厚賀駅
厚賀駅(あつがえき)は、北海道(日高振興局)沙流郡日高町字厚賀町にあった、北海道旅客鉄道(JR北海道)日高本線の駅(廃駅)である。電報略号はツカ。事務管理コードは▲132210[2]。
厚賀駅 | |
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![]() 駅舎(2017年9月) | |
あつが Atsuga | |
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所在地 | 北海道沙流郡日高町字厚賀町 |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | 日高本線 |
キロ程 | 65.6 km(苫小牧起点) |
電報略号 | ツカ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面1線 |
開業年月日 | 1924年(大正13年)9月6日[1] |
廃止年月日 | 2021年(令和3年)4月1日[JR北 1][運輸局 1] |
備考 |
無人駅 路線廃止に伴う廃駅 |
歴史
編集- 1924年(大正13年)9月6日:日高拓殖鉄道佐瑠太駅(後の富川駅) - 当駅間延伸開通に伴い開業[3][4]。一般駅[1]。
- 1926年(大正15年)12月7日:当駅 - 静内駅間延伸開通に伴い中間駅となる。
- 1927年(昭和2年)8月1日:日高拓殖鉄道が国有化により国有鉄道に移管[1]。線路名を日高線に改称、それに伴い同線の駅となる。
- 1943年(昭和18年)11月1日:線路名を日高本線に改称、それに伴い同線の駅となる。
- 1977年(昭和52年)2月1日:貨物・荷物扱い廃止[5]。同時に出札・改札業務を停止し旅客業務について無人化[6]。但し閉塞扱いの運転要員は継続配置[7]。乗車券は簡易委託化。
- 1986年(昭和61年)11月1日:日高本線の特殊自動閉塞(電子符号照査式)化に伴う交換可能駅集約に伴い、棒線化[8]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道(JR北海道)の駅となる[1]。
- 1989年(平成元年):駅舎改築[9][10]。
- 時期不詳[注 1]:簡易委託廃止、完全無人化。
- 2015年(平成27年)
- 2021年(令和3年)4月1日:鵡川駅 - 様似駅間の廃止に伴い、廃駅となる[JR北 1][運輸局 1]。
駅名の由来
編集当地はもともと「厚別(あつべつ)」と呼ばれていたが、西隣の「賀張(がばり)」との境界に駅ができたため、双方の頭文字から駅名が「厚賀」と命名された[3][4][11]。その後、駅前に市街ができたことで「厚賀」の名称は地名化し、地名としての「厚別」は消滅した[11]。
「厚別」の名称は現在も日高町と新冠町の境界を流れる川の名称(厚別川)として残存している[11]。名称由来については諸説ある(当該項目を参照)。
「賀張」の名称は現在も地名として残存している。アイヌ語の「カパㇽ(kapar)」(平たい、薄い)に由来すると考えられている。永田方正はより詳細に、同地の海岸に「カパㇽシラㇻ(kapar-sirar)」(平べったい・岩)が多く、「カパルシ(Kapar-us-i)」(平たい〔岩〕・多い・ところ=暗礁)と呼ばれていたことが由来と考察している[11]。
駅構造
編集単式ホーム1面1線を有した地上駅だった。ホームは線路の南西側(様似方面に向かって右手側、旧1番線)に存在した。転轍機を持たない棒線駅となっていた[9]。かつては単式ホーム・島式ホーム(片面使用)複合型2面2線を有する列車交換可能な交換駅であった[12]。互いのホームは駅舎側ホーム中央部分と対向ホーム東側を結んだ構内踏切で連絡した[12]。駅舎側(南西側)が上りの1番線、対向側(北東側)が下りの2番線となっていた[12]。また島式ホームの外側1線が様似方の転轍機が維持された行き止りの側線となっていた[12]。交換設備運用廃止後は対向側の線路は側線を含め1993年(平成5年)までには撤去されたが、ホーム前後の線路は転轍機の名残で湾曲していた[9]。
静内駅が管理していた無人駅だった。駅舎は構内の南西側に位置しホームに接していた。有人駅時代の駅舎は改築され、アーチ状で木製の窓を持つ木製板張りの外壁を有する駅舎となっていた[10]。駅入口の駅銘板は一枚板に駅名が彫刻された立派な物であった[10]。駅舎横に駅舎とは別棟で、富川駅の建物と同型のトイレ棟を有した[10]。
かつては駅舎内に売店があった(1993年(平成5年)3月時点では営業中であった[9])。
駅附近は落石の多い区間であり、1983年(昭和58年)4月時点では落石予防・早期発見設備が存在した[12]。
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ホーム(2017年9月)
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駅名標(2017年9月)
利用状況
編集乗車人員の推移は以下のとおり。年間の値のみ判明している年については、当該年度の日数で除した値を括弧書きで1日平均欄に示す。乗降人員のみが判明している場合は、1/2した値を括弧書きで記した。また、「JR調査」については、当該の年度を最終年とする過去の各調査日における平均である。当駅についてはバス代行期間が存在するため、一部でバスと列車が別集計となっているほか、各年で集計期間が異なる。備考も参照。
年度 | 乗車人員 | 出典 | 備考 | |||
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年間 | 1日平均 | JR調査 | ||||
列車 | 代行バス | |||||
1981年(昭和56年) | (51.0) | [12] | 1日乗降人員:102 | |||
1992年(平成 | 4年)(91.0) | [9] | 1日乗降人員:182 | |||
2014年(平成26年) | 40 | [JR北 4] | 当年の列車は単年の値。 | |||
2017年(平成29年) | 17 | [JR北 5] | 2015年度末から鵡川 - 様似間バス代行。当年のバスは単年の値。 | |||
2018年(平成30年) | 20.5 | [JR北 6] | 代行バスの値は過去2年平均 | |||
2019年(令和元年) | 20.7 | [JR北 7] | 代行バスの値は過去3年平均 | |||
2020年(令和 | 2年)21.0 | [JR北 8] | 代行バスの値は過去4年平均 |
駅周辺
編集駅の周辺には材木工場などがある。
隣の駅
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 1993年(平成5年)3月時点では簡易委託駅(書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館、1993年6月発行)102ページより。)。
出典
編集- ^ a b c d 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、863頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、228頁。doi:10.11501/1873236 。2022年12月10日閲覧。
- ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日。ASIN B000J9RBUY。
- ^ a b 太田幸夫『北海道の駅 878ものがたり~駅名のルーツ探求~』(1版)富士コンテム、札幌市、2004年2月29日。ISBN 4-89391-549-5。
- ^ “日本国有鉄道公示第182号”. 官報. (1977年1月31日)
- ^ “「通報」●日高本線浜厚真駅ほか17駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 2. (1977年1月31日)
- ^ 「日高富内両線の営近 二月から実施」『交通新聞』交通協力会、1977年1月30日、1面。
- ^ 土肥, 一重、内田, 隆一「日高本線電子閉そく装置の施工について」『信号保安』第42巻第1号、信号保安協会、1987年1月、3-8頁、doi:10.11501/2369858、ISSN 0286-3006。
- ^ a b c d e 書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館、1993年6月発行)102ページより。
- ^ a b c d e 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社、2008年8月発行)348ページより。
- ^ a b c d 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日、358-359頁。ISBN 978-4-88323-114-0。
- ^ a b c d e f 書籍『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館、1983年7月発行)101ページより。
JR北海道
編集- ^ a b 『日高線(鵡川・様似間)の廃止日繰上げの届出について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2021年1月5日。オリジナルの2021年1月5日時点におけるアーカイブ 。2021年1月5日閲覧。
- ^ 『日高線 厚賀〜大狩部間 67k506m 付近における盛土流出について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2015年1月13日。オリジナルの2015年1月15日時点におけるアーカイブ 。2020年10月30日閲覧。
- ^ “日高線運休に伴う列車代行バスの追加運行及び乗降場所変更について” (PDF). 北海道旅客鉄道. 2022年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月16日閲覧。
- ^ “日高線(鵡川・様似間)” (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2018年8月1日). 2018年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月17日閲覧。
- ^ 「日高線(苫小牧・鵡川間)」(PDF)『線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために)』、北海道旅客鉄道、3頁、2018年7月2日。オリジナルの2018年8月17日時点におけるアーカイブ 。2018年8月17日閲覧。
- ^ “日高線(鵡川・様似間)” (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2019年10月18日). 2019年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月18日閲覧。
- ^ “日高線(鵡川・様似間)” (PDF). 地域交通を持続的に維持するために > 輸送密度200人未満の線区(「赤色」「茶色」5線区). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2020年10月30日). 2020年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月4日閲覧。
- ^ “駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2022年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月14日閲覧。
北海道運輸局
編集- ^ a b 『鉄道事業の一部廃止の日を繰上げる届出について』(PDF)(プレスリリース)国土交通省北海道運輸局、2021年1月5日。オリジナルの2021年1月5日時点におけるアーカイブ 。2021年1月5日閲覧。
関連項目
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