前期 (細胞分裂)
前期(Prophase)は、有糸分裂において、クロマチンが凝集し、染色体と呼ばれる棒状の構造を形成する段階である。古代ギリシア語でπρό(前の)φάσις(段階)という言葉に由来する。クロマチン凝集と呼ばれるこの過程には、コンデンシン複合体が関わっている。遺伝物質は、細胞周期の間期に複製されるため、細胞内には2つの相同な染色体のコピーが存在する。これらは姉妹染色分体と呼ばれ、セントロメアと呼ばれる部分で結合している。また前期には、染色体のギムザ染色が行われる。
またこの時期には、染色体の凝縮に先立って、細胞核の中の小さな核小体が消滅する[2]。
有糸分裂で重要なオルガネラは、中心体である。前期の間、独立した有糸分裂で複製された2つの中心体がγチューブリンを補充することによって微小管の活性を増加させる。中心体は、微小管上の分子モーターの働きによって、核の両端側に隔てられる。
基本的に、核内のクロマチンはコイル状になって染色体を形成する。核は分解し、中心体は細胞の両極に移動して紡錘糸の橋を形成する。
出典
編集- ^ Schermelleh, L.; Carlton, P. M.; Haase, S.; Shao, L.; Winoto, L.; Kner, P.; Burke, B.; Cardoso, M. C. et al. (2008). “Subdiffraction Multicolor Imaging of the Nuclear Periphery with 3D Structured Illumination Microscopy”. Science 320 (5881): 1332. Bibcode: 2008Sci...320.1332S. doi:10.1126/science.1156947. PMC 2916659. PMID 18535242 .
- ^ Mader, Sylvia (2010). Biology. The McGraw Hill Companies. pp. 156. ISBN 978-0-07-352543-3
- ^ “Section 1. The Biology of the Plant Cell – 3. The Plant Cell and the Cell Cycle”. Biology of plants. (2012). pp. 58–67. ISBN 978-0-7167-1007-3. LCCN 2004-53303. OCLC 56051064