北野宏明
日本の生物学者
北野 宏明(きたの ひろあき、1961年〈昭和36年〉3月16日[1] - )は、日本のシステム生物学者、バイオインフォマティクス研究者、実業家。ソニーグループ株式会社執行役副社長兼CTO、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼CEO、株式会社ソニーAI代表取締役CEO、沖縄科学技術大学院大学非常勤教授。埼玉県川越市出身[2]。学位は教養学士(物理)(国際基督教大学・1984年)[3][4]。
生誕 |
1961年3月16日(63歳) 日本 埼玉県川越市 |
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国籍 | 日本 |
教育 |
国際基督教大学教養学部理学科(物理学専攻) 京都大学大学院工学研究科 |
業績 | |
専門分野 |
システム生物学 人工知能 ロボット デザイン エネルギー工学 |
所属機関 |
ソニーコンピュータサイエンス研究所 システム・バイオロジー研究機構 |
成果 |
ロボカップの創設 システム生物学の提唱 |
受賞歴 |
IJCAI Computers and Thought Award(1993年) JDA Design Award(1996年) アルス・エレクトロニカ賞(2000年) 日本文化デザイン賞(2001年) グッドデザイン賞(2001年) ネイチャーメンター賞中堅キャリア賞(2009年) |
経歴
編集1961年3月に埼玉県川越市に生まれる[2]。早稲田大学系属早稲田実業学校を経て国際基督教大学教養学部理学科を卒業後[5]、1984年に日本電気入社。ソフトウェア生産技術研究所に配属される[3]。その後、カーネギーメロン大学に留学し、世界で初めて同時通訳可能な音声翻訳システムを開発した[5]。1993年に日本人で初めてIJCAI Computers and Thought Awardを受賞[5]。同年にソニーコンピュータサイエンス研究所に入所、AIBOの開発などに携わる[5]。その後、北野や浅田稔、松原仁らが中心となり、1997年にロボカップを創設した[6]。また、システム生物学を提唱し[7]、2001年にシステム・バイオロジー研究機構を設立した[3]。2002年にソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長に就任[3]。2008年に取締役所長に就任。2011年に代表取締役社長兼CEOに就任[3]。2016年にソニー(現・ソニーグループ)執行役員に就任[8]。2020年に常務に就任。2022年にソニーグループ執行役専務兼CTOに就任[9]。
履歴
編集学歴・職歴
編集- 1984年(昭和59年)3月 - 国際基督教大学教養学部理学科(物理学専攻)卒業[10]。
- 1984年(昭和59年)4月 - 日本電気株式会社入社 ソフトウェア生産技術研究所配属[11]。
- 1988年(昭和63年)8月 - カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学部機械翻訳センター客員研究員[11]。
- 1991年(平成3年)9月 - 京都大学大学院工学研究科修了[10]。
- 1993年(平成5年)8月 - 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所入所 リサーチャー[11]。
- 1996年(平成8年)4月 - ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)D21ラボラトリーエグゼクティブ・アドバイザー[3]。
- 1996年(平成8年)5月 - ロボカップ国際委員会会長[11]。
- 1996年(平成8年)7月 - 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 シニア・リサーチャー[3]。
- 1997年(平成9年) - 東京医科歯科大学難治疾患研究所客員助教授[3]。
- 1998年(平成10年)4月 - 国立遺伝学研究所理論生物学部門客員教授[12][13]。
- 1998年(平成10年)10月 - 科学技術振興事業団(現・国立研究開発法人科学技術振興機構)ERATO北野共生システムプロジェクト総括責任者[11]。
- 2000年(平成12年)4月 - 慶應義塾大学理工学部客員教授[3]。
- 2001年(平成13年)4月 - 特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構設立 会長(現任)[3]。
- 2002年(平成14年)6月 - 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長[11]。
- 2003年(平成15年)10月 - 独立行政法人科学技術振興機構(現・国立研究開発法人科学技術振興機構)ERATO-SORST北野プロジェクト研究代表者[3]。
- 2006年(平成18年)1月 - 欧州分子生物学研究所 科学顧問委員[11]。
- 2006年(平成18年)4月 - 財団法人癌研究会(現・公益財団法人がん研究会)癌研究所システムバイオロジー部客員部長[11]。
- 2007年(平成19年)4月 - 東京大学客員教授[3]。
- 2007年(平成19年)7月 - クウジット株式会社設立 社外取締役[3]。
- 2008年(平成20年)7月 - 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役所長[14]。
- 2009年(平成21年) - アムステルダム大学特別教授[3]。
- 2009年(平成21年)6月 - 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構 オープンバイオロジーユニット代表研究者[11]。
- 2009年(平成21年)7月 - 国際人工知能学会会長[11]。
- 2010年(平成22年)11月 - リンショーピング大学客員教授[3]。
- 2011年(平成18年)4月 - 公益財団法人がん研究会 がん研究所システムバイオロジー部客員部長(現任)[11]。
- 2011年(平成23年)7月 - 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼CEO兼所長(現任)[15]。
- 2011年(平成23年)11月 - 沖縄科学技術大学院大学非常勤教授(現任)[3]。
- 2012年(平成24年)1月 - モナシュ大学オーストラリア再生医療研究所ルイス・マセソン特別名誉教授[3]。
- 2013年(平成25年)4月 - 独立行政法人理化学研究所(現・国立研究開発法人理化学研究所)統合生命医科学研究センター 疾患システムモデリング研究グループグループディレクター[11]。
- 2015年(平成27年)4月 - 株式会社ソニー・グローバルエデュケーション設立 非常勤取締役(現任)[16]。
- 2016年(平成28年)1月 - クウジット株式会社フェロー(現任)[17]。
- 2016年(平成28年)6月 - ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)執行役員 コーポレートエグゼクティブ[18]。
- 2018年(平成30年)6月 - ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)執行役員[19]。
- 2018年(平成30年)9月 - 内閣府 イノベーション政策強化推進のための有識者会議「AI戦略」構成員(現任)[20]。
- 2018年(平成30年)10月 - TRENDE株式会社アドバイザー(現任)[21]。
- 2019年(令和元年)6月 - 株式会社シナモン社外取締役(現任)[22]。
- 2019年(令和元年)12月 - 人工知能研究開発ネットワーク会長(現任)[23]。
- 2020年(令和2年)4月 - 株式会社ソニーAI設立 代表取締役CEO(現任)[11]。
- 2020年(令和2年)6月 - ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)常務 AIコラボレーション担当[24]。
- 2021年(令和3年)2月 - アメリカ人工知能学会フェロー[25]。
- 2021年(令和3年)4月 - 国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科オスマー記念科学教授(現任)[26]。
- 2021年(令和3年)9月 - Whole Earth Foundationアドバイザー(現任)[27]。
- 2022年(令和4年)4月 - ソニーグループ株式会社執行役専務兼CTO R&D、AIコラボレーション担当(現任)[28]。
受賞・栄誉
編集- 1993年(平成5年) - IJCAI Computers and Thought Award(国際人工知能会議)[3]。
- 1996年(平成8年) - JDA Design Award(一般社団法人日本商業空間デザイン協会)[3]。
- 2000年(平成12年) - アルス・エレクトロニカ賞(アルス・エレクトロニカ・センター)[3]。
- 2001年(平成13年) - 日本文化デザイン賞(日本文化デザインフォーラム)[3]。
- 2001年(平成13年) - グッドデザイン賞(財団法人日本産業デザイン振興会)[3]。
- 2009年(平成21年) - ネイチャーメンター賞中堅キャリア賞(ネイチャー・パブリッシング・グループ)[3]。
現職
編集- 役員
- ソニーグループ株式会社執行役専務兼CTO R&D、AIコラボレーション担当[29]
- 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼CEO兼所長[30]
- 株式会社ソニーAI代表取締役CEO[29]
- 特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構会長[31]
- 人工知能研究開発ネットワーク会長[32]
- ギリア株式会社ファウンダー[33]
- ロボカップ国際委員会創設プレジデント[34]
- TRENDE株式会社アドバイザー[35]
- Whole Earth Foundationアドバイザー[36]
- 株式会社ソニー・グローバルエデュケーション非常勤取締役[37]
- 株式会社シナモン社外取締役[38]
- 教育職・研究職
- 沖縄科学技術大学院大学非常勤教授[3]
- 国際基督教大学教養学部アーツ・サイエンス学科オスマー記念科学教授[11]
- クウジット株式会社フェロー[39]
- 特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会フェロー[34]
- 公益財団法人がん研究会 がん研究所システムバイオロジー部客員部長[10]
- その他
著作
編集単著
編集- 『進化するコンピュータ 遺伝的アルゴリズムから人工生命へ』ジャストシステム、1993年11月。ISBN 9784883090419。
- 『Parallel Processing for Artificial Intelligence 2』Kluwer Academic Publishers、1993年12月31日。ISBN 9781461527329 。
- 『ディベート術入門 問題発見、論理構築から危機管理まで』ごま書房〈ゴマブックス〉、1995年10月。ISBN 9784341016838。
- 『大人のための徹底!ロボット学 最新テクノロジーから、ロボカップまで』PHP研究所、2001年1月17日。ISBN 9784569613529 。
- 『システムバイオロジー 生命をシステムとして理解する』秀潤社、2001年6月。ISBN 9784879622402。
共著
編集- 佐倉統、北野宏明『人工生命というシステム 複雑系解明の手がかり』ジャストシステム、1995年9月1日。ISBN 9784883093007。
- 北野宏明、竹内薫『したたかな生命』ダイヤモンド社、2007年11月15日。ISBN 9784478810033 。
- 近藤滋、北野宏明、金子邦彦、黒田真也『システムバイオロジー』 現代生物科学入門 第8巻、岩波書店、2010年1月19日。ISBN 9784000069687 。
編集
編集- 『Parallel Processing for Artificial Intelligence 2』North-Holland Publishing Company、1985年11月。ISBN 9781493305339。
- 『Foundations of Systems Biology』マサチューセッツ工科大学出版局、2001年10月26日。ISBN 9780262112666 。
脚注
編集- ^ 「役員の状況」(PDF)『有価証券報告書』、ソニーグループ、2024年6月25日、99-103頁、2024年8月29日閲覧。
- ^ a b “履歴書” (PDF). ソニー株式会社 (2020年6月). 2020年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x “北野 宏明”. 沖縄科学技術大学院大学. 2020年6月13日閲覧。
- ^ 北野宏明『超並列計算モデルによる音声対話翻訳 : ФDmDialogシステム [Massively parallel model of speech-to-speech dialogue translation : the ФDmDialog system]』京都大学〈工学博士 乙第7633号〉、1991年。doi:10.11501/3086119 。
- ^ a b c d 北野宏明(インタビュアー:齋藤顕一、渡辺真理)「第9回 北野 宏明」『今を輝く同窓生たち』、国際基督教大学同窓会、2007年5月18日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 松原仁「「ロボカップ」にあたって(<小特集>「ロボカップ」)」『人工知能』第17巻第6号、人工知能学会、2002年、701-701頁、doi:10.11517/jjsai.17.6_701、2022年4月25日閲覧。
- ^ “シンポジウム「医療と創薬におけるシステムバイオロジー・バイオインフォマティクス・ビッグデータ」を開催(2/22)”. LINK-J. (2019年4月9日) 2022年4月25日閲覧。
- ^ “人事、ソニー”. 日本経済新聞. (2016年5月24日) 2022年4月25日閲覧。
- ^ “ソニーG、北野常務がCTOに 勝本副社長は退任”. 日本経済新聞. (2022年3月24日) 2022年4月25日閲覧。
- ^ a b c “北野宏明”. がん研究所. 2020年6月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “履歴書” (PDF). ソニーグループ株式会社 (2022年4月). 2022年4月25日閲覧。
- ^ 『創造科学技術推進事業における平成10年度発足予定の研究主題及びその総括責任者の内定について』(プレスリリース)科学技術振興事業団、1998年6月25日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『研究主題「共生システム」総括責任者』(プレスリリース)科学技術振興事業団、1998年6月25日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 役員人事』(PDF)(プレスリリース)株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所、2008年6月23日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 『(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 役員人事』(PDF)(プレスリリース)株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所、2011年6月30日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 『新会社 ソニー・グローバルエデュケーションを設立』(プレスリリース)ソニー株式会社、2014年12月18日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ Koozyt, Inc.. “2016年1月14日の投稿 (1273029276056383)”. Facebook. 2020年6月13日閲覧。
- ^ 『ソニー株式会社 役員人事』(プレスリリース)ソニー株式会社、2016年5月24日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『ソニー株式会社 役員人事』(プレスリリース)ソニー株式会社、2018年5月17日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ a b 『イノベーション政策強化推進のための有識者会議「AI戦略」(AI戦略実行会議)の開催について』(PDF)(プレスリリース)内閣府、2018年9月4日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『藤森義明氏、北野宏明氏、他3名がアドバイザーに就任』(プレスリリース)TRENDE株式会社、2018年10月1日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 『社外取締役就任のお知らせ』(プレスリリース)株式会社シナモン、2019年7月2日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 『日本の英知を糾合し、AI研究開発の活性化を目指す -“人工知能研究開発ネットワーク”を設立-』(プレスリリース)国立研究開発法人産業技術総合研究所, 国立研究開発法人理化学研究所, 国立研究開発法人情報通信研究機構、2019年12月16日 。2020年6月13日閲覧。
- ^ 『ソニー株式会社 役員人事』(プレスリリース)ソニー株式会社、2020年5月19日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『ソニー(株)常務 北野宏明が米国人工知能学会の「AAAIフェロー」に選出』(プレスリリース)ソニー株式会社、2021年2月2日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『北野宏明氏(Sony CSL 代表取締役社長、所長)が国際基督教大学オスマー記念科学教授に就任しました』(PDF)(プレスリリース)国際基督教大学、2021年6月22日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『Whole Earth Foundation、成毛眞氏はじめ新アドバイザー3名就任のお知らせ』(プレスリリース)Whole Earth Foundation、2021年9月28日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ 『ソニーグループ株式会社 役員人事』(プレスリリース)ソニーグループ株式会社、2022年3月24日 。2022年4月25日閲覧。
- ^ a b “ソニーグループ(株)役員一覧”. ソニーグループ株式会社 (2020年4月1日). 2020年4月24日閲覧。
- ^ 北野宏明 (2022年2月). “Message” (日本語・英語). 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所. 2022年4月25日閲覧。
- ^ “About SBI”. 特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構. 2020年6月13日閲覧。
- ^ “人工知能研究開発ネットワーク(AI Japan R&D Network)とは”. 人工知能研究開発ネットワーク (2020年5月28日). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “会社概要”. ギリア株式会社. 2022年4月25日閲覧。
- ^ a b “フェロー”. 特定非営利活動法人ロボカップ日本委員会. 2020年6月13日閲覧。
- ^ “企業情報”. TRENDE株式会社. 2020年6月13日閲覧。
- ^ “Whole Earth Foundation” (英語). 2022年4月25日閲覧。
- ^ “企業情報”. 株式会社ソニー・グローバルエデュケーション. 2020年6月13日閲覧。
- ^ “会社概要”. 株式会社シナモン. 2022年4月25日閲覧。
- ^ “会社概要”. クウジット株式会社. 2020年6月13日閲覧。
関連項目
編集- 松井龍哉 - 北野共生システムプロジェクトの元研究員で、ロボットデザイナー。
ビジネス | ||
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先代 勝本徹 |
ソニーグループCTO 2022年 - |
次代 (現職) |
先代 所眞理雄 |
ソニーコンピュータサイエンス研究所社長 2011年 - |
次代 (現職) |
先代 所眞理雄 |
ソニーコンピュータサイエンス研究所所長 2008年 - |
次代 (現職) |