クリーンアップ (アニメ制作)
アニメの制作工程におけるクリーンアップ(英: clean-up)は原画を作品用に清書する工程である[注 1][1][2][3][4]。クリンナップ[5]、原画トレスとも。
概要
編集クリーンアップは動画のサブ工程のひとつであり、原画の後工程である[6]。クリーンアップでは原画と作監修正をトレースし清書された線画を描く[2][4]。この線は完成したフィルムの中で視聴者が直接目にすることになる[1][3]。後工程は中割であり[7]、中割ではクリーンアップの出力(清書された原画)を基準として間のコマが描かれる。
古典的には原画と修正原画の上に新しい紙を敷いてトレースする。2010年代以降はデジタル作画が一般的になった。デジタルでは仕上の工程でゴミを取ったり線修正がいらなくなるので仕上マンは助かる[8]。
「クリーンアップ」は単に線を「きれいに」整えるわけではない。アニメーターは、通常は一人ではなくアニメーター集団であるが、原画・修正原画・絵コンテを参照して、あたかも1人のアーティストがフィルム全体を作成したかのように見せる。クリーンアップを担当するアーティストは、作画監督の意図に従い(通常「作画注意事項」「動画注意事項」として原画と一緒に上がってくる)、その演技と動作に忠実にトレースする。クリーンアップをするには正確な描線が必要で、動画検査の指示に応じて描き直したりもするため、通常、原画の2倍の時間がかかる[要出典]。
日本の一般的なスタジオでは新人動画マンが担当する。経験を積んだのち中割や原画にステップアップする人も多い。海外では完全な分業制のスタジオも多く、その場合はクリーンアップ専門の職人が担当する[要出典]。
原画トレス (素材)
編集アニメの素材における
原トレは清書された原画であり、この線がアニメ作品に直接表示される[1]。中割は原トレと原トレのあいだを割って描かれるつまり原トレを基準とするため、原トレの品質は動画全体の品質に直結する。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c "クリンナップとは、ラフな原画の線を、最終的に画面に映し出される状態である一本の綺麗な線に描き起こす作業。僕らが実際に、テレビや劇場で目にするキャラクターの線は、動画アニメーターが描いたものなのです。" スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ a b "原画でラフに描いた絵を、色が塗れるように清書(クリンナップ)する" CELSYS 2008, p. 14 より引用。
- ^ a b "原画マンが描いた線はある程度ラフなので、動画マンがきれいな線にクリンナップする。普通は原画マンの描いた線はそのまま画面に出ることはありません" コミックナタリー編集部. (2024).「ルックバック」アニメーター井上俊之が語る、“アニメ史に残る”制作スタイルの裏側. コミックナタリー.
- ^ a b "クリンナップ ラフで描かれている線を、綺麗な線に書き起こす事。" 以下より引用。SHIROBAKO製作委員会. 用語集. SHIROBAKO公式HP. 2024-10-20閲覧.
- ^ “クリンナップ”. OCA大阪デザイン&IT専門学校. 2023年3月1日閲覧。
- ^ "この例では、原画の段階で清書(クリンナップ)を済ませていますが、動画を作画するときにまとめて清書する方法が一般的です。... 動画の担当者は原画と修正原画をもとに清書を行います。" CELSYS 2008, p. 14 より引用。
- ^ "動画アニメーターは、原画の線をクリンナップし ... 中割 ... を行います。" スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ 神村 2020, p. 72
- ^ "完成トレス (原トレ)" NAFCA育成チーム 2024, p. 45 より引用。
参考文献
編集- スタジオジブリ「(6)―動画・動画検査―」『特集コラム「ゲド戦記はこうして生まれる」』2006年 。
- CELSYS『RETAS STUDIO でアニメを作ろう!』株式会社セルシス、2008年 。
- 神村, 幸子『増補改訂版 アニメーションの基礎知識大百科』グラフィック社、2020年。ISBN 978-4-76-613331-8。
- NAFCA育成チーム (2024). アニメータースキル検定 トレス・タップ割り検定6級・5級. 一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟