吹雪
吹雪(ふぶき)は、強風で地表に積もった雪(積雪)が舞い上がると同時に、雪が降っていて視程が悪くなっている気象状態[1]。
概要
編集激しい吹雪が起こると、雪が視界を遮ったり太陽光が遮られるなどによって見通しがきかなくなり、極端な場合には視界すべてが真っ白なホワイトアウトになる。見通しがきかないので、自動車の通行や、路線バス・鉄道・飛行機など公共交通機関の運行に多大な影響が出る。
吹雪が起りやすい北海道や東北地方などの寒冷地ではこれを防ぐため道路や鉄道路線などの脇に防風林や防雪柵を設置し、道路上や線路上に雪が舞い上がったり視界を遮ったりしないようにしているところもある[2][3][4][5]。
建築物や地形、積雪などの風下側では風がよどみ舞い上がった雪が堆積し、これを吹き溜まりと呼ぶ。交通路線上に吹き溜まりを作らないために、上で取り上げた防雪柵によって、事前に交通路線以外の場所に吹き溜まりを作る場合もある。
気候条件によっては短時間に多量の雪が堆積することがあり、前述のホワイトアウト現象と共に起こることが多く、注意が必要である。
また、冬は晴れていても日照時間が短いことに加え、吹雪によって太陽光が遮られると、朝は遅くまで、夕方は早くから暗くなってしまう。
なお、風雪とは飛雪の有無に関わらず、強風で雪が横なぐりに降っている気象状態をいう[1]。
地吹雪
編集定義
編集地吹雪は積雪の表面にある雪粒子が風で飛び跳ねながら移動する現象をいう[1]。
地吹雪になった場合、地吹雪の発生地点から200m付近までは風食域で積雪深が増加するが、それより遠くなると平衡状態の平衡域となり、さらに350m以遠では堆雪域となる[1]。
地吹雪は平野部や山間部に近い平地などの平坦部、または山間部で沢風や谷風の吹き上げる沢や谷に沿った地形で発生しやすい[1]。
青森県五所川原市金木地区では、町おこしの一環として地吹雪体験ツアーが行われている。
ちなみに何かにつかまらないと立っていられないような強い風が吹いたことを猛吹雪(猛ふぶき[6])という[7]。
天気記号
編集国際式天気図の天気記号では、以下の4種類が地吹雪を表す。吹雪の場合には、雪と考えてその状態を表す記号を用いる。
日本式天気図では、地吹雪により視程が1km未満になっているとき、天気を地吹雪と表記する。降雪がある場合(吹雪の場合)は、そちらを優先するので雪とする。なお、雷を伴う場合なども優先順位によって異なる表記となる[8]。
ブリザード
編集ブリザードは、もともと北アメリカ大陸にあった方言で、風速が毎秒15メートル以上で視程400メートル以下の状態が3時間以上継続する気象状態をいうが、日本では猛吹雪や暴風雪の意味で使われることが多い[1]。
南極大陸の昭和基地においては、視程1km未満、風速10m/s以上の状態が6時間以上続いたときを『ブリザード』としている。また、以下の基準でブリザードの規模を分類して、外出制限の基準としている。
規模 視程 風速 継続時間 A級 100m未満 25m/s以上 6時間以上 B級 1km未満 15m/s以上 12時間以上 C級 1km未満 10m/s以上 6時間以上
脚注
編集- ^ a b c d e f 点検対象項目 全国地質調査業協会連合会、2020年1月4日閲覧。
- ^ 田村喜子 author-link = 田村喜子「雪垣」『北海道開発土木研究所月報』第604号、2003年9月。ISSN 1346-6747。 NCID AA11549655。全国書誌番号:00117208 。2017年5月2日閲覧。
- ^ 竹内政夫「吹雪とその対策(5)―防雪柵の技術史―:防雪柵の技術史」『雪氷』第65巻第3号、日本雪氷学会、2003年、271-278頁、doi:10.5331/seppyo.65.271、ISSN 0373-1006、NAID 130000911473。
- ^ 第3編 防雪柵編 (PDF) 独立行政法人 土木研究所寒地土木研究所
- ^ 防風柵の防雪効果の検証と改善に関する研究 (PDF) 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構建築研究本部
- ^ 気象庁|予報用語(降水)
- ^ “暴風雪は、雪山遭難レベル 出歩かない、クルマでも外出しないが一番の対策(あんどうりす)”. Yahoo!ニュース (2020年12月30日). 2020年12月31日閲覧。
- ^ 理科年表FAQ > 山内豊太郎「天気の種類はいくつあるのですか。その記号も教えてください。」、理科年表オフィシャルサイト(国立天文台、丸善出版)、2008年3月、2023-01-25閲覧。