南紀熊野ジオパーク
和歌山県と奈良県の各一部からなるジオパーク
南紀熊野ジオパーク(なんきくまのジオパーク、英: Nanki Kumano Geopark)は、和歌山県南部の9市町村と奈良県吉野郡十津川村の一部からなるジオパークである[1][2][3]。2014年(平成26年)8月に日本ジオパークとして認定された[2][3][4]。
概要
編集「プレートの沈み込みに伴って生み出された3種類の大地」をテーマとしている[5]。プレートの活動によって形成された付加体、付加体の上に溜まった前弧海盆堆積体、約1500年前の火山活動によって形成された火成岩体が紀伊半島の隆起と浸食によって削られ、紀伊半島南部で独特な自然景観等を作っている[6]。また、大塔山を源とする古座川流域には、温暖多雨気候と急峻な地形によってキイイトラッキョウやキノクニスズカケ(いずれも流域で最初に発見)といった紀伊半島固有種の生育[7]、古座川の一枚岩に代表される「古座川弧状岩脈」が流域を形成している[8]。
ユネスコ世界ジオパークへの登録を目指しているが、2022年(令和4年)開催の日本ジオパーク委員会では「世界文化遺産の紀伊山地の霊場と参詣道やラムサール条約登録地の串本との相乗効果が生み出されていない」などの理由で国内推薦は見送りとなっている[2][3]。
沿革
編集主なジオサイト
編集エリア内には107か所のジオサイトが設定されている[1][6]。各ジオサイトについては、公式サイトのジオサイトを探すを参照。
- フェニックス褶曲(「天鳥の褶曲」の別名がある)[12]
- 北山峡
- 古座川の一枚岩(国の天然記念物)[12][13]
- 橋杭岩(国の名勝・天然記念物)[1][12]
- 那智の滝(国の名勝)[12]
- 神倉山のゴトビキ岩(神倉神社の御神体)[6]
- 円月島[1]・千畳敷・三段壁(3か所が一括して国の名勝に指定)[12]
- 梶取崎
- 樫野埼灯台(国の登録有形文化財)[14]
関連施設
編集2019年(令和元年)7月に、南紀熊野ジオパークの拠点施設となる「和歌山県立南紀熊野ジオパークセンター」がオープンした[10][11]。紀伊半島の地形の成り立ちを模型やプロジェクションマッピングで学ぶことができる[10][11]。
関係自治体
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n “南紀熊野ジオパークで写真コンテスト 「魅力伝わる写真」テーマに作品募集”. 和歌山経済新聞 (2021年8月25日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b c d e f “南紀熊野、世界ジオパークへの推薦見送り…「国際的価値を十分に伝えられず」”. 読売新聞オンライン. (2022年9月29日). オリジナルの2022年9月29日時点におけるアーカイブ。 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b c d e f “「世界」への推薦見送り 南紀熊野ジオパーク”. 紀伊民報. (2022年9月29日). オリジナルの2022年9月29日時点におけるアーカイブ。 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b 古今書院 2015, p. 5.
- ^ 古今書院 2015, p. 86.
- ^ a b c “奇岩・巨岩が和歌山に集中、1400万年前の巨大噴火で出現した「超巨大カルデラ」に深く関連”. 読売新聞オンライン. (2021年6月22日). オリジナルの2021年6月22日時点におけるアーカイブ。 2023年3月15日閲覧。
- ^ 古今書院 2015, p. 88.
- ^ 古今書院 2015, p. 87.
- ^ a b 今後の予定・活動履歴 - 日本ジオパーク委員会
- ^ a b c “紀伊半島の成り立ちを紹介 ジオパークセンター完成”. 産経フォト (2019年7月22日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b c “広報くしもと 2019年9月号” (PDF). 串本町企画課. p. 3 (2019年9月1日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ a b c d e “雄大な大自然の魅力で癒やされよう!和歌山ミュージアム〜ジオパーク編”. テレ東プラス (2022年9月22日). 2023年3月15日閲覧。
- ^ 古今書院 2015, p. 89.
- ^ 古今書院 2015, p. 92.
- ^ “第527回「串本〜白浜」”. おとな旅あるき旅 (2020年2月8日). 2023年3月15日閲覧。
参考文献
編集- 『シリーズ大地の公園 中部・近畿・中国・四国のジオパーク』古今書院、2015年6月12日。ISBN 978-4-7722-5282-9。