南瓜 (草間彌生の作品)

香川県直島町にある、草間彌生の野外美術作品

南瓜』(かぼちゃ)は、香川県香川郡直島町ベネッセアートサイト直島)にある野外美術作品。まだら模様の黄色いカボチャをモチーフとした作品である。日本を代表する美術家・草間彌生が1994年に制作した[2]

『南瓜』
作者草間彌生
製作年1994年
種類彫塑
素材繊維強化プラスチック
寸法2.0 m × 2.5 m (79 in × 98 in)[1]
所蔵日本の旗 香川県香川郡直島町
座標北緯34度26分46.0秒 東経133度59分44.6秒 / 北緯34.446111度 東経133.995722度 / 34.446111; 133.995722座標: 北緯34度26分46.0秒 東経133度59分44.6秒 / 北緯34.446111度 東経133.995722度 / 34.446111; 133.995722

概要

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1994年に開催された「Open Air "94 "Out of Bounds" —海景の中の現代美術展—」で公開された[2]。草間の代表作として広く知られていると同時に、直島のシンボル的な存在として今では観光名所になっている[2]。作品は、に突き出た桟橋の上に常設展示されている[2]

繊維強化プラスチックなどを主素材として作られた大型の立体彫刻であり、高さ2 m・幅2.5 mある[1]。南瓜は全体的に黄色だが、黒いドットをまとったまだら模様となっている[2]。草間は幼い頃から幻覚や幻聴に苦しんでおり、それらを芸術作品として反映させるようになったため、このような水玉模様の作品を多数生み出している。

なお、草間によるカボチャをモチーフとした作品は多数あるが、屋外彫刻としては直島のそれが初めてである[3]。この作品が発表された1994年は、草間が野外彫刻の制作を始めた年でもあったという。

台風による破損

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2021年8月9日、南瓜は台風9号による高波の影響で海に流され、3つに割れた[1][4]気象庁によると、当時香川県では台風により強風となっており、高松市で9日10時35分に最大瞬間風速23.3 m/sを観測したという[5]。破片はベネッセハウス ミュージアムのスタッフにより回収され[1]、施設内で保管された後、草間側に引き渡された[6]。検討の結果、草間監修の下で再制作され、2022年10月4日に再び展示された[7]。強風対策として厚みを増し、機械を使って迅速に避難できるようヘタの部分にフックを取り付けている[7]

主な関連作品

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直島宮浦港にある『赤かぼちゃ』 福岡市美術館にある『南瓜』
直島宮浦港にある『赤かぼちゃ』
福岡市美術館にある『南瓜』

以下に、草間彌生によるその他の主な関連作品(カボチャ作品)を挙げる。

赤かぼちゃ
直島には、他の水玉カボチャ作品として、宮浦港に『赤かぼちゃ』が存在する[4][8]。こちらは全体的に赤色の彫刻であり、黄色の作品とは違い内部を見物できる。
南瓜 (福岡市美術館)
福岡県にある福岡市美術館にも、直島と同じ『南瓜』がある[9]

脚注

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  1. ^ a b c d 編集部 (2021年8月10日). “直島にある草間彌生の《南瓜》が台風で破損。3つに分割”. 美術手帖. カルチュア・コンビニエンス・クラブ. 2021年12月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e 金廣有希子「ベネッセアートサイト直島・アーカイブより」『ベネッセアートサイト直島 広報誌』2019年4月号、福武總一郎、2019年4月1日、16–18頁、2021年12月22日閲覧 
  3. ^ 秋元雄史 (2019年12月5日). “なぜ「かぼちゃアート」に8億の価値があるのか 価格を決めるのは「認知の広がり」”. プレジデントオンライン. p. 3. 2021年12月20日閲覧。
  4. ^ a b 紙谷あかり「直島の「南瓜」また会える? 草間さん作品、台風で流され破損 復元か作り直し検討中/香川県」『朝日新聞』2021年8月12日、19面。2021年12月20日閲覧。
  5. ^ 直島の「かぼちゃ」台風で海に流される 草間彌生さん作」『朝日新聞デジタル』2021年8月9日。2021年12月20日閲覧。
  6. ^ 紙谷あかり「直島の「南瓜」、会えぬ春 瀬戸芸、春会期の展示断念 草間さん作品 /香川県」『朝日新聞』2022年3月12日、27面。
  7. ^ a b 紙谷あかり「直島の南瓜、おかえりなさい 風雨対策、厚く重く 草間彌生さん監修 /香川県」『朝日新聞』2022年10月5日、23面。
  8. ^ 有吉悠生「ベネッセアートサイト直島・アーカイブより」『ベネッセアートサイト直島 広報誌』2021年1月号、福武總一郎、2021年1月1日、16–18頁、2021年12月22日閲覧 
  9. ^ 南瓜”. 福岡市美術館. 2021年12月21日閲覧。

関連項目

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