国民総所得(こくみんそうしょとく、Gross National Income)とは、略してGNIと呼び、1990年代半ば以前に経済活動の指標として使われていた国民総生産と、税制の計算上の適用有無の違いがあるものの、近い指標である。

概要

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日本の国民経済計算(国民所得統計)では、2000年に大幅な体系の変更が行われた際に統計の項目として新たに設けられた。現在経済指標として多く使われている国内総生産に「海外からの所得の純受取」を加えたものである。

国民総生産と国民総所得は、名目では一致するが、実質では若干の差がある。

これは、実質国民総所得では、実質国民総生産では考慮されていない、輸出入価格の変化によって生じる実質的な所得の増加分を「交易利得」として加えているためである。

GNIランキング(名目、アトラス法)

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世界銀行によるGNIランキングは次のとおり[1]

順位 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006
1   アメリカ合衆国 20,636,318   アメリカ合衆国 19,194,753   アメリカ合衆国 18,467,339   アメリカ合衆国 18,191,395   アメリカ合衆国 17,611,491   アメリカ合衆国 17,001,290   アメリカ合衆国 16,501,016   アメリカ合衆国 15,727,291   アメリカ合衆国 15,143,137   アメリカ合衆国 14,740,580   アメリカ合衆国 15,002,428   アメリカ合衆国 14,651,211   アメリカ合衆国 14,345,565
2   中国 13,181,373   中国 11,986,853   中国 11,323,973   中国 10,852,486   中国 10,096,966   中国 9,110,333   中国 7,934,721   中国 6,726,270   中国 5,752,320   中国 4,856,999   日本 4,835,553   日本 4,812,119   日本 4,931,413
3   日本 5,226,599   日本 4,877,472   日本 4,811,003   日本 4,937,690   日本 5,339,076   日本 5,899,905   日本 6,101,579   日本 5,775,633   日本 5,376,601   日本 4,797,984   中国 4,070,860   ドイツ 3,348,291   ドイツ 3,160,529
4   ドイツ 3,905,322   ドイツ 3,607,428   ドイツ 3,647,225   ドイツ 3,745,190   ドイツ 3,853,623   ドイツ 3,809,927   ドイツ 3,754,154   ドイツ 3,801,607   ドイツ 3,662,524   ドイツ 3,588,452   ドイツ 3,601,765   中国 3,283,519   中国 2,685,206
5   イギリス 2,777,406   イギリス 2,732,709   イギリス 2,819,943   イギリス 2,841,134   フランス 2,844,284   フランス 2,869,883   フランス 2,824,713   フランス 2,889,304   フランス 2,847,703   フランス 2,831,553   イギリス 2,904,224   イギリス 2,835,805   イギリス 2,645,489
6   フランス 2,752,035   フランス 2,562,863   フランス 2,606,856   フランス 2,735,458   イギリス 2,801,499   イギリス 2,695,974   イギリス 2,612,525   イギリス 2,542,593   イギリス 2,540,957   イギリス 2,666,939   フランス 2,800,864   フランス 2,576,642   フランス 2,414,820
7   インド 2,727,894   インド 2,443,419   インド 2,244,117   インド 2,097,599   ブラジル 2,429,720   ブラジル 2,486,874   ブラジル 2,432,061   イタリア 2,237,958   イタリア 2,234,508   イタリア 2,227,358   イタリア 2,222,143   イタリア 2,093,640   イタリア 1,989,288
8   イタリア 2,038,377   イタリア 1,897,505   イタリア 1,936,504   ブラジル 2,078,343   イタリア 2,147,247   イタリア 2,130,760   イタリア 2,143,583   ブラジル 2,207,921   ブラジル 1,916,260   ブラジル 1,572,431   スペイン 1,490,975   カナダ 1,356,017   スペイン 1,241,641
9   ブラジル 1,915,275   ブラジル 1,802,953   ブラジル 1,840,499   イタリア 2,002,706   インド 2,027,964   ロシア 1,981,791   インド 1,892,548   インド 1,755,712   インド 1,555,615   スペイン 1,519,339   カナダ 1,484,345   スペイン 1,353,031   カナダ 1,224,994
10   カナダ 1,665,565   カナダ 1,569,635   カナダ 1,584,575   ロシア 1,722,911   ロシア 1,930,634   インド 1,952,847   ロシア 1,823,299   カナダ 1,617,083   カナダ 1,511,465   カナダ 1,447,937   ブラジル 1,427,429   ブラジル 1,152,772   韓国 966,585
11   韓国 1,580,109   韓国 1,460,492   ロシア 1,439,804   韓国 1,699,138   カナダ 1,785,099   カナダ 1,848,274   カナダ 1,773,264   ロシア 1,547,010   スペイン 1,496,363   インド 1,392,779   ロシア 1,368,593   インド 1,117,463   インド 941,326
12   ロシア 1,501,659   ロシア 1,354,640   韓国 1,418,910   オーストラリア 1,440,832   オーストラリア 1,444,201   オーストラリア 1,514,269   スペイン 1,396,221   スペイン 1,455,758   ロシア 1,425,123   ロシア 1,318,495   インド 1,229,139   韓国 1,091,726   メキシコ 921,879
13   スペイン 1,370,437   オーストラリア 1,269,429   オーストラリア 1,309,759   韓国 1,390,080   スペイン 1,366,027   スペイン 1,376,929   オーストラリア 1,359,417   韓国 1,125,787   韓国 1,053,302   韓国 1,037,381   韓国 1,118,647   ロシア 1,079,991   ブラジル 898,063
14   オーストラリア 1,330,437   スペイン 1,259,979   スペイン 1,279,827   スペイン 1,320,407   韓国 1,365,797   韓国 1,298,958   韓国 1,232,164   オーストラリア 1,119,902   メキシコ 1,026,316   メキシコ 988,663   メキシコ 1,074,555   メキシコ 1,000,700   ロシア 830,146
15   メキシコ 1,159,049   メキシコ 1,113,705   メキシコ 1,159,686   メキシコ 1,238,951   メキシコ 1,237,533   メキシコ 1,202,800   メキシコ 1,167,292   メキシコ 1,068,140   オーストラリア 1,025,186   オーストラリア 954,754   オーストラリア 900,062   オランダ 809,106   オランダ 753,205

国民総所得 (GNI) が注目される背景

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2013年: アベノミクス

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1人当たり国民総所得を10年で150万円増やす、という目標が政府成長戦略のなかに盛り込まれている。世界経済においてボーダレス化の加速が見込まれ、日本からの外国への資本人材投資の増大も例外ではない。こうした投資収益国内総生産(GDP) には反映されないが、外国への投資で高い収益を確保できれば国民総所得に対しては貢献する。今後の日本が順調に成長するためには、拡大する海外市場での収益機会を最大限に活用することが求められ、戦略的な資本人材の投資が重要課題となる[2]

2006年: 経済産業省

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日本は2005年に総人口が減少をはじめているなど高齢化や人口減少が今後も進むことが見込まれる。このため、今後は労働力人口の減少から国内総生産をベースとした高い経済成長は難しい。こうした中でも対外資産から得られる利子や配当などの所得が増えることによって、国民総所得をベースとした経済成長が持続する。国民総生産に代わって国内総生産が経済政策の目標となってきたが、2006年に経済産業省産業構造審議会新成長政策部会がとりまとめた新経済成長戦略などで、国民総所得 (GNI) を重視すべきであるという提言が行われるようになっている。

脚注

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  1. ^ World Bank. “GNI, Atlas method”. data.worldbank.org. 2020年2月21日閲覧。
  2. ^ 今なぜ「GDP」ではなく「GNI」が日本経済にとって重要なのか?|2013年7月1日|伊藤元重 東京大学 (大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長)

関連項目

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