朝鮮民主主義人民共和国のインターネット

朝鮮民主主義人民共和国のインターネット(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくのインターネット)では、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のインターネット事情について述べる。

概要

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かつて世界で唯一インターネットに接続していないとまで言われていたが、積極的にIT事業を推進している[1]。政府が情報操作を行っているため国際接続は非常に限られている。なお、政府はネナラというポータルサイトを開設している。北朝鮮には4本のインターネットの公式回線があり、全て中華人民共和国の国有企業である中国聯合通信(チャイナユニコム)を経由してきたが[2]、国際社会の制裁に同調する中国によるネット遮断が懸念された2017年からはロシアの通信最大手トランステレコムもネット接続サービスを提供し始めている[3]

プロバイダ平壌電話局が行っており、電話線による接続と光ファイバーケーブルによる接続の両方が可能である。市民は電子図書館と呼ばれる施設でインターネットを利用できるが、事前許可が必要であり、司書が同伴する形となり、利用内容は厳しく規制される[4]

2010年10月10日に平壌で開催された軍事パレードでは、海外メディア向けプレスセンターにインターネット回線が用意され話題となった[5]

また、韓国企業が進出している開城工業地区では、2013年中にインターネットが利用できるようにすることで南北が合意した[6]

近年は海外向けに体制宣伝を目的としたYouTubeチャンネル開設が確認されている[7]

国内向けイントラネット『光明』

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国内向けのイントラネットはインターネットよりも早くから整備されており、「光明」(광명)と呼ばれている[8]労働新聞などのニュースサイトやショッピングサイト、電子掲示板チャット電子図書館電子メールゲームサイト、検索エンジンなどが運営されている。

回線速度は100Mbpsで、チャイナテレコムと平壌電話局が共同で運営している。「光明」もダイヤルアップ接続光ケーブル接続が可能である。

韓国による「親北」サイトの遮断

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国家保安法の規定に基き、韓国政府は親北のサイトとみなしたサイトを韓国国内からアクセスできないようにしている[9]

遮断サイト

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日本にサーバを置くサイトが多い。

北朝鮮のウェブサイト一覧

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サーバー サイト名 (朝鮮語) サイト名 (日本語) 対応言語
  北朝鮮   내나라 ネナラ 西
조선의 출판물 朝鮮の出版物
조선의 소리 朝鮮の声
주체 チュチェ 英、朝、中、、露、西、仏、阿
조선중앙통신 朝鮮中央通信 英、朝、中、、露、西
조선관광 朝鮮観光 英、朝、中、、露
로동신문 労働新聞 英、朝、中
The Pyongyang Times
홈페지종합안내(ホームページ総合案内)
  アメリカ[注釈 1]   조선중앙텔레비죤 朝鮮中央テレビ
(LIVEストリーミング - Twitch)
  中国 우리 민족끼리 わが民族同士 英、朝、中、、露
  日本 재일본조선인총련합회 在日本朝鮮人総聯合会 朝、
  北朝鮮 고려항공 高麗航空 英、朝、中
조선료리 朝鮮料理 英、朝
조선민주주의인민공화국 Friend 英、朝、露、仏
민족대단결 民族大団結
조선국제청소년려행사 国際青少年旅行社 英、朝、中
조선민족보험총회사 朝鮮民族保険総会社 英、朝
조선교육후원기금 朝鮮教育後援基金
조선영화수출입사 朝鮮映画 英、朝、中、露
조선민주주의인민공화국 국가해사감독국 Maritime Administration of DPR Korea 英、朝
김일성종합대학 金日成総合大学 英、中、露
조선체육 朝鮮スポーツ 英、朝、中
조선민주주의인민공화국 국가해사감독국 朝鮮民主主義人民共和国国家海事監督局
조선민주주의인민공화국 국가과학기술위원회 朝鮮民主主義人民共和国国家科学技術委員会 英、朝
김책공업종합대학 金策工業総合大学 英、朝
인민대학습 人民学習 英、朝
조선민주주의인민공화국 외무성 朝鮮民主主義人民共和国外務省 英、朝、中、露、西
조선민주주의인민공화국 문화성 朝鮮民主主義人民共和国文化省 英、朝、中

脚注

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注釈

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  1. ^ Twitchのサーバー設置国。

出典

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  1. ^ North Korea's 'Digital Revolution' Under Way”. web.archive.org (2012年3月3日). 2021年9月16日閲覧。
  2. ^ “北朝鮮のインターネットが接続不能に アメリカのサイバー攻撃の可能性も” (日本語). ハフィントン・ポスト. (2014年12月13日). https://www.huffingtonpost.jp/2014/12/22/north-korea-syber-atack_n_6369946.html 2017年10月2日閲覧。 
  3. ^ “ロシア通信大手、北朝鮮にネット接続提供” (日本語). ロイター. (2017年10月2日). https://jp.reuters.com/article/38-north-russia-north-korea-idJPKCN1C712G 2017年10月2日閲覧。 
  4. ^ 牧野愛博 (2024年1月23日). “北朝鮮のインターネット事情 オンラインゲームはあれど、知らない人とはつながれない”. 朝日新聞GLOBE+. 朝日新聞社. 2024年2月1日閲覧。
  5. ^ “クローズアップ2010:北朝鮮、閲兵式に外国メディア95人 開かれた世襲、演出” (日本語). 毎日新聞. (2010年10月10日). http://mainichi.jp/select/world/news/20101011ddm003030093000c.html 2010年10月15日閲覧。 
  6. ^ “開城工団:今年中にネットや携帯が利用可能に” (日本語). 朝鮮日報. (2013年9月12日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/09/12/2013091200480.html 2013年9月14日閲覧。 
  7. ^ 五味洋治 (2020年5月27日). “北朝鮮の謎の美人ユーチューバー「ウンア」 お宝映像次々公開し“誤報”に反論も 7歳ユーチューバーも登場で韓国でも注目”. コリアワールドタイムズ. 2020年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月19日閲覧。
  8. ^ “North Korea Today 科学技術情報奉仕体系『光明』設定資料(日本語訳)” (日本語). http://www.pyongyangology.com/index.php?option=com_content&task=view&id=28&Itemid=27 2011年12月3日閲覧。 
  9. ^ 韓国情報通信部によるアクセス遮断「親北サイト」 North Korea Today

関連項目

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外部リンク

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