被爆者健康手帳

1945年の原子爆弾投下により被爆した人に交付される手帳
原爆手帳から転送)

被爆者健康手帳(ひばくしゃけんこうてちょう)は、1945年(昭和20年)の原子爆弾投下により被爆した人に対して「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(通称「被爆者援護法」)に基づき交付される手帳。所定の要件を満たした者は、医療費などの支援を受けることが出来る。2023年7月3日、厚生労働省が明らかにしたところによれば、「被爆者健康手帳」を持つ人は3月末で11万3649人となり、前年より5286人減った。平均年齢は前年から0.48歳上がり、85.01歳[1]

申請の条件

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申請に必要な資格は次の通りである。広島市長崎市についてそれぞれ記す。

  1. 直接被爆者(原子爆弾投下の際、次の区域内にあった者)
  2. 入市被爆者(爆心地から概ね2km圏内に入った者)
  3. 死体の処理及び救護にあたった者等(救護施設などで10人以上(1日当たり)の被爆した方の救護や死体処理などに直接従事した者、または当時の市域を結ぶ線内の海上で被爆した者)
  4. 上記各項に該当する者の胎児(長崎にあっては昭和21年6月3日まで、広島にあっては昭和21年5月31日までに生まれた者)

なお、現在は市町村名や区域の変更されている場合がある。

申請の際には、

  • 被爆者健康手帳交付申請書
  • 申述書(兼誓約書)
  • 被爆証明書(第三者2名以上の証言)
  • 罹災証明書・在学証等公的機関が発行した証明書(証明書がある場合)
  • 被爆当時の家族の状況票
  • 理由書
  • 住民票
  • 戸籍抄本(胎児の場合)
  • 印鑑

が必要である。なお、第三者の証言については無くても申請可能である。

手帳取得によって得られる支援

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医療特別手当・特別手当・原子爆弾小頭症手当・健康管理手当・保険手当・介護手当(費用介護手当・家族介護手当)・葬祭料などの手当

また、指定医療機関・一般疾病医療機関での治療について、本手帳などを提示することで全額国費で、あるいは自己負担分を負担しないで受けることが出来る。また、なんらかの理由で手帳を提示しなかった場合についても、後日都道府県知事に払い戻しを請求することが出来る。ただし、自己の故意・過失などによって生じた病気・けが、放射線と関連のない疾病などについては給付を受けられないことがある。

被爆者健康手帳を巡る課題

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在外被爆者(戦時に広島、長崎で被爆し、後に帰国した韓国人および戦後海外移住した日本人、帰化した日系人)に対し、国籍を問わず被爆者健康手帳が交付されており、手帳保持者は平成26年3月時点で約4,400人とされている。

在外被爆者については、申請手続きや被爆当時の所在証明の困難の他、現地と日本国内における医療制度の相違などによる支援が受けにくさを補うため、現地での原爆症認定および健康診断受診者証の交付申請や、日本での治療および手帳交付のための渡日旅費の支給、現地での健康相談、現地での医療費助成、医師等の研修受け入れなどの支援措置が採られるようになった。

脚注

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  1. ^ 被爆者の平均年齢、85.01歳:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. 2023年7月4日閲覧。

外部リンク

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