収益分析法(しゅうえきぶんせきほう)とは、不動産鑑定評価等において不動産新規賃料を求める手法の一つである[1]。本項目においては、基本的に不動産鑑定評価基準による。ここでは、次のとおり定義される。

一般の企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益[2]を求め、これに必要諸経費等を加算して賃料(収益賃料)を求める[3]

企業の用に供されている不動産に帰属する純収益を適切に求め得る場合に有効である。

この定義からも、ホテル舗等の不動産に有効であり、賃貸用不動産に適用すると循環論に陥るため適用が困難となる。さらに、不動産に帰属する純収益を適切に求めることの難易度等からも一般的に説得力が劣るため、積算法賃貸事例比較法に比べて重みは劣るものとされている[4]

収益純賃料

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収益還元法に準じて、総収益から総費用を控除して求める。なお、経営等帰属の純収益を控除する等して補正するという考えもある[5]

総収益

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売上高とされる。

総費用

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売上原価販売費及び一般管理費を合計して求める。

必要諸経費等

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出典、脚注

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  1. ^ 下記参考文献『賃料評価の理論と実務』によると、継続賃料を求めるにあたっての適用可能性を検討している不動産鑑定士がいるが、必ずしも広汎な動きとは言い難い。
  2. ^ これは収益純賃料と呼ばれ、減価償却後のものとされる。
  3. ^ 一般企業経営に基づく総収益を分析して、収益純賃料及び必要諸経費等を含む賃料相当額を収益賃料として直接求められる場合もある。
  4. ^ 『新・要説不動産鑑定評価基準』
  5. ^ 『賃料評価の理論と実務』

参考文献

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  • 監修日本不動産鑑定協会 編著 調査研究委員会鑑定評価理論研究会『新・要説不動産鑑定評価基準』 住宅新報社 2010年 ISBN 9784789232296 p.204 - 205* 新藤延昭『不動産鑑定評価の知識』住宅新報社、2007年、130-131頁。ISBN 9784789227544 
  • 賃料評価実務研究会 編『賃料評価の理論と実務』住宅新報社、2006年、125-129頁。ISBN 4789226727 

関係項目

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新規賃料を求める他の手法

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継続賃料を求める手法

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