古畑任三郎のエピソード一覧

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古畑任三郎のエピソード一覧(ふるはたにんざぶろうのエピソードいちらん)ではテレビドラマ古畑任三郎』の各作品のエピソードについて解説する。

第1シーズン

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第1回死者からの伝言
1994年4月13日中森明菜星護14.4%第4回の後[注 1](1994年3月23日)
人気コミック作家・小石川ちなみ(中森明菜)は自分を弄んだ編集者・畑野茂(池田成志)を長野県にある別荘地下倉庫に閉じ込め窒息死させる。そこへ偶然、の中でガス欠になって立ち往生した古畑と今泉が訪れる。畑野の死体は、なぜか頭部に殴られた痕があり、紙とペンを持っていた。しかし、ペンは書ける状態であったにもかかわらず、紙には何も書かれていなかった。
TV放送の第1回。この事件は後に無罪判決となり、古畑と友人になる。この事件の話やその後の様子を後のエピソードで語る。小説版のタイトルは「ちなみの家」。
第2回動く死体
1994年4月20日堺正章河野圭太13.8%最初の事件[注 2](1994年2月)
車で老婆をひき殺してしまった歌舞伎役者・中村右近(堺正章)は、自首を勧める警備員・野崎(きたろう)を口論の末突き飛ばしてしまい、誤って死なせる。その日の演目終了後、右近は自分の楽屋に置いておいた野崎の死体を、すっぽんという昇降装置を使って歌舞伎座の舞台に運び、天井のすのこから転落したように見せかける偽装工作をした。右近は一度その場を去るが、その後なぜか楽屋に戻って茶漬けを食べるという謎の行動をとる。やがて野崎の遺体が発見され、警察が到着し現場検証が始まる中、右近は歌舞伎座内の自動販売機で飲み物を買ったが商品もお釣りも出てこずに立ち往生している古畑に出くわす。何が起こったのかと古畑に尋ねる右近は、野崎が舞台上で死んでいたと聞いた際、ある発言で口を滑らせる。それを聞き逃さなかった古畑は、右近自身や歌舞伎についての世間話をしつつ、右近を徐々に追い詰めていく。
時系列の第1回。犯人(中村右近)は2人殺害しているが、ひき逃げの件は明かされず後者を中心に取り上げる。田村は当初、ドラマの出演依頼に前向きではなかったが、この「動く死体」の脚本を気に入り、出演を了承したとの逸話が残っている[1]。小説版のタイトルは「六代目の犯罪」。古畑と右近が知り合うきっかけになった故障した自販機はユニマットライフ製だが、再放送やディスク版などではその部分にボカシがかかっていた。
第3回笑える死体
1994年4月27日古手川祐子河野圭太12.9%第4回の前(1994年3月16日)
精神科医・笹山アリ(古手川祐子)は、かつての交際相手・田代慎吾(羽場裕一)が別の女性と婚約したことを知り、殺意を抱く。アリは人を驚かせることが好きな田代の性格を利用して言葉巧みに彼を誘導し、ストッキングを被ってベランダから室内に侵入するよう仕向け、金属バットで撲殺。アリは自ら通報すると、田代を強盗と勘違いして殺してしまったと正当防衛を装った。しかし、ストッキングをかぶった奇妙な死体を見た古畑は、アリの証言と現場の状況が矛盾だらけであることに気づく。
本作、最初の撮影。解決編直前での古畑の視聴者への挑戦後にCMが入らずそのまま解決編に入る唯一の回。小説版のタイトルは「おめでとう、アリ先生」。
第4回殺しのファックス
1994年5月4日笑福亭鶴瓶星護12.4%第1回の前
推理小説家・幡随院大(笑福亭鶴瓶)は秘書との不倫の末、妻・フサ子(高柳葉子)を絞殺する。第三者による殺人に仕立てるために、FAXを利用して妻の誘拐を偽装する。しかし、古畑は前代未聞のFAXによる脅迫や、FAXが全て届く前に部屋を出ようとする幡随院の不自然な行動に疑問を持つ。その頃、幡随院の別荘では予めFAXに指定時刻に自動送信されるようにセットされた脅迫文が送信されていた。早々に古畑は今泉に幡随院の調査を命じ、既に犯人の目星がついていた事から、犯人からのFAX(実際は幡随院の策略による狂言)が来る幡随院の宿泊部屋でも余裕の面持ちで、パスタなどのルームサービスを食しながら捜査の動向を見守る。その後幡随院は、FAXで指定された時刻に二度遅れたが、その後のFAXでは一度目より大きく遅れた二度目の遅刻について何も触れていなかった事で、さらに幡随院の疑惑は深まる。身代金受渡し場所で警官を配置する際に、幡随院は自分の計画完了のために何故か今泉を現場の歩道橋の監視に指定する。そして、東京タワー前の身代金の指定場所にたどり着いた幡随院は、「歩道橋の上の黒いコートを着た男は刑事だ」という最後のFAXが送信された後、不敵な笑みを浮かべ勝利を確信するが、古畑は幡随院の指示の不自然さに気づき、今泉にある指示を与える。
古畑と今泉の上司である蟹丸義太夫警部(峰岸徹)が初登場。落語家・お笑いタレントの鶴瓶が犯人を演じることで、古畑との対決やリアクションにコミカルな雰囲気を出している。小説版のタイトルは、「幡随院大、走る」。
第5回汚れた王将
1994年5月11日坂東八十助
坂東三津五郎
河野圭太16.3%第8回の直前[注 3]
第1回より後[注 4]
将棋の町・山形県天童市の旅館では、将棋の「竜人戦」が行われていた。この勝負に自身の進退がかかっていた米沢八段(坂東八十助)は、自身に有利な状況を作り上げるため、封じ手に次の一手を記載せず封じた。これに気付いた立会人の大石(小林昭二)が、その晩米沢の部屋を訪れて不正の可能性を指摘する。封じ手を証人の前で開封すると言い放ち部屋を出ようとする大石を、米沢はとっさに灰皿で撲殺し事故死に見せかける。偶然、同じ旅館に宿泊していたために捜査を依頼された古畑は、大石のスーツが綺麗にベッド上に畳まれていたことに疑問を持ち、事故ではなく事件と見抜き、犯人は背広を着慣れていない人物だと目星を付ける。そんな中、地元警察の事情聴取に同席した古畑は、唯一和服を着こなしている米沢に目を付ける。翌日、大石への追悼として対局は続行された際、開封された封じ手には何も書いていないはずの次の一手が記載されていたが、端部に謎の印も記載されていた。古畑は米沢の疑いをさらに深めるも、決定的な証拠は見つからないでいた。だが対局中に、米沢がチャンスの場面でなぜか飛車成りをせず敗れた事に、古畑は米沢の犯行の確信を持ち始める。
犯人の姓は判明しているが名は明かされない。小説版未収録。犯人役の坂東三津五郎は当時はまだ「坂東八十助」名義。『王将』は田村正和の父・阪東妻三郎の主演映画の表題でもある。
第6回ピアノ・レッスン
1994年5月18日木の実ナナ松田秀知13.4%1994年4月15日
世界的作曲家・塩原一郎が亡くなり、音楽葬が行われることになった。追悼曲は塩原音楽学院学長の川合健(中丸新将)が演奏する予定だったが、塩原の教え子で愛人でもあった井口薫(木の実ナナ)は、塩原が築いた学院を金儲け主義で汚した川合が許せず、スタンガンを使って殺害する。タクシーで実況見分に訪れた古畑は、音楽祭で使用される予定のグランドピアノのDの弦が1つ切れている・身につけていた腕時計が死亡推定時間ちょうどに壊れている事に気づくと共に、井口が学院内で嫌われている評判を見聞きする事になり、井口に対する捜査を開始した。音楽葬本番、川合に代わって舞台に立った井口は、予定されていた「追悼のレクイエム」ではなく、なぜか「北京の冬」を演奏し、本番終了後に、スタッフが切れた弦を直していなかったと主張・激昂してみせる。その態度に不審を抱いた古畑は、グランドピアノにあった不自然な点をきっかけに、決定的な証拠を発見する。
古畑の魚肉ソーセージ好きが判明する。全シリーズ中で唯一、犯人が観念した後に、はっきりと涙を流すシーンがある。小説版のタイトルは「井口薫のレクイエム」。
第7回殺人リハーサル
1994年5月25日小林稔侍星護13.0%
ベテランの時代劇スターである大宮十四郎(小林稔侍)は、撮影所を閉鎖してスーパーマーケットを建設しようとする社長・城田春彦(長谷川初範)の殺害を計画。そして撮影所内での殺陣のリハーサルの際、最後の撮影だからと城田を誘い、真剣模擬刀の取り違えに見せかけて城田を斬殺する。警察の事情聴取に、大宮は刀を間違えたのは自分の過失であり、事故だと主張する。古畑は、これが計画的な殺人であると踏んで捜査を進めるが、小道具係の山本(梅津栄)が、自分が真剣と模擬刀を取り替えたと自白する。その後古畑はセットスタジオ内に落ちていた見学者の撮影した写真と現在のセットの違いに気づき、大宮を追い詰めていく。
小説版未収録。第4回に続いて蟹丸警部が登場し、メイクを施して記者会見に臨むという目立ちたがり屋の一面を見せる。
第8回殺人特急
1994年6月1日鹿賀丈史松田秀知16.6%振り返れば奴がいる』より後
第5回の直後
天真楼病院・外科部長の中川淳一(鹿賀丈史)は、自分の浮気を調べていた興信所の所長・宍戸隆(河原さぶ)を懐柔しようとするが失敗。宍戸のコーヒーに睡眠薬を仕込んで眠らせたのち、新幹線の座席で多量のカリウム注射し毒殺。証拠写真の入ったフィルムを奪い取ろうとしたが、それを後部座席のやくざ風の男(大河内浩)に見られてしまい、宍戸のコートごと持ち去った。たまたま同じ特急に乗り合わせていた古畑は、捜査のため医師の協力を呼びかけた際、中川が名乗り出なかったことで不審感を抱き始める。
全編通して、犯人と探偵役が同席する特急列車内で物語が進む、密室劇となっている。『振り返れば奴がいる』と世界観を共有している[注 5]。古畑の酢豚好きが判明する[注 6]。小説版のタイトルは「中川外科部長のコート」。
第9回殺人公開放送
1994年6月8日石黒賢星護14.8%
自称・超能力者の黒田清(石黒賢)は、チンピラ風の男・中島(岡部務)に超能力の種を仕掛けているところを目撃され、もみ合ったはずみで殴り殺してしまう。自身の超能力を検証する番組に出演した黒田は、科学者・神宮教授(山口崇)によりイカサマをことごとく見破られてしまいピンチに陥るが、突如奇妙な身震いを始めると、自分が殺した男のことを告げ、超能力で死体を発見したかのように偽装するという大博打を打つ。番組の観覧に今泉と訪れていた古畑は一部始終を目撃しており、黒田の行動や言動に不自然な点があった事から推理を始める。
小説版のタイトルは「黒田少年の憂鬱」また、小説版では、番組をテレビで見ていた古畑が、テレビ局に匿名で電話し、黒田の犯罪を指摘するという形となっている。ドラマでも黒田と古畑との絡みは少なく、初対面は解決編以降だった。
第10回矛盾だらけの死体
1994年6月15日小堺一機河野圭太15.2%第11回の直後(1994年4月18日)
参議院議員・鵜野忠邦(森山周一郎)の秘書・佐古水茂雄(小堺一機)は、鵜野の愛人・沢田マリ(泉本のり子)を揉み合いの末、突き飛ばしてしまう。鵜野に始末を命じられ、意識の無いマリに睡眠薬を飲ませ殺害し自殺に見せかけるが、スキャンダルを恐れた鵜野にしばらく姿をくらますように命令される。ゆくゆくは鵜野の後継者となるつもりでいた佐古水は、逆上して鵜野を殴打してしまい、別れ話のもつれでマリが鵜野を殴った後に自殺したように工作する。しかし、鵜野は一命を取り留めていた。
コメディアン・小堺一機が犯人役ということもあり、コメディ要素を含んだ回。小説版のタイトルは「迫坪秘書の長い夜」また、犯人「佐古水茂雄」と被害者「鵜野忠邦」は小説版では名前が異なる。
第11回さよなら、DJ
1994年6月22日桃井かおり松田秀知15.1%ラヂオの時間』より後
第10回の直前(1994年4月17日)
ラジオ番組の人気DJ・中浦たか子(桃井かおり)は、出演しているラジオ番組の生放送中に、「サン・トワ・マミー」が流れているわずかな時間を利用してスタジオブースを抜け出し、建物外への最短ルートを駆け抜け、恋人を奪った付き人の沢村エリ子(八木小織)を隠し持っていたスパナで殺害する。何食わぬ顔でスタジオに戻ったたか子は、普段通りに生放送を続けようとするが、疲労と動揺を抑えきれず手が激しく揺れたため、貴重なレコードに針を落とす役をアシスタントに任せる。中浦に脅迫文が届いていた一件[注 7]で彼女を訪ねた古畑は、成り行き上彼女の様子を見守っていたが、その不自然な様子に気づき、中浦を疑い始める。古畑は今泉を酷使して予想ルートを走らせる実験を繰り返すもトリックを崩せずにいたが、30年スタジオに勤務している清掃員の老女(川上夏代)にヒントを得て中浦の犯行ルートを割り出す。そこに朝刊が届けられ、それを見た古畑は決定的な証拠を発見する。
赤い洗面器の男」の話が初めて登場する。中浦がラジオブースに犯行立証にやってきた古畑に動揺し、結末まで話せなかった事から、以後も何かとアクシデントが起こり、結末を聞くことができないという定番の流れに繋がっている。また『ラヂオの時間』と世界観を共有。小説版のタイトルは「さよならおたかさん」。
第12回最後のあいさつ
1994年6月29日菅原文太松田秀知12.3%
警視庁のベテラン刑事である小暮音次郎警視(菅原文太)は、孫娘を殺されたが裁判で無罪になったチンピラの生原治(鈴木隆仁)を報復で射殺する。この時小暮は大麻取引の張り込み中で、それを逆手に取ってアリバイを確保していた。殺人事件の担当になった古畑はそのアリバイに疑問を持つが、小暮に隠れて張り込んでいた後輩刑事・広瀬(中原潤)によって、犯行時に小暮がホテルで張り込んでいたのが立証される。
小説版のタイトルは「木暮警部最後の事件」また、「暮は警視だが小説版では警部、また名字が小説版では「暮」。桑原万太郎が初登場。解決編前の古畑のトークで唯一顔出しで他者が絡む、セリフは「誰と話してんだよ~」と「納得できねぇな〜」の二言。第8回・車掌役[2]梶原善がホテルクラークとして2回目のゲスト出演をしている。なお本放送では首相指名選挙社会党村山富市が選出された速報を挿入したため15分ほど放送が中断された[3]

スペシャル 1

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第13回笑うカンガルー
1995年4月12日陣内孝則
水野真紀
松田秀知18.8%
数学者・二本松晋(陣内孝則)は野田茂男(田口浩正)とのコンビで数学の権威ある賞を受賞するが、実際には二本松は外部へのスポークスマン役であり、功績の大半は野田によるものだった。授賞式の行われるオーストラリアのホテルで、二本松は密かに愛し合っている野田の妻・ひかる(水野真紀)に呼び出された。そこにはひかるに突き飛ばされて頭を打った野田が倒れており、死んでいると思い込んだ二本松は偽装工作を行い、缶詰の懸賞でオーストラリア旅行を引き当て、たまたま同じホテルに居合わせた古畑と今泉を巻き込んでアリバイ工作を図る。ところが野田の部屋に扇子を忘れていた事に気づき、あわてて現場に戻ってみると、驚いたことに野田は蘇生して自分の部屋へと戻っていた。しかも数学界永年の謎「ファルコンの定理」を解明したと言い出し、壁に数式を書き続けていた。二本松は数式が確かであることを悟ると、発作的に手柄を横取りしようとその場にあった灰皿で野田を撲殺、あらためて事故死に偽装するが、その最中に足を負傷してしまう。そこへ三方向から女性のホテルスタッフが通りかかり絶体絶命となるが、野田の衣服を着用し、ホテル内のプールを泳いで横断する事で難を逃れた。翌朝の事件発覚後、古畑に疑われていることに気付いた二本松は、凶器の灰皿をひかるの部屋のものとすり替え、全ての罪を彼女になすり付けようとする。古畑は二本松が殺害したと確信するが、ひかるは二本松を庇う言動をするなど、決定的な物証が見つからず捜査が難航する。しかし、古畑は自室と野田の部屋の寝室との違いに気づき、そこに事件の証拠を発見する。さらに世界的数学者であるバンピラピカル教授(KELLY LAM)から、ファルコンの定理は事件の1週間前に既に解読されており、世界中の数学者に検算依頼の手紙が送付されていた事を聞き出した古畑は、二本松の犯行を確信する。野田は手紙を読んだ後に頭を打ったため、記憶の一部を失い、手紙で読んだアイデアを自分で思いついたと錯覚したものであった。一方でスポークスマンに過ぎないと数学界でも見透かされていた二本松の元には検算依頼がなく、数学界の話題から置き去りにされていた。
初の2時間スペシャル。初めて海外が舞台となり、オーストラリアケアンズ近郊のポートダグラスにある高級リゾートホテル、シェラトン・ミラージュ・ポートダグラス(スターウッド・ホテル&リゾート系)で撮影が行われた。解決前に画面が暗転しない[注 8]。メインゲストは陣内孝則だが、OPでは水野真紀も同格でクレジットされている。野田ひかる(水野真紀)は生存している犯人にもかかわらず古畑の慈悲により見逃されて、誰にも逮捕されず罪に問われなかった唯一の人物である。この事は第25回で詳細に描かれている。「ファルコンの定理」が初登場する。また通常ではスタッフロール終了と共に本編は終了しCMに移るが、今作では帰りの飛行機内での一幕が追加されている。

第2シーズン

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第14回しゃべりすぎた男
1996年1月10日明石家さんま河野圭太25.4%第1回より後で第17回の直前(1996年1月10日)
敏腕弁護士・小清水潔(明石家さんま)は、別の相手との政略結婚が決まり、邪魔になった恋人・向井ひな子(秋本奈緒美)を部屋にあったガラスの水差しで撲殺。犯行直後、ひな子の部屋を訪れた今泉にその罪を擦り付ける。逮捕された今泉は、真犯人とも知らず大学時代の同級生だった小清水に弁護を依頼するが、小清水は罪を軽くするためだとして、傷害致死を認めるよう勧める。しかし、小清水の発言に不審を抱いていた古畑は法廷記録を読み返し、決定的な証拠を発見する。
25分拡大版で放送。レギュラー放送では唯一の90分枠での放送。芳賀刑事が初登場。中丸新将が第6回の被害者川合役に続き、検察官役で2回目のゲスト出演を果たしている。さんまは後に自身の演じた役柄について、当初は特徴のある濁声からロックアーティストの案が提示されたが、さんまの「古畑との台詞対決にしたい」という希望から、法廷闘争ものとなったと話している[4]。本放送当時などでは、フジテレビや系列局を含め90分枠の再放送枠を確保し再放送されていたが、フジテレビにおいて2時間のドラマ再放送枠が確保されなくなった2010年代以降では、前後編の分割形式で再放送されている。追悼時のアンコール再放送でも同様の形式で再放送された[5]
第15回笑わない女
1996年1月17日沢口靖子松田秀知20.8%
プライオリ女子学院の教師・宇佐美ヨリエ(沢口靖子)は学院の戒律を守ることに徹底していた。ある日宇佐美は学園の中でも自分と全く正反対の自由奔放な教師・阿部哲也(相島一之)を殺害し、事故死を偽装する。捜査に訪れた古畑は、阿部の部屋に残された様々な状況や、学院の厳しい戒律を守っていたのが宇佐美だけであることから、彼女を犯人とにらむが、彼女が阿部を殺す動機が分からない。
アメリカの俳優スティーヴン・セガールの娘である藤谷文子が女生徒役で登場する。
第16回ゲームの達人
1996年1月24日草刈正雄河野圭太22.7%
医師・乾研一郎(草刈正雄)は推理作家・花見禄助(藤村俊二)の往診に訪れていた。そこで花見から妻・常子(一色彩子)が浮気をしていると相談を受ける。乾は狂言自殺をして妻の愛を確かめようと持ちかけるが、実は乾こそが浮気の相手だった。乾はその狂言自殺を利用して、花見だけでなく常子をも殺害し、無理心中に見せかける。
初の連続殺人。会話場面に花見の執筆した「やっぱり猫が死ぬ」という小説本が登場する。三谷が脚本を担当した「やっぱり猫が好き」のセルフパロディ。
第17回赤か、青か
1996年1月31日木村拓哉松田秀知26.1%第14回の直後(1996年1月)
天神大学電気工学助手・林功夫(木村拓哉)は深夜、大学のすぐ側の遊園地に侵入し、観覧車時限爆弾を仕掛けた後、逃げ出すところを警備員・真鍋茂(金井大)に見咎められ、口封じのために撲殺する。翌日、真鍋殺しの捜査に古畑たちがやってくるが、そこに林からの脅迫電話が遊園地に掛かり、爆弾設置が発覚。ところが、設置場所の観覧車には運悪く今泉が乗っていた。
その身勝手な思想に怒りを抑えきれなくなった古畑が、唯一、犯人に手を上げる。ジャニーズ事務所による肖像権の管理から、CS再放送が出来ない回である[6]。しかし、地上波では再放送される場合がある[7][8]。2021年4月に田村が急逝した際には当該回も再放送の対象となり[5]、フジテレビ[9]だけでなくカンテレ[10]など地方局でも随時再放送された。2024年には長らくFODでは配信されなかったが、30周年記念の一環でTverとともに期間限定で配信されている。
第18回偽善の報酬
1996年2月7日加藤治子河野圭太26.6%
脚本家・佐々木高代(加藤治子)は、長年犬猿の仲だった妹・和子(絵沢萌子)を殺害し、強盗の犯行に見せかける。しかし現場に到着した古畑は、高代の稚拙な偽装工作を早々と見破り、高代の犯行だと断言する。古畑は警官を配置して証拠隠滅を防ぐとともに、今泉を高代のお手伝いとして彼女の家に住まわせ、凶器を探させるが、どこをいくら探しても凶器が見つからなかった。再び高代の自宅を訪れた古畑は、冷蔵庫の中のあらゆる物が高代の本名である久子の「H」と和子の「K」に分けられている事を発見し、姉妹の決定的な不仲に気付く。そして古畑が辿りついた、凶器の正体とは……。
犯行シーンは存在するが、凶器が解決編まで明かされない。ドラマのベテラン脚本家という設定上、吉永小百合(高代へのお見舞いの花の贈り主)・桃井かおり(電話の相手)など実在の女優の名前が複数登場する。
第19回VSクイズ王
1996年2月14日唐沢寿明松田秀知26.0%第13回より前か後かは若干曖昧(1996年1月9日)[注 9]
人気クイズ番組「クイズ王」のチャンピオン・千堂謙吉(唐沢寿明)は、番組スタッフから事前にキーワードの数字を教えてもらう不正で、自身のチームにキーワードに関する数字のネタ調査をさせる事で王座を守っていた。しかし週刊誌にそれを暴露された事で、スタッフは一変して数字の事前通知をやめる事を千堂に伝える。焦った千堂は自力で当日のキーワードを調べようと衣裳部屋に忍び込むが、衣装係の沼田(伊集院光)ともみ合いになり、転倒した沼田は衣装ケースに頭を強打して死亡する。部屋のすぐ外ではお笑いコンビがネタ合わせをしており、現場から逃走する手段のない千堂。その後、偶然にも「クイズ王」の解答者として出演しており、その場に居合わせた古畑らが通報を受け踏み込んだ事件現場には、なぜかくさやが散らかっており、何軒もの出前が来ていた。
犯人が密室状態の犯行現場からどうやって脱出したか、という点に重きを置いた回であり、古畑も解決編前の「視聴者への挑戦」でこの点に言及している。ファルコンの定理が再登場。池田貴族が11回ラジオ内での収録テープのゲスト役に続き、「クイズ王」のジャッジとして2回目のゲスト出演を果たしている。解決編では、古畑の推理が最後の決め手に欠けてしまい一度引いたその直後に、決定的な証拠となるヒントを発見するという稀有な回である。
第20回動機の鑑定
1996年2月21日澤村藤十郎河野圭太24.3%1996年2月
骨董商・春峯堂の主人(澤村藤十郎)は、美術館長・永井(角野卓造)と共に骨董品贋作で荒稼ぎをしていた。しかし陶芸家・川北百漢(夢路いとし)に贋作の「慶長の壺」を博物館に出展していたことを暴露されそうになり、彼を射殺。永井に物盗りが侵入したように偽装工作させ、川北が入手していた真作の慶長の壺を取り戻す。しかし、永井はその際に、金銭目的で川北の作品を数点盗んでしまう。その後、古畑の捜査の手が伸びると、怖気づいて自首を提案する永井。しかし、それを聞いた春峯堂は逆上、自殺に見せかけて永井をも殺害し、永井が川北の作品を盗んだことを利用して、川北殺害の罪をなすり付ける。
唯一犯人の実名が不明であり、第2回、第16回に次ぐ3例目となる2人殺害。拳銃による殺人では唯一リボルバーを使用。直接の描写はないが、小石川ちなみの結婚式会場から現場に来たという古畑の口から、ちなみの近況が語られる。藤十郎にとっては、現代劇初出演の作品である。
第21回魔術師の選択
1996年2月28日山城新伍松田秀知27.8%
引退したマジシャン・南大門昌男(山城新伍)は、弟子ながら悪名高いプレイボーイの倉田勝男(池田成志)と、同じく弟子でかわいがっていた毛利サキ(松たか子)が交際するのを快く思っていなかった。南大門はパーティーの席上で、テーブルに並べられた5本のオレンジジュースの瓶の1本に毒を入れ、倉田を殺害する。しかし、オレンジジュースを持ってくることを提案したのも、5本の瓶の中から毒入りのものを選んだのも倉田自身であった。毛利と動物病院で知り合い、パーティーの招待状を受け取り会場に訪れていた古畑らが事件現場に居合わせた事で、捜査を始めることになる。
同じ三谷作品『王様のレストラン』と世界観を共有[注 10]。池田成志がシリーズを通じて唯一、2度目の被害者役(第1回に続き)でゲスト出演を果たしている。第11回に続き再び赤い洗面器の男の話が出てくる。松たか子の民放地上波ドラマの初出演作である[11][12]
第22回間違われた男
間違えられた男
1996年3月6日風間杜夫河野圭太26.5%第16回より前か後かは若干曖昧(1996年2月20日)
雑誌編集者・若林仁(風間杜夫)は高尾山中の山荘で妻の不倫相手の男(清水昭博)を射殺する。しかし、現場から去る際に車のタイヤがパンクしてしまい、ヒッチハイクをして鴨田巌(小野武彦)という男の車に乗せてもらう[注 11]。若林は、自分とここで会ったことは誰にも言わないようにと鴨田を口止めするが、鴨田は若林が有名な雑誌編集者だと気付くと、その多弁な性格のために口を滑らせ、家族への留守番電話で早々にこのことを話してしまう。犯行が露呈するのを恐れた若林は、鴨田に車を止めさせ、その場にあった石で殴り殺害する。そして、鴨田が残した留守電メッセージを消そうと、若林は鴨田の家に侵入するが、その時、家のインターホンが鳴り、そこには古畑が立っていた。
第2回同様に犯人は2人殺害しているが、最初の犯罪は明かされずに終わる。コメディー的要素が強い。なお、この回ではサザエさん(火曜日版)の映像が流れる場面があり、これが事件解決のヒントとなっているためカットすることもできないことから、権利上の都合によりCSでは再放送されない[13]。ただしフジテレビ本体では、著作権・肖像権共に問題がないため再放送される[14]。また30周年記念の再放送(2024年6月7日放送)では放送内で運転中の携帯電話使用のシーンがあったためエンドロール後のテロップの下に当時の本放送年月と「運転中の携帯電話の使用は法律で禁止されています。」という注意テロップが追加されている[15]
第23回ニューヨークでの出来事
1996年3月13日鈴木保奈美河野圭太26.9%
福引きでニューヨーク旅行を引き当てた古畑はニューヨークに向かうバスの中で、のり子・ケンドール(鈴木保奈美)という日本出身の女性と出会う。古畑が警察官だと聞き、目的地までの時間つぶしのため、のり子は「友達の起こした事件」と称し、既に裁判で無罪判決を受けている、自身の「完全犯罪」について語り始め、古畑はその殺害方法の推理に挑む。
既に犯人の無罪が確定している。事件風景がない完全な安楽椅子探偵方式。アメリカでの海外ロケを敢行しているが、高速バス内での会話劇が中心となるため、アメリカでの撮影だとわかる場面は、休憩場所で停車したバス内とカフェでの場面、ラストのニューヨークでの停留所での別れのシーンのみである。また、解決編終了後と最後のスタッフロールカットに9/11テロによって崩壊する以前の「ワールドトレードセンター」が映っている。

スペシャル 2

編集
通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第24回しばしのお別れ
1996年3月27日山口智子河野圭太34.4%[16]1996年3月27日
前衛華道家・二葉鳳翆(山口智子)は、師匠である二葉鳳水(長内美那子)の華道二葉流から独立し、踊り(タンゴ)と生け花をミックスしたフラワーアレンジメントスクールを創設する。しかし鳳翆に愛憎入り混じった感情を抱く鳳水のいやがらせで、スクールは存続が危ぶまれる状況に陥っていた。怒った鳳翆はスクールの発表会を利用し、招待した鳳水を看護師時代に培った技術を活用して病死に見せかけジキタリスを打って毒殺する。今泉が双葉鳳翆のスクールに通っており、古畑が発表会に観劇に訪れていた事から、捜査を開始する事になる。
古畑任三郎史上最高の視聴率を記録(34.4%)[16][17]。90分スペシャル[16]。『王様のレストラン』と世界観を共有。山口は、前年に結婚した唐沢寿明(第19回の犯人役)と夫婦揃って犯人役でシリーズ出演を果たしたこととなった。山口が劇中で披露したフラメンコは、放送当時に実際に山口が趣味としていた[17]2022年4月14日テレビドラマやんごとなき一族』の代替番組として再放送された[注 12][注 13]

総集編

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通算回エピソードタイトル初回放送日 演出視聴率時系列
第25回消えた古畑任三郎
1996年4月9日河野圭太22.6%第1回から第24回よりも後
古畑が突如姿を消した。今泉、桑原、向島たちはそれぞれに、動揺し困惑し思いを馳せて泣いたりと大わらわ。芳賀は過去に古畑が担当した事件が関わっているのではないかと考え、古畑に逮捕され服役中の犯人たちに面会。彼らの口から、古畑任三郎という男の数々のエピソードが語られ始めた。
全エピソードを通し唯一、古畑が登場しない回(過去の回想シーンにのみ登場)。第1回から第24回までの全員が出演(犯人役の人物は服役囚として、未遂や無罪になった人物は自宅で知人として、第12回で登場した小暮警視役の菅原文太は音声のみ)。第19回での「クイズ大好き主婦」堀部靖子(斉藤清子)も古畑の人柄について街で聞かれる形で出演。第11回、第21回に続き赤い洗面器の男の話が犯人の口から話題に出る。そして今泉が語った言葉から放送終了間際、第1回にまつわるある衝撃的な事実が判明する。随時、芳賀のナレーションで番組が進行してゆく。肖像権や放送権利上の都合がある第17回、第22回が使用される為、CS再放送が出来ない回。

スペシャル 3

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第26回古畑任三郎 VS SMAP
1999年1月3日中居正広
木村拓哉
稲垣吾郎
草彅剛
香取慎吾
鈴木雅之32.3%第27回、第29回より後(1999年2月10日)
超人気アイドルグループ・SMAPのメンバーは、同じ施設の出身。メンバーの草彅剛の唯一の肉親である伯父は、他の4人にとっても親代わりのような存在だったが、その伯父は過去に起こした交通事故及び危険な仕事の件で、富樫明男(宇梶剛士)という男に恐喝され、自殺に追い込まれていた。それをネタに草彅までをも強請ろうとする富樫に他のメンバーである中居、木村、稲垣、香取は怒りを爆発させる。コンサートの晩、コンサートホールのスタッフという名目で富樫を招き入れたSMAPは、富樫を自殺に見せかけ絞殺した。メンバー達の連携により、その殺人は完全犯罪になるかと思われたが、捜査を担当した古畑は事件の日に限って偶々SMAPのメンバーの間で不可解な行為が一度に多発したこと、富樫の上着のポケットに入っていたロープ領収書・不自然過ぎるほど明確なアリバイなどから何か怪しいと睨む。そして、後に全員のアリバイが無いことを突き止めるが、決定的な物証は中々見付からない。
放映時間・OP時間共に史上最長。OPクレジット人数・逮捕者数も共に史上最多。唯一、OPクレジットにSMAPと団体名が表示される。冒頭で三谷幸喜が解説し、その後のOPトークで唯一古畑以外の人物(今泉)が登場する。木村拓哉が第17回に続き唯一2回目の犯人役として出演。西園寺守が初登場。初めて犯人が実在の人物。宇梶剛士が第11回ラジオ局ディレクター役に続き2回目のゲスト出演、梶原善が第8回、第12回に続いて配送弁当屋役で3回目のゲスト出演を果たしている。なおこの回はジャニーズ事務所による肖像権の管理から再放送が不可能となっていたが、2006年10月9日の「ドラマレジェンドスペシャル」枠と、SMAPの解散を受けて編成された2016年12月17日の「土曜ワイド・SMAPグラフィティ」枠の計2回、再放送されていた。

スペシャル 4

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第27回黒岩博士の恐怖
1999年4月6日緒形拳鈴木雅之25.6%第26回より前[注 14]
死体の肛門に犯行声明のおみくじが詰め込まれているという、猟奇的な連続殺人事件が発生。どの殺人も巧妙に事故死や自然死を装っており、被害者の共通点も不明。手口・目的・犯人像のいずれも掴むことができず、捜査本部はお手上げ状態になる。そこで、警察犬訓練所に異動となっていた古畑が、芳賀刑事からの招致依頼により、芳賀刑事の部下であった西園寺刑事が駆けつけ、最初は前向きでなかったものの結果的に捜査に当たることになった。古畑はまず被害者の共通点探しから始め、どの被害者も監察医の黒岩健吾(緒形拳)が検案を担当していたことに目を付ける。

放送は第28回の1週間前だが単発。第3シーズンの時系列では第1回に相当する。花田が初登場(この時点では名前は付いていない)。第4回に続き酒井敏也がゲスト出演している。2008年10月9日に緒形拳の追悼特番として再放送[19][20]。古畑が訓練していた警察犬の名前は全て今まで逮捕した犯人の名前である(第4回、第11回、第20回、第24回参照)。古畑と黒岩の部下である春木(栗田貫一)の対面シーンでの会話で第19回のエピソードが出てくる。


古畑任三郎の誕生日が解決編のラストで判明。ジャンヌ・ダルクシュリーマンシャーロック・ホームズと同じということから1月6日と推測される。本編終了時のクレジット内で「警部補・古畑任三郎 サウンドトラック」の1曲目に収録された「主題(FURUHATA'S THEME)」が唯一フルサイズで放送された回である。

第3シーズン

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第28回若旦那の犯罪
1999年4月13日市川染五郎
松本幸四郎
河野圭太25.5%第33回より後
落語家の気楽家雅楽(市川染五郎)は人気も華もあり、多くの客を笑わせる腕もあるが、古典落語に対する知識が乏しく、新作を作る能力が無かった。そこで、古典落語に精通し、新作に定評があるが、人気や腕がなくいまだ二つ目の兄弟子・気楽家苦楽(モロ師岡)のネタ帳を盗み、自らが演じる。それに気付いた苦楽に責められると、苦楽の頸動脈を斬り殺害。雅楽は事前に落語家協会の真打昇進リストを盗み出しており、苦楽がリストに自分の名前がないことを知って将来を悲観して自殺したように見せかけた。しかし、苦楽の死体が煮干しを握りしめていることに気付いた古畑は、自殺に疑問を持つ。さらに、苦楽が死んだと兄弟弟子に聞かされたとき、雅楽はいつ死んだか聞き返さなかった。傍らにいた古畑はこれをきっかけに彼を追い詰めてゆく。
15分拡大放送。西園寺が今泉と同等のレギュラー化。解決編で事件に関与していない第三者[注 15]が同席していた稀有な回。雅楽の落語イベントのスタッフとして、第26回の「古畑任三郎VS SMAP」にも登場したコンサートスタッフが登場する。
第29回その男、多忙につき
忙しすぎる殺人者
1999年4月20日真田広之鈴木雅之24.5%第26回より前で第33回より後
メディアプランナー・由良一夫(真田広之)は、議員・岩田大介(佐渡稔)から、由良から受けた自身のスキャンダルへの対応アドバイスが失敗に終わった事で、新事業の融資から手を引くと言われ、ホテルの一室で自殺に見せかけて殺害する。朝早く事件に駆り出された古畑は、灰皿に残った燃えカスと撃ち抜かれたTVのチューナーに疑問を感じる。前の晩、被害者が何度もマッサージのサービスに間違い電話をしていたということで、その番号から本当にかけたかったのは由良の部屋ではないかと考える。しかし、由良は被害者と面識はなく、殺害された時間は秘書(磯野貴理子)とずっと電話で話していたと証言する。今泉がホテルの10周年記念イベントを開催しているとの言動が、古畑にとっての解決のヒントとなる。
全作品中で唯一エンディングクレジットが中央に表示された。古畑が犯行を証明するために使った図とホテルの照明が左右に配置されていたためである。佐渡稔は第9回のディレクター役に続き、二度目のゲスト出演となった。
第30回灰色の村
古畑、風邪をひく
1999年4月27日松村達雄
岡八郎
河野圭太22.1%第32回の直後(1999年4月)
出張から帰る途中、古畑は風邪をひき、療養のため長野県の雛美村にある旅館『雛形』へ立ち寄り一泊することになる。村には古畑達の他にも、日下部薫子(あめくみちこ)と言う女性が宿泊していたが、彼女は東京の村越デパートの営業責任者と偽り、村の地酒である「雛乃誉」を売り込むための費用と称して、多額の金(約1500万円)を騙し取っていた。その事実を知った村長の荒木嘉右衛門(松村達雄)は、薫子を呼びつけ、村人たちで取り囲み叱責するも、薫子が開き直ったため、激昂し日本刀で斬殺する。嘉右衛門を「お館様」と呼んで敬愛する村人達は、村役場助役の鵜飼(岡八郎)が中心となって、彼を守るため薫子が存在した痕跡を全て消そうと、村人全員にお達しを出していた。殺害前日の晩に偶然会った薫子に一目惚れしていた今泉が必死で彼女を捜索するが、薫子のアリバイを村中で聴取しても薫子の存在そのものが抹消されており、捜査は難航する。しかし今泉が薫子の剥がれた爪を保管していたことから矛盾を発見し、村民総出での犯罪隠蔽を疑い始め、捜査を開始することになる。
犯人役は松村達雄だが、OPでは岡八郎も同格にクレジットされている[注 16]。また、当時はまだ岡八ではなく岡八名義だった。あめくみちこが第11回中浦たか子のマネージャー役に続き2回目のゲスト出演。解決編前の視聴者への挑戦のラストカットで、当時田村が出演していたエーザイのCMのキャッチコピーである「スカイナーで早くよくなれ」(商品名は民放なので具体名は出さずに"薬飲んで"に変更)がネタとして使用されている。
第31回古畑、歯医者へ行く
アリバイの死角
1999年5月4日大地真央佐藤祐市26.0%
古畑は、友人(次回に登場する安斎亨)の紹介で歯科医・金森晴子(大地真央)の元を訪れ、歯痛の治療をしてもらおうと歯科クリニックの待合所で順番待ちをしていた。その時、診療室の治療を受けていたのは金森の元恋人・山村淳一(陰山泰)。彼は長く付き合っていた金森を捨て、こともあろうに、金森の元で働く歯科助手・瀬川エリ(伊藤裕子)に乗り換えたのだった。もう過去にはこだわっていない風を装いながら、金森は殺害計画を実行に移していく。そして、金森のクリニックから歩いて5分の場所にあるオフィスビルのトイレで、山村の射殺死体が発見された。金森の言動・金森の口から香るハッカの匂いなどから何かおかしいと感じた古畑は、金森を追い詰めていく。
唯一男装して犯行した回。第27回に続き花田が再登場。事件発生前の時点で古畑が、第26回の事件でSMAP(架空)を逮捕したのが自分である事を、金森晴子に明かしている。古畑が犯人(金森)のアリバイ工作に利用されていた事が判明する稀有な回。
第32回再会
古い友人に会う
1999年5月11日津川雅彦河野圭太27.8%第30回より前で第31回の直前
小説家の安斎亨(津川雅彦)は、若い妻・香織(三浦理恵子)が自分担当の雑誌編集者・斎藤秀樹(細川茂樹)と浮気しているのを知っていた。それに対して見て見ぬ振りをしている安斎は、以前古畑から預かったゴールデン・レトリバーの万五郎(第1シーズン第1話の犯人・小石川ちなみが飼っていた犬)に何かを躾け続けていた。ファックスによる招待状を受け取った古畑は、学生時代からの古い友人である安斎の別荘を訪れ歓待を受けるが、安斎も、香織も、古畑にFAXを送った覚えはないという。安斎に仕事場の離れに誘われ、ゲームに興じていた古畑は妻の香織と斎藤の不倫現場を目撃する。そして西園寺の推理から、安斎が妻を当日の夜に殺害するのではという疑念を抱き始め、安斎の殺害行為を事前に食い止めようと知恵を絞り始める。
この話は、企画当初は最終回に持ってくる予定の回であったことを解決編前のトークで古畑が明かしている。シリーズ中、唯一未遂で終わる。登場人物の年齢と、その同級生である古畑の生年月日から3rd seasonは2003年前後の出来事だと推測される。第1回で登場した小石川ちなみ(中森明菜)の愛犬まんごろうが再登場する[注 17]。第22回で登場した犯人、若林仁(風間杜夫)が編集長を務めていた文芸雑誌「月刊カドマツ」が登場する。なおCS放送の日本映画専門チャンネルは2023年3月までは放送していたが、2023年5月以降は権利上の都合により放送できなくなり[21][注 18]、30周年記念の再放送でもこの回は放送されなかった。
第33回絶対音感殺人事件
1999年5月18日市村正親佐藤祐市24.6%第28回より前で第29回よりも前
楽団・甲陽フィルハーモニーの人気有名指揮者である黒井川尚(市村正親)は、愛人のビオラ奏者・滝川ルミ(街田しおん)との別れ話のもつれから、灰皿でルミを殴り殺す。古畑とのやり取りで危険を感じた黒井川は、ルミに思いを寄せていたクラリネット奏者の石森(橋本さとし)に殺人の嫌疑を向けるように細工をする。しかし新曲アルバムの録音現場を訪れた古畑は、録音させているオーケストラの中に石森を加え、石森の左手薬指の怪我を聞き分けた黒井川の絶対音感を突破口にして、彼を追い詰めていく。
第31回に続き花田が再登場。更に第26回・第28回にも登場したステージスタッフが回想内で登場する。また捜査中、古畑が口ずさむ音が後のエピローグで明らかになる。
第34回哀しき完全犯罪
1999年5月25日田中美佐子河野圭太23.7%
囲碁の女流棋士・小田嶋さくら(田中美佐子)の夫は同じく棋士の佐吉(小日向文世)。さくらを口うるさく束縛し、妻としての立場に徹するよう望んだ佐吉が、彼女のテレビ出演まで止めさせようとしていたため、ある日さくらは、自宅で佐吉を懐中電灯で撲殺する。さくらは買い物から帰ってきたら佐吉が何者かによって殺されていたと警察に通報。西園寺は佐吉のトロフィーがなくなっていたことなどから、トロフィーを盗もうとした佐吉の熱狂的なファンによる仕業と断定。しかし古畑は几帳面で料理も得意なはずの佐吉が作ったという麻婆豆腐が美味しくないことに気づき、大雑把なさくらがアリバイ工作のために作ったのではないかと疑う。
この回の解決編前のトークは、視聴者から寄せたハガキの質問に回答するパターンになっている。
第35回頭でっかちの殺人
完全すぎた殺人
1999年6月1日福山雅治河野圭太26.2%1999年4月15日
事故により車椅子生活を送る化学者・堀井岳(福山雅治)は、研究所の同僚で学生時代からの親友・等々力(板尾創路)が堀井の元恋人・片桐恵(戸田菜穂)と婚約したことから等々力の殺害を決意する。彼は遠隔装置付きの爆弾で等々力を爆殺し、その容疑が恵に向くように仕組んだ。しかし、古畑は堀井の発言から彼が犯人であることを確信する。論理的で冷徹な堀井にてこずる古畑だが、堀井が唯一予測できなかった親友の行動が完全犯罪を解く手がかりとなる。
唯一爆弾を使い殺害した回[注 19]だが、その事故後の現場捜査の模様は触れていない。第8回に続き酢豚ネタが出てくる。
第36回追いつめられて
雲の中の死
1999年6月8日玉置浩二佐藤祐市23.8%
西洋美術研究家・臺修三(玉置浩二)は、妻・もえ子(もたいまさこ)とともに飛行機で日本へ向かっていた。妻に雑誌を取ってくるよう言われた臺は、旅先から付けてきた不倫相手の市川由美子(川合千春)に出会ってしまう。化粧室に強引に連れ込まれた臺は、妻にばれるのを恐れ2人が写ったプリクラを捨てさせようと絡み合ううちに、飛行機の揺れで、由美子の頭を角に打ち付け死なせてしまう。プリクラだらけのライムグリーンの化粧バッグを手に化粧室を出たところを少年(安達心平)に目撃された臺は、西園寺による乗客の犯人捜しに肝を冷やすが、グレムリンを見たと妄言を吐く今泉に副機長と間違われたことを悪用し、幾度となく難を逃れながら成田到着を待つ。
全編飛行機内(のセット)でのシーン。死因は事故。花田の双子の兄が初登場。なお古畑が事件に全く参加しない。またOPと解決編前のトークでは第34回に続き、視聴者から寄せたハガキの質問に回答するパターンになっている。
第37回最も危険なゲーム・前編
最後の事件
1999年6月15日江口洋介河野圭太23.2%
深夜の街。何者かに追われている男・牟田(小原雅人)は、公園に逃げ込んだところを、スーツを着た男・山本(山崎一)に拳銃で射殺される。牟田は動物愛護団体SAZ (Save Animals of Zoo) のメンバーで、団体がテロ活動を行っていたことを明らかにしようと密かに証拠が記された手帳を持ち出していたため殺された。SAZの雇われリーダー・日下光司(江口洋介)は、牟田が手帳の入ったバッグを電車の中に置き忘れていたことを知り、偽のトレインジャック事件を起こそうと計画する。その計画とは、ジャック事件の身代金を遺失物保管所にあったバッグに入れさせ、バッグを取り返す、というものだった。計画は順調に進み、成功するかのように思われたが、私用で鉄道会社に来ていた古畑によって次第に計画の矛盾点が指摘されていく。焦った日下は自らも公安部を名乗り、古畑と駅の管理センター局長・武藤田(佐々木功)とともに、身代金の受け渡し場所に向かうことになる。
唯一の前後編エピソード。OPトークで今までのエピソードの犯人全員の写真が背景として飾られている。殺人は発生しているが、メインの事件に直接の繋がりはない。山崎一が第7回・大宮十四郎のマネージャー役に続いて2回目のゲスト出演。ED後に解決編前トーク式で古畑が次週に続くセリフを喋りこの回は終了する。
第38回最も危険なゲーム・後編
最後の事件
1999年6月22日江口洋介河野圭太28.3%
第37回の後編。第37回前編と同様にOPトークで今までのエピソードの犯人全員の写真が背景として飾られている[注 20]。。第33回に続き花田再登場。第11回、第21回、第25回に続き赤い洗面器の男の話が出てくる。また解決編前のトークについては古畑任三郎#シリーズ構成の放送項を参照。

スペシャル 5

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率時系列
第39回すべて閣下の仕業
2004年1月3日松本幸四郎
松本白鸚
河野圭太20.0%
中南米某国の特命全権大使・黛竹千代(松本幸四郎)は現地企業との癒着を暴露するという参事官・川北健(及川光博)を撲殺し、反日団体の誘拐事件に見せかけようとする。翌日、休暇中にパスポートを紛失した古畑が大使館を訪れ、成り行き上滞在することになった。川北を誘拐したという手紙を見た古畑は、手紙の内容の不自然さとそれに対する反応から黛に目をつける。追い詰められた黛は古畑の追及から逃れるべく偽装工作を行い、大使館内を警察に捜索してもらおうと自ら申し出た。そして彼の目論見通り、現地人職員の部屋から証拠品が押収されるが…。
唯一、犯人が自殺。古畑の判断ミスにより犯人の拘束に失敗した希有なケースであったことが第40回での今泉の発言によって語られる。全エピソードを通し、今泉や西園寺が唯一登場しない回[注 21]。第32回で犯人(安斎亨)役を演じた津川雅彦が別の役で登場している。第38回に続き花田が最後の再登場、更に赤い洗面器の男の話がスペイン語で出てくる、放映された物ではこれが最後の話となる[注 22]。古畑と大使達の食事シーンで第27回のエピソードが出てくる。DVDのみ冒頭で三谷幸喜が作品解説。シリーズ初のハイビジョン製作[注 23]。この放送回から、オープニングカット中に田村とゲスト犯人役のモノクロ写真のカットが使用されるようにリニューアルされた。再放送は地上波では一度も行われていないが、日本映画専門チャンネルでは、古畑任三郎シリーズの放送が行われる度に不定期で放送されている。[24]

ファイナル

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率
第40回今、甦る死
2006年1月3日藤原竜也
石坂浩二
河野圭太21.5%
堀部パンの社長である伍平がクマに襲われて死に、甥に当たる大吉(千葉哲也)が社長に、その弟である音弥(藤原竜也)が副社長に昇格することになった。大吉は社長に就任すると同時に工場の裏山を売却してレジャーランドにする計画を始動、リゾート開発に否定的だった音弥と対立する。そんな中、音弥は郷土資料館で館長の天馬恭介(石坂浩二)を手伝っているうちに1冊のノートを発見する。それは、彼自身が小学生時代に推理小説に熱中していた頃に書いた「人の殺し方」がびっしり綴られている自由研究のノートだった。音弥は、その中から選び出したいくつかのトリックを使って大吉を殺害する。捜査に訪れた古畑は早々に音弥の犯行と看破するが、その音弥は猟銃の暴発事故により命を落とす。事件は犯人の自殺によって幕を閉じたかに思われたが…。
真犯人が終盤まで伏せられており、解決編前の古畑のトークによって初めて明かされる。倒叙を逆手に取った叙述トリックが使用されていた。第30回同様にOPでは石坂・藤原2人がクレジットされている。犯人が複数いる回で犯人の1人が死亡となり、犯人が加害者にも被害者にもなる唯一の回でもある。古畑が真犯人の犯行を遂に立証できなかった事件であるが、この事件以外のある理由で真犯人の逮捕という結末を迎える。エンディングクレジットの書体が初めてそれまでの横長石井ゴシック調から角ゴシックへ変更された。フジテレビでは2008年6月6日の金曜プレステージ枠にて、「古畑中学生」の放送に伴う番宣の一環で再放送[25]、2010年に「土曜スペシャル」枠で計2回再放送されている[26]。日本映画専門チャンネルでは、不定期に放送の実績がある[27][28]。追悼時のアンコール再放送では3部構成で分割放送した。
第41回フェアな殺人者
2006年1月4日イチロー河野圭太27.0%[31]
警察を退職してから「バリトンホテル」の警備員として働いている向島を激励しにホテルを訪れた古畑と今泉、西園寺の前に、帰国中のメジャーリーガー・イチローが現れる[注 24]。実は向島はイチローの異母兄だったのだ。その夜、前々から向島を脅迫していたフリーライターの郡山繁(今井朋彦)がホテルを訪れる。郡山の所業に堪忍袋の緒が切れたイチローは、郡山を刺殺して自分も死のうと考えていた向島から自殺用の毒物であるストリキニーネを取り上げ、それを使って郡山自身に選ばせ服毒死させた。捜査担当となり再び「バリトンホテル」を訪れた古畑は助手席にわざわざ残しておいたかのような火が付かないマッチの箱からイチローを事情聴取。会ったことも現場に居たこともあっさり認めるイチローに、嘘を嫌う清廉で強い意志を見た古畑は、大リーガーからの”完全試合の挑戦”を受けたとして、真っ向から状況証拠固めに徹し応戦してゆく。
イチローにとってセリフ付きの本格的な演技は本作が初であった。犯人が実在の人物であるのは第26回のSMAPに続いて二度目で、ストーリーの流れも「vs SMAP」と酷似している。構想時の犯人の名前は「ハチロー」だったが、イチロー本人の希望によって実名である「イチロー」に変更されたという逸話が解決編前のトークで古畑の口から語られている。またEDクレジットで古畑(田村)以外、役名がないのもこの回のみ。肖像権の都合によりCSでは再放送されない回である[注 25]。ただし地上波では、フジテレビでは2008年6月13日の金曜プレステージにて、「古畑中学生」の放送に伴う番宣の一環での再放送[25]、2009年には金曜プレステージ枠で、イチローがメジャー新記録を達成した際の記念と題して[29]、また2011年に昼の時間帯の土曜スペシャル枠で計3回再放送され[30]、4回目の再放送は、2021年に逝去した主演の田村正和の追悼特番として、関東ローカル(フジテレビのみ)で2021年5月20日・21日の14時45分~15時45分の再放送枠で前編後編形式で放送された[31]
第42回ラスト・ダンス
2006年1月5日松嶋菜々子
(双子役の二役)
河野圭太29.6%[31]
大野もみじ・かえで(松嶋菜々子・1人2役)は一卵性双生児の脚本家。2人で協力し、「加賀美京子」というペンネームで何本ものヒット作を飛ばし続けていた。人気推理ドラマ「ブルガリ三四郎」もその1本。先ごろ最終回を迎えたこの番組の打ち上げパーティーには、ドラマの監修をしていた古畑も招待され、大盛況のうちに終わった。華やかなテレビ業界での成功のためには、不得手な部分を補い合う姉妹の長年の共同活動があっての成果だったが、方向性の違いから二人の仲は軋みだし、ついに自殺を装った殺人事件として、コンビ解消の形を迎える。古畑はドラマの監修をした縁で捜査を担当することになるが、その先には予想外の結末が待っていた。
唯一、同一人物が作中で1人2役を演じている。本作ではシリーズで初めて古畑の内面へと迫っている。全エピソードを通し唯一、真犯人だけでなく真の被害者も伏せられており、解決編で初めて明かされる。また、演出を手がけた河野圭太は後の三谷幸喜との対談の中で「哀しい女性に対する古畑の優しさ」などの趣旨の発言をしている。松金よね子(第16回の家政婦役)、近藤芳正(第19回のテレビ局製作スタッフ役に続き、同一人物の「海老沢」役)、小日向文世(第34回のプロ囲碁棋士役)の3人がいずれも2回目のゲスト出演をしている。また所々で過去のエピソードにまつわる話が出てくる。地上波では、フジテレビでは2008年6月14日の土曜プレミアムにて、「古畑中学生」の放送に伴う番宣の一環での再放送[25]と、2010年の土曜スペシャル枠との計2回再放送された[32]。また日本映画専門チャンネルでは不定期に放送実績がある[33]。2021年5月21日には急逝した田村正和の追悼特番として20時から21時58分まで再放送された[31]。ただしカンテレでは20時-20時6分まで報道ランナープラスを編成したため[34]、古畑が登場するオープニング部分をカットした上で、タイトルクレジットのみを表示した簡易オープニングのみで20時6分から飛び乗る形での放送となった[35]

古畑中学生

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)演出視聴率
第43回古畑中学生
古畑任三郎、生涯最初の事件
2008年6月14日原田泰造河野圭太13.3%
時は数十年前、中学生の古畑任三郎(山田涼介)はとある田舎にある杉の森中学校に転校する。古畑と座席が隣同士になった向島音吉(タモト清嵐)は担任から古畑の世話役を任される。これが縁となり二人は親友になる。他人に心を閉ざす古畑だったが理科の野々山先生(原田泰造)にだけは心を開いていた。ある日、園芸係の向島は森脇教頭(浅野和之)から学校の花壇荒らしの疑いをかけられるが、古畑は得意の洞察力でたちまち疑いを晴らす。それから古畑の噂が広まり、古畑と向島は村外れの小屋に探偵事務所を開こうとする。教頭に反対されたものの、野々山の説得により開業に成功し、その日から、毎日のようにさまざまな依頼を受けてゆく2人。その中で古畑は埋蔵金伝説の話を野々山から聞く。古畑は暗号を解き、埋蔵金のありかを突き止めるがそこに埋蔵金はなかった。後に、クラスメートである戸部明日香(福田麻由子)のストーカー撃退の依頼を受けた古畑は、今までの依頼の中で感じていた謎を一つに繋げる。なお、この事件は向島が過去の古畑との思い出を振り返っているというものである。また、冒頭では古畑も過去の思い出を振り返っている。
全体的に遊び要素として、シャーロック・ホームズシリーズから多数の引用がなされており、「バスカヴィル家の犬」「赤毛連盟」「マスグレーヴ家の儀式書」「美しき自転車乗り」などの作品名や、「不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」の台詞が出てくる。アヴァンタイトルからそのまま本編に移行した(オープニング、暗転も無かった)。倒叙を使わず、犯人が伏せられていた。田村正和はアヴァンのみ登場し、本編には登場しない[注 26]。その他の主要キャストも時代背景が違うので一切登場しない。浅野和之が第39回参事官役に続き2回目のゲスト出演をしている。またジャニーズ事務所による肖像権の管理から、CS再放送が果たされていない。

特別編(小説版)

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通算回エピソードタイトル初回放送日 犯人役(メインゲスト)
第44回一瞬の過ち
-三谷幸喜(本人希望のモデルは吉田鋼太郎
売れっ子作家の三谷は、ある出来事をキッカケに人気俳優の大泉妙を殺害したいと思うようになる。サイレンサー付きのピストルを自作した三谷は、映画の完成試写会が開かれる大泉と同じホテルに宿泊し、一人になった大泉を射殺する。数滴の返り血を浴びたものの、目撃者はなく完全犯罪が成立したと思われた。
警察の捜査が始まり、古畑に目を付けられた三谷は、用意していたアリバイを披露して追及を躱そうとする。ホテルの自室にまで付いてきて、血痕の付着したシャツを入れていた自分の鞄を漁ろうとする古畑に、三谷は体当たりして止める。古畑の鼻血をシャツで拭きとり、シャツの血痕を隠すことに成功する。しかし、古畑は「大泉妙さんを殺したのはあなたですね」と告げる。
第45回殺意の湯煙
-三谷
人気俳優のシャトー二朗は、三谷幸喜の作品に出演する時も脚本にはないアドリブのセリフを連発する。それを許せない三谷は、シャトーが愛用する温泉旅館をマネージャーから聞き出し、旅館へと向かいアドリブをやめるようシャトーに迫る。大浴場までシャトーに付きまとう三谷はシャトーの言葉にカッとなり、思わずシャトーを突き飛ばして死なせてしまった。
その場から無事立ち去った三谷であったが、翌日、捜査のために訪れた古畑がさっそく三谷に疑いをかける。古畑は三谷に、シャトーの手に握られていた奇妙なダイイングメッセージの存在を告げ、「しかし、引っかかっているのは、そこではないんです」と話す。

脚注

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注釈

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  1. ^ 既に「幡随院」の名が上がっているため。
  2. ^ 古畑と今泉が初対面する。
  3. ^ 古畑が「帰りの新幹線に乗り、酢豚弁当を食べる」セリフがあるため。
  4. ^ 小石川ちなみのコミックを所持しているため。
  5. ^ ただし、「振り返れば奴がいる」では中川の部下である平賀友一を今泉役の西村雅彦が演じていたが、中川が今泉と対面しても何も言及はなく話は進んでいく。 
  6. ^ 第5回でもその発言が確認されている。
  7. ^ 古畑は終盤でたか子本人が狂言脅迫を計画していた可能性も指摘しているが、実際の所はストーリー上では触れずに終わる。
  8. ^ 外ロケに加え、昼間の撮影のため。
  9. ^ スタッフが読んでいる「サンケイスポーツ」の日付より。「毎朝新聞」の日付は1996年2月14日。
  10. ^ このドラマでは松たか子の父松本白鸚(当時は松本幸四郎)が主演を務めた。
  11. ^ 鴨田が携帯電話で通話しながら運転するシーンがある。放送当時の1996年では違反ではなかったが、1999年に改正された道路交通法では違反行為となる。
  12. ^ この影響で23:09以降の番組が15分繰り下げられた。
  13. ^ 同日から放送開始予定であった『やんごとなき一族』が新型コロナウイルスが原因で制作スケジュールに影響が生じて、放送開始を1週間延期し繰り下げた為。[18]
  14. ^ 本編冒頭で、芳賀刑事が西園寺刑事に古畑の人となりを説明する部分があり、古畑と西園寺の初対面の部分が描かれているため。
  15. ^ 犯人・気楽家雅楽および被害者・気楽家苦楽の師匠・気楽家有楽(梅野泰靖)。
  16. ^ 村長の荒木の殺害隠蔽に加担した中心人物であるため(幇助の物理的幇助に該当)。
  17. ^ 小石川が渡米する為、安斎が引き取った
  18. ^ 一部では「出演者の不祥事による問題として放送されない」とニュースに対するコメントがあったが、この回に出演した細川茂樹自身はこの件を否定している[22]。また劇中ではカラオケで歌うシーンがある(西園寺が『卒業/斉藤由貴』を歌うシーンなど)が、これらの音源が著作権違反に抵触している可能性もニュースに対するコメント内で指摘されている。
  19. ^ 第17回の時限爆弾は、脅迫のデモンストレーションのみ。犯人は、警備員撲殺容疑での逮捕。
  20. ^ 30周年記念の再放送(2024年6月18日放送)では何故かSMAPだけが黒塗りされている[23]。この件は前編(2024年6月17日放送)も同様。
  21. ^ 但し今泉は、後付深夜番組「今泉慎太郎」には登場。なお時代背景から登場できない『古畑中学生』は除く。
  22. ^ 本当の最後の話は「すべて閣下の仕業」DVD特典映像での三谷幸喜の解説を参照
  23. ^ 放送当時の2004年1月は、まだ地上デジタル放送が一般開始される前(地上デジタル放送の開始は2006年10月1日)だったため、アナログサイズでの放送。
  24. ^ イチローが役者に挑戦したのは2001年に出演した『走れ!イチロー』(監督:大森一樹)以来だが、このときにはセリフが一切なかった。イチローはこの作品をノーミスで演じきり、撮影でNGを出さないことで知られていた田村をも感心させたという。
  25. ^ なお本放送時、冒頭に実際のメジャーリーグで活躍している映像をダイジェスト的に流してから本編が始まるが。地上波再放送ではその映像がカットされた形で放送されている。
  26. ^ 本作放送以降『古畑任三郎シリーズ』の続編は制作されないまま2021年4月3日に田村が死去したため、この『古畑中学生』の冒頭部分が名実共に田村演じる「古畑任三郎」の最後の登場シーンとなった。

出典

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  1. ^ 石原隆が語る 古畑任三郎ファイナル”. フジテレビモバイル公式サイト 古畑任三郎公式ページ. フジテレビ. 2021年2月8日閲覧。
  2. ^ クレジットでは役名は出てないが、作中に同僚から「山口さん」と声をかけられており、名前が山口だとわかる
  3. ^ 日本放送協会放送文化研究所放送情報調査部『NHK年鑑'95』日本放送出版協会、1995年、33頁。 
  4. ^ 「古畑任三郎」で田村正和と明石家さんまが一触即発 「しゃべりすぎた男」の裏話”. エキサイトニュース (2017年4月15日). 2021年2月8日閲覧。
  5. ^ a b 田村正和さん追悼「古畑任三郎 傑作選」7・5から再び 木村拓哉“伝説回”など10編 多くの要望受け”. スポニチアネックス (2021年6月29日). 2021年8月10日閲覧。
  6. ^ 古畑任三郎(第2シリーズ)#1-#5 ※#4は放送なし”. 日本映画専門チャンネル. 2020年10月15日閲覧。
  7. ^ 「チャンネルα ~古畑任三郎 第2シーズン 第4話 赤か、青か(再)~」2009年10月20日(火)放送内容”. 価格.com (2009年10月20日). 2020年10月15日閲覧。
  8. ^ 「古畑任三郎 傑作選 ~赤か、青か/若旦那の犯罪/再会~」2015年10月24日(土)放送内容”. 価格.com (2015年10月24日). 2020年10月15日閲覧。
  9. ^ 「古畑任三郎」木村拓哉へのビンタ炸裂伝説回にネットも興奮「ドラマ史に残る名シーン」”. iza! (2021年7月21日). 2021年8月10日閲覧。
  10. ^ 『古畑任三郎』3エピソード再放送決定!!”. カンテレ公式ホームページ. カンテレ (2021年7月20日). 2021年8月10日閲覧。
  11. ^ ドラマ|Profile”. 松たか子オフィシャルサイト. 2020年11月14日閲覧。 “1996年2月28日 CX『古畑任三郎』毛利サキ役”
  12. ^ 女性自身編集部 (2024年6月10日). “《今なら間違いなく犯人役な格》『古畑任三郎』で新人マジシャン演じた“大女優の民放デビュー作”に大反響”. 女性自身. 光文社. 2024年6月11日閲覧。 “松さんは94年放送のNHK大河ドラマ花の乱』でドラマデビューをはたしていますが、民放ドラマでは『古畑任三郎』がはじめての出演でした。”
  13. ^ 古畑任三郎(第2シリーズ)#6-#10 ※#9は放送なし”. 日本映画専門チャンネル. 2020年10月15日閲覧。
  14. ^ 「チャンネルα ~古畑任三郎 第2シーズン 第9話 間違えられた男(再)~」2009年10月22日(木)放送内容”. 価格.com (2009年10月22日). 2020年10月15日閲覧。
  15. ^ 『道交法』の「主な改正」の1999年を参照。現在では運転中の携帯電話使用は、保持・交通危険に応じて厳しい違反点数と懲役または罰金が科せられる(「ながら運転」も参照)。
  16. ^ a b c 1996年 年間高世帯視聴率番組30(関東地区)”. ビデオリサーチ. 2020年11月15日閲覧。
  17. ^ a b 古畑任三郎スペシャル しばしのお別れ”. 日本映画専門チャンネル. 2020年11月15日閲覧。
  18. ^ フジテレビ 木曜ドラマ「やんごとなき一族」初回放送の延期発表 コロナで制作スケジュールに影響”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年4月12日閲覧。
  19. ^ 「チャンネルα ~緒形拳さん追悼企画 古畑任三郎スペシャル(再) 黒岩博士の恐怖~」2008年10月9日放送内容”. 価格.com (2008年10月9日). 2021年3月28日閲覧。
  20. ^ 各局が緒形拳さん追悼番組、「古畑任三郎スペシャル」など放送へ。”. ナリナリドットコム (2008年10月8日). 2021年3月28日閲覧。
  21. ^ 古畑任三郎(第3シリーズ)#1-#4 ※#5は放送なし”. 日本映画専門チャンネル. 2023年4月26日閲覧。
  22. ^ 細川茂樹、ドラマ『古畑任三郎』の再放送NG回のうわさ否定 「適当な私見、憶測やめて」”. 中日スポーツ. 2024年6月7日閲覧。
  23. ^ フジ「古畑任三郎」再放送で“黒塗りSMAP”が物議 「なんで?」「おかしい」の声”. 東スポWEB. 2024年6月18日閲覧。
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  28. ^ 古畑任三郎ファイナル 今、甦る死”. 日本映画専門チャンネル. 2021年2月8日閲覧。
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  30. ^ 「土曜スペシャル ~古畑任三郎ファイナル フェアな殺人者~」2011年10月22日放送内容”. 価格.com. 2020年11月26日閲覧。
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