国際教養大学
国際教養大学(こくさいきょうようだいがく、英語: Akita International University)は、秋田県秋田市雄和椿川字奥椿岱193-2に本部を置く日本の公立大学。2004年創立、2004年大学設置。大学の略称はAIU(エーアイユー)[1]、教養大、国教大。
国際教養大学 | |
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大学設置/創立 | 2004年 |
学校種別 | 公立 |
設置者 | 公立大学法人国際教養大学 |
本部所在地 |
秋田県秋田市雄和椿川字奥椿岱193-2 北緯39度37分38.7秒 東経140度11分52.9秒 / 北緯39.627417度 東経140.198028度座標: 北緯39度37分38.7秒 東経140度11分52.9秒 / 北緯39.627417度 東経140.198028度 |
学生数 | 820 |
学部 | 国際教養学部 |
研究科 | グローバル・コミュニケーション実践研究科 |
ウェブサイト | https://web.aiu.ac.jp/ |
概観
編集大学全体
編集日本で初の地方独立行政法人の運営による単科大学[1]。公立大学法人の設立団体は秋田県。1990年(平成2年)に開校し、2003年(平成15年)に閉校となった米国ミネソタ州立大学機構(MnSCU)秋田校の跡地に開学した[1][2]。初代学長中嶋嶺雄の方針の下、海外とのコミュニケーション能力を重視したカリキュラムが組まれた[3]。グローバル・ビジネス領域(経営学)、グローバル・スタディズ領域(国際関係論)、グローバル・コネクティビティ領域(テクノロジー・人文科学)を有する[1]。
理念
編集国際教養大学は、その理念として「英語をはじめとする外国語の卓越したコミュニケーション能力と豊かな教養、グローバルな専門知識を身に付けた実践力のある人材を養成し、国際社会と地域社会に貢献すること」[4]を掲げている。
学風および特色
編集学生の多様性
編集在学生は全国各地から集まっているが[2]、三大都市圏からの学生が約半数を占める。在学生の出身高校所在地別学生数でみると、秋田県が約14%、秋田県以外の東北地方・北海道が約14%、関東地方が24%、中部地方が約14%、近畿地方が約14%、中国地方・四国・およびその以西が約12%、外国等が約8%である[5]。
主に提携大学から来る留学生は日本語や日本文化専攻の学生とそうでない学生がいる。2013年秋学期では、26カ国・地域から167人であった[5]。全員が日本人学生と同じ学内の寮やアパートに住んでおり、日本人学生と留学生との距離が近い学風を有する[1]。
留学の必須
編集国際教養大学の卒業要件には最低1年間の海外留学が含まれている[1]。特定の単位数と必修科目を修め、TOEFL ITP550点およびGPA2.5以上の条件を満たせば自分の好きな時期に留学でき、多くは2年次の冬から3年次の冬まで留学する[1]。留学先の大学では、自分の専攻分野のカリキュラムに合致する授業を1年間で30単位程度履修する(これは国際教養大学での履修単位数と変わらない)[1]。
外国人教員比率は日本の大学の中では第2位の高さである[6]。2011年時点では、専任教員の約55%が外国籍である。 また、第3代学長(理事長も兼任)としてスリランカ出身のモンテ・カセムが就任している[7]。
沿革
編集年表
編集- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2月 - 地域環境研究センター(CRESI: Center for Regional Sustainability Initiatives)設立。
- 7月 - 秋田市の秋田明徳館ビル内にサテライトセンター開設。
- 2006年(平成16年)4月 - グローバル・スタディズ課程の「中国分野」を「東アジア分野」に拡充。入学定員を100名から130名に増員。
- 2007年(平成19年)6月 - グローバルヴィレッジ(学生宿舎)竣工。
- 2008年(平成20年)
- 3月 - 図書館竣工。入学定員を130名から150名に増員。
- 4月 - 教職課程、言語異文化学習センター(LDIC)設置。
- 9月 - 専門職大学院「グローバル・コミュニケーション実践研究科」開講(定員30名)。
- 12月 - 講義棟(D棟)竣工。
- 2011年(平成23年)4月 - 入学定員が150名から175名に増員される。
- 2012年(平成24年)1月 - 東アジア調査研究センター(CEAR: Center for East Asia Research)設立[8]。
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 5月 - スーパーグローバル大学創成支援に申請(申請者および構想責任者は鈴木典比古)[9]。
- 9月 - スーパーグローバル大学グローバル化牽引型指定校に選ばれる(2023年度までの10年間で約18億円の補助金が国から支給される[9])。
- 11月 - 開学10周年式典。初代学長中嶋嶺雄(故人)に「名誉学長」の称号が授与され、大学図書館の名称が「中嶋記念図書館」となる[10]。
- 2015年(平成27年)4月 - 地域環境研究センター(CRESI)と東アジア調査研究センター (CEAR) を統合し、アジア地域研究連携機構(IASRC: Institute for Asian Studies and Regional Collaboration)を設立[11]。
- 2021年(令和3年)6月1日 - モンテ・カセムが法人理事長に就任(第3代学長を併任)[7]。
- 2022年(令和4年)3月28日 - 新学生宿舎「つばきヴィレッジ」の完成記念式典を開催[12]。
基礎データ
編集所在地
編集- 秋田県秋田市雄和椿川字奥椿岱193-2
象徴
編集- イメージカラーは、緑色[13]。
- マスコットキャラクターは、国際的にも知名度が高い秋田犬をモチーフにした「ONE(ワン)」。秋田公立美術工芸短期大学の学生がデザインした[13]。
教育および研究
編集組織
編集学部学科
編集専門職大学院
編集- グローバル・コミュニケーション実践研究科(Graduate School of Global Communication and Language)
- グローバル・コミュニケーション実践専攻(Graduate Program in Global Communication and Language Practices)
- 英語教育実践領域
- 専門職学位
- 英語教育修士(専門職。英語による学位名称:Master of English Language Teaching (Professional))
- 専門職学位
- 日本語教育実践領域
- 専門職学位
- 日本語教育修士(専門職。英語による学位名称:Master of Japanese Language Teaching (Professional))
- 専門職学位
- 発信力実践領域
- 専門職学位
- 発信力実践修士(専門職。英語による学位名称:Master of Global Communication Practice (Professional))
- 専門職学位
教育
編集英語による授業
編集日本の学校教育法に基づく大学として、ほとんどの授業を英語で教授しているが[15][1][2]、一部の授業(第二外国語、日本語教授法、日本語教育等)は日本語で行われている。入学直後の第1セメスターでは必ず EAP (English for Academic Purposes) と呼ばれる学術英語を叩き込むプログラムに所属し、TOEFL (PBT) 500点と GPA2.5以上の条件を満たして EAPを修了しなければ、次の BE (Basic Education) と呼ばれる基盤教育の科目を履修できない[1]。
3年次での専攻選択
編集学生は学部一括で募集され、初めの2年間は幅広い教養科目を履修し、3年次の専攻申告 (Major Declaration) に向け自分の適性や関心を見極める[1]。専攻は「グローバル・ビジネス課程」、「グローバル・スタディズ課程」、「グローバルコネクティビティ課程」の中から選択し、これらの課程において社会科学と人文科学を主体とする学際諸分野を専攻する。
インターンシップ
編集学生生活
編集クラブ・サークル活動
編集国際教養大学では、2010年時点で29クラブ15サークル1特別団体が大学の公認で活動している[17]。語学サークル、問題意識を持って討論するサークル、ユネスコなどの主催するプロジェクトや国際会議に参加する学生も多い[1]。
スポーツ
編集軟式野球部は、2006年、2009年に東日本大学軟式野球選手権大会へ出場している。2009年は、秋田・青森両県で構成される奥羽地区の予選大会で初優勝した。
学内生活
編集入学後1年間は学内にある学生寮での生活が義務付けられており[1]、2年次以降は学内にある大学が管理するアパート(グローバルヴィレッジ、さくらヴィレッジ)への入居を抽選により決定している。図書館や[15][2]コンピューター室などは24時間利用可能としている[1]。なお、大学図書館は仙田満・環境デザイン研究所による設計。天井高12m、半径22mの半円ホールは「本のコロセウム」をテーマとしたデザインで、内装は秋田杉を多く利用している[1][18]。伝統技術を生かした傘型の梁、床、壁など美しい木材で作られた空間となっている[18]。蔵書数は70,478冊[19]、2013年10月には国際連合寄託図書館に認定された[20]。
施設
編集キャンパス
編集- 交通アクセス
- キャンパス内施設
- 大学図書館
- 正式名称は、中嶋記念図書館。大学図書館が24時間、365日利用可能。学外者は営業時間制限あり[22]。
対外関係
編集他大学との協定
編集国際教養大学は、県内においては「大学コンソーシアムあきた」と「秋田大学、秋田県立大学、秋田公立美術大学との大学協定に基づく連携活動」に参加している[23]。
また、「グローバル5大学交流協定に基づく交流活動」を国際基督教大学 (ICU) 、立命館アジア太平洋大学 (APU) 、早稲田大学国際教養学部、および上智大学と締結している[23]。
2023年、東北大学と包括連携協定を締結した[24]。同年11月29日には奈良先端科学技術大学院大学とも包括連携協定を締結した[25][26]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “こうやって変革した56 寮生活、留学を義務化 内定率100% 少人数教育 学長自ら「広告塔」に 国際教養大学”. 日本私立大学協会. 2019年1月22日閲覧。
- ^ a b c d 安田賢治 大学通信常務取締役 (2017年2月15日). “グローバル教育を受けた国際教養大生が日本の製造業を志す理由”. 週刊ダイヤモンド. 2019年1月22日閲覧。
- ^ 勝又美智雄 (2006年10月). “巻頭言:「グローバル人材」の需要と供給” (PDF). グローバル人材育成教育学会. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “理念 / 養成する人材像 / 国際教養とは…?”. 国際教養大学. 2012年11月5日閲覧。
- ^ a b “数字で見る国際教養大学”. 国際教養大学. 2014年8月20日閲覧。
- ^ 『大学ランキング 2007年版』朝日新聞社〈週刊朝日進学MOOK〉、2006年。ISBN 978-4022745064。
- ^ a b “国際教養大学長にカセム氏就任 スリランカ出身”. 河北新報. (2021年6月10日) 2021年6月11日閲覧。
- ^ “東アジア調査研究センター(CEAR)の開設式を行ないました”. 国際教養大学. 2012年11月5日閲覧。
- ^ a b “平成26年度スーパーグローバル大学等事業「スーパーグローバル大学創成支援」構想調書【タイプB】” (PDF). 日本学術振興会. p. 2. 2015年12月29日閲覧。
- ^ “国際教養大が初代学長・中嶋嶺雄氏の胸像設置”. 産経新聞. (2014年11月5日) 2016年2月22日閲覧。
- ^ “機構について | アジア地域研究連携機構”. web.aiu.ac.jp. 2018年5月3日閲覧。
- ^ 舘岡朋美「教養大 新宿舎が完成 老朽化で建て替え、来月入居」『秋田魁新報』2022年3月29日、23面。
- ^ a b ※記事名不明※『秋田魁新報』2009年3月24日29面
- ^ 2021年4月〜国際教養学部国際教養学科新カリキュラム「グローバル・ビジネス領域」「グローバル・スタディズ領域」「グローバル・コネクティビティ領域」https://web.aiu.ac.jp/undergraduate/curriculum2021/ 国際教養大学公式ホームページより引用。
- ^ a b “認証評価結果” (PDF). 大学評価・学位授与機構 (2009年3月). 2019年1月24日閲覧。
- ^ “インターンシップ”. 国際教養大学. 2012年11月5日閲覧。
- ^ “クラブ・サークル活動”. 国際教養大学. 2012年11月5日閲覧。
- ^ a b パイ インターナショナル『世界の美しい図書館』2014年12月11日。
- ^ 24時間365日開館の図書館
- ^ “教養大図書館、「国連寄託」に認定 国内14カ所目”. 秋田魁新報. (2013年10月11日) 2013年10月11日閲覧。
- ^ “「ネーミングライツ」教室登場 地方公立大の奇策に、企業が次々寄付”. ウィズニュース (2016年2月19日). 2019年1月22日閲覧。
- ^ “24時間365日開館の図書館”. 国際教養大学. 2021年7月13日閲覧。
- ^ a b “教育機関との連携”. 国際教養大学. 2014年8月20日閲覧。
- ^ 国際教養大学と包括連携協定を締結しました 東北大学(2023年3月24日)2023年4月16日閲覧
- ^ “奈良先端科学技術大学院大学と包括連携協定を締結しました”. 国際教養大学 (2023年12月4日). 2024年2月11日閲覧。
- ^ “公立大学法人国際教養大学と「連携・協力に関する包括的な協定」を締結”. 奈良先端科学技術大学院大学 (2023年12月1日). 2024年2月11日閲覧。