外国人労働者と共に生きる社会へ」[24]明石書店

脚注

編集
  1. ^ 平和を創るグローカル・ジャーナリストを目指して
  2. ^ インタビュー 菅付加代子 NPO法人日本からHTLVウイルスをなくす会 代表理事”. sangakukan.jst.go.jp. 2020年2月25日閲覧。
  3. ^ ATLシンポ「知ってください!HTLV1のこと」 | 古賀克重法律事務所ブログ”. 2020年2月25日閲覧。
  4. ^ HTLV1総合対策|ワードBOX”. 西日本新聞me. 2021年11月20日閲覧。
  5. ^ Shin imin jidai : gaikokujin rōdōsha to tomoni ikiru shakai e = The new era of immigration. Nishi Nihon Shinbunsha, 西日本新聞社. (Shohan ed.). Tōkyō. (2017). ISBN 978-4-7503-4586-4. OCLC 1013876149. https://www.worldcat.org/oclc/1013876149 
  6. ^ 菅官房長官単独インタビュー詳報 「外国人労働者なしに日本経済は回らない」”. 西日本新聞me. 2021年11月20日閲覧。
  7. ^ 日本放送協会. ““あなたのニュース”が社会を変える”. NHKニュース. 2020年2月25日閲覧。
  8. ^ 「やさしい日本語」元年 福間慎一
  9. ^ Company, The Asahi Shimbun. “泥縄式の労働開国で地域にひずみ - 坂本信博|論座 - 朝日新聞社の言論サイト”. 論座(RONZA). 2019年5月25日閲覧。
  10. ^ 「新聞の力」って信じられますか?ある青年が「現代の駆け込み寺」を仲間たちと作るまで。”. ハフポスト (2020年9月1日). 2020年10月24日閲覧。
  11. ^ 国交正常化50年へ中国の光も影も見つめる 北京特派員・坂本信博”. 西日本新聞me. 2021年11月20日閲覧。
  12. ^ 中国・監視下を突破したスクープ - スクープ「ウイグル不妊強制か」の内幕”. SlowNews (スローニュース). 2021年11月20日閲覧。
  13. ^ ウイグル族の集住地域の出生率、5年で2―9割減 人口抑制策“狙い撃ち”の疑い”. 西日本新聞me. 2021年12月6日閲覧。
  14. ^ ウイグル族増えれば「政治的リスク」 人口抑制促すシンクタンク論文”. 西日本新聞me. 2021年12月6日閲覧。
  15. ^ ウイグルの人権侵害「深刻な懸念」 松野官房長官”. 西日本新聞me. 2021年12月6日閲覧。
  16. ^ 池上彰さんが驚愕「新疆ウイグル自治区」 悪魔の技術が実現させた恐るべきディストピア(レビュー)(Book Bang)”. Yahoo!ニュース. 2022年5月20日閲覧。
  17. ^ ウイグル人口増加率急減 少数民族地域100分の1も 当局の出生抑制策が影響か”. 西日本新聞me. 2022年5月20日閲覧。
  18. ^ 日本記者クラブ賞 | 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC)”. 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC). 2022年5月20日閲覧。
  19. ^ 「調査報道大賞」授賞作品の決定について”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2022年7月26日閲覧。
  20. ^ 日本放送協会. “あなたのニュースで社会が変わる ~信頼のジャーナリズム~”. NHK クローズアップ現代+. 2020年2月25日閲覧。
  21. ^ Iryō hōkai o koete : Chiiki no chōsen o ō. Daisuke Tagawa, 大介 田川. Kyōto: Mineruvuashobō. (2009). ISBN 978-4-623-05490-9. OCLC 674427912. https://www.worldcat.org/oclc/674427912 
  22. ^ Senso wa himitsu kara hajimaru : Himitsu hogoho de konna kiji wa yomenaku naru.. 昌幸 高田, Nihon Shinbun Rodo Kumiai Rengo, 日本新聞労働組合連合. Godoshuppan. (2015.2). ISBN 978-4-7726-1195-4. OCLC 906686411. https://www.worldcat.org/oclc/906686411 
  23. ^ Anpo hōsei no shōtai : kono michi de Nihon wa heiwa ni naru noka. Nishi Nihon Shinbunsha. Anpo Shuzaihan, 西日本新聞社. 安保取材班 (Shohan ed.). Tōkyō-to Chiyoda-ku. (2016). ISBN 978-4-7503-4307-5. OCLC 941727463. https://www.worldcat.org/oclc/941727463 
  24. ^ Shin imin jidai : Gaikokujin rodosha to tomo ni ikiru shakai e.. Nishinihon Shinbunsha, 西日本新聞社. Akashishoten. (2020.8). ISBN 978-4-7503-5069-1. OCLC 1200464571. https://www.worldcat.org/oclc/1200464571 

外部リンク

編集